REVIEW
イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲“調理場”を映画化した本作は、ニューヨークの観光客向けの大型レストランを舞台とし、アメリカンドリームを掴もうと懸命に働く移民達の1日を描いています。
厨房では料理人とウェイトレスが軽快な会話をしながら楽しく働いているかと思いきや、次の瞬間には言い合いになるなど、仕事中のめまぐるしさがリアルに描写されています。そこに、売上金の窃盗事件や、従業員同士の恋愛模様も絡み、物語はさらにカオスな状況になり、観ている側も慌ただしいレストランの一員になったような感覚になります。

また、ニューヨークという夢のあるキラキラとした場所でありながら、その裏で不法移⺠達が汗水垂らしながらレストランの厨房で働くという対比は、社会の縮図のようにも捉えられます。物語自体はフィクションですが、実際にこういう場所が存在すると考えると、決して他人事ではないと感じます。
そして、独特な映像も本作の魅力の1つです。映画全体がモノクロームで描かれていて、どんどん視点が変わっていくカメラワークも素晴らしく、そんな映像技術が厨房のカオスな状況を際立たせているといえます。個人的には中盤のシーンで、厨房がチェリーコークで水浸しになってしまう場面がお気に入りです。

主人公の料理人ペドロ(ラウル・ブリオネス)と、ウェイトレスのジュリア(ルーニー・マーラ)のラブストーリーの行方も気になりますし、レストランの社会的な背景について考えながら観ることもできるので、観る人によってさまざまな感想が出てきそうです。一人で本作の世界観に没入して観るも良し、誰かと観て鑑賞後に感想を語るのもオススメです。
デート向き映画判定

ペドロとジュリアの恋愛がとても情熱的に描かれています。忙しない厨房の裏で、2人がこっそりと会うシーンはとてもロマンチックです。ただ、2人が移民とアメリカ人であることや、ジュリアに何か隠し事があるなど、避けられない現実も突きつけられます。同じように何か障害のある恋愛をされている方なら、これを機にパートナーと話し合うきっかけになりそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

皆さんが本作を観てまず何を思うのか気になります。ある意味、大人の世界を社会見学するような感覚で楽しめるかもしれません。ただ、移民問題がテーマとなっていたり、恋愛やお金といった大人のドロドロとした部分も描かれているので、せめて中学生くらいになってから観たほうが物語の背景を深く理解できると思います。

『ラ・コシーナ/厨房』
2025年6月13日より全国公開
SUNDAE
公式サイト
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TEXT by Shamy
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