REVIEW

無聲 The Silent Forest【レビュー】

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映画『無聲 The Silent Forest』

これはあまりにショックな内容で、こんなことが実際にあったなんて本当に信じられません。本作は、キャラクターの名前や団体名などはフィクションですが、台湾南部のろう学校で実際に起きた性的暴行、セクシャルハラスメント事件を題材にしており、実話がベースとなると一層心が痛みます。
チャン(リウ・ツーチュアン)は普通学校から台湾南部のろう学校に転校し、同級生達が楽しそうに過ごす様子に最初は期待を膨らませています。ところがある日、同級生の女の子ベイベイ(チェン・イェンフェイ)が移動中のスクールバス内で複数の男子から性的暴行を受けているところを目撃します。でも驚くべきは、その後もベイベイが加害者の男子達と仲良く遊んでいること。ここから先は映画でご覧いただくとして、予想を遥かに超える状況、真相が明かされていきます。
彼らは耳に障がいがあることで危険を察知しづらく、助けを求めたくても声が出せません。さらに恐ろしいのは大人の対応です。子ども達の事よりも対面を気にしたり、子ども達が誰を信じて頼れば良いかがわからなくなる実態が本作のなかでリアルに描かれています。本作を観ていると、悪循環が止まらないメカニズムもよく理解できますが、結局要は大人の責任です。これは台湾だけの話ではなく、どこの国でも起こっているはずで、どうやったら弱者を守れるのかを考えるきっかけとしてぜひ多くの方に観て欲しい作品です。
キャスト達の演技も見事で、公式サイトでは劇中とはまったくイメージが異なるビジュアルも載っています。ぜひチェックしてみてください。

デート向き映画判定
映画『無聲 The Silent Forest』チェン・イェンフェイ

実際に起きた性暴力、セクシャルハラスメント事件を描いたかなり重い内容なのでデート向きとはいえませんが、苦しい時、困っている時にどんな対応をするか意見を交換することでお互いの価値観はかなりわかると思います。それには少し踏み込んで本音を言わなければいけませんが、相手をもっと知りたいと思っている方はパートナーを誘ってみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『無聲 The Silent Forest』

皆さんと同じ年代のキャラクター達が怖い目に遭うストーリーというところで、一層リアルに怖いと思うでしょうし、大きなショックを受けると思います。でも、このような状況が目の前にあったとして自分ならどうするか、誰か助けを求められる人はいるか、友達が被害に遭っていたらどうやって助けるか、考えるだけでもとても意義があると思います。PG-12なので小学生は大人と、中学生以上でもできれば大人か友達と一緒に観て、話し合ってください。

映画『無聲 The Silent Forest』チェン・イェンフェイ

『無聲 The Silent Forest』
2022年1月14日より全国順次公開
PG-12
ライツキューブ
公式サイト

©2020 Taiwan Public Television Service Foundation, Oxygen Film Co., Ltd., The Graduate Co., Ltd. and Man Man Er Co., Ltd. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

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