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成れの果て【レビュー】

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映画『成れの果て』萩原みのり

絶対に許せない罪を犯した人物が姉と結婚しようとしているという設定だけ聞くと、いろいろな疑問が湧きますが、最後に全部が繋がって、主人公の周囲にいるキャラクター達がいかに狂っているかがわかります。同時にそういう人間のほうがフツーの顔をして暮らしている社会に私達は生きているのかもしれないということを実感させられます。
単純に主人公とその相手の過去の問題ではなくて、そこに周囲の人物の嫉みや欲望が見事に重なっていき、キャラクター達が負の連鎖で繋がっている展開も印象に残ります。根本は皆幸せになりたいだけなのに、こうなってしまう…。冒頭では不幸なのは主人公だけという構図に見えますが、結局皆が幸せになりきれないというところに皮肉が込められていて、主人公の復讐の物語というよりは、観客の視点で俯瞰することで間接的に主人公を苦しめた人物への復讐が成立しているようにも解釈できる点である意味スカッとする部分もあるかもしれません。
このストーリーはどうやって終わるんだろうと予想がつかない展開にどんどんなっていきますが、結末にゾワゾワっとします。この何とも言えない感覚を味わってみてください。

デート向き映画判定
映画『成れの果て』萩原みのり/木口健太

デリケートなテーマを扱っていて、デートでは不向きな内容だと思います。1人でじっくり観るのも良いかもしれませんが、どんよりした後にカラッと気分転換をしたい方は、友達と一緒に観るほうが良いでしょう。でも、友達も見極めたほうが良いなと思うシーンもいくつか出てくるので、信用のおける相手を誘いましょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『成れの果て』萩原みのり

無神経で無慈悲な人間が複数出てくるので、反面教師として観られる部分もあるし、こういう人物とは付き合わないほうが良いというサンプルとして観るのも良いでしょう。主人公が過去に経験した事件はとても辛いもので、日常で皆さんも注意しなければいけない事柄ともいえます。ただ内容的にはせめて中学生以上になってから観るほうが良いと思います。

映画『成れの果て』萩原みのり

『成れの果て』
2021年12月3日より全国順次公開
SDP
公式サイト

© 2021 M×2 films

TEXT by Myson

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1987年5月27日生まれ。東京都出身。

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