REVIEW

ロスト・ドーター【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ロスト・ドーター』オリヴィア・コールマン

自分自身の人生と母親としての人生とで揺れる女性達の複雑な感情を描いた物語。母親って本当に大変で偉大な役割だと思いますが、そういう目で見られることがプレッシャーだったり辛かったり、お母さん達が本音を吐き出せる場がないという状況を作っているのだなとつくづく感じる内容です。
レイダ(オリヴィア・コールマン)は1人で休暇を過ごすためにあるビーチにやってきます。彼女が静かなビーチで優雅なひとときを過ごしていると、大所帯のグループがやってきます。そこからレイダは心を乱され、同時に自分のこれまでの日々を振り返ることになります。
あからさまに言葉で表現するのではなく、レイダのちょっとした仕草や行動だけで彼女の心の中に渦巻くいろいろな感情を表現しているのが見事で、オリヴィア・コールマンの演技力と、今作では監督に徹しているマギー・ギレンホールの手腕に感服します。母親が子どもに優しくできない時、その行動や言葉の表面的なところだけがすくい取られて非難の的にされてしまうことは、世のお母さんが日々経験されていることだと思います。子どもへの愛情があっても、自分と子どもが置かれている状況をコントロールできなくて途方にくれる感覚はお母さん自身にしかわからないし、投げ出したくなっても母でいることは変わらないし、いくら子育てが辛いと思っていても母であることを忘れているわけではないことが、いろいろな場面で巧みに表現されています。
お母さん達が幸せになることは子ども達の幸せになると考えると、社会的な支援を厚くするのはもちろんのこと、これまでの歴史、文化の中で培われてきた“お母さん像”を変えていくというか、むしろ無くす必要性を感じます。

デート向き映画判定
Netflix映画『ロスト・ドーター』オリヴィア・コールマン/ダコタ・ジョンソン

デート向きな内容ではありませんが、今後も一緒に生きていくならば、ぜひカップルで観て欲しい作品です。言葉で「子育ては母親だけが担うものではない」と言ってもなかなか伝わらないところがあると思います。でもどれだけ追い込まれてしまうのかということが、こういったストーリーから伝わってくるものがあるはずです。本作に登場する母親達について「ひどい母親だな」なんていうような相手だったら、お灸を据えるか、関係に見切りを付けたほうが良いかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ロスト・ドーター』ダコタ・ジョンソン

キッズの皆さんにはまだ理解が難しい作品だと思いますが、中学生くらいなら、お母さんの心情を想像して理解できる部分もあると思います。でも子ども目線で観ると少し悲しくなる場面もあり、解釈がズレてしまうとお母さんのことを誤解してしまうことにもなりえるので、敢えてお母さんと一緒に観て、観終わった後にいろいろと話し合うのも良さそうです。お母さんの気持ちを少し想像できるようになると、今までは日常でただイライラをぶつけあっていただけのことが、穏やかに話して解決できるようになるのではないでしょうか。

Netflix映画『ロスト・ドーター』オリヴィア・コールマン

『ロスト・ドーター』
2021年12月31日よりNetflixにて配信中
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『マーズ・エクスプレス』 マーズ・エクスプレス【レビュー】

西暦2200年の火星の首都ノクティスを舞台に描かれる本作のタイトルは、「20年以上にわたり宇宙で活動をつづけている実在の火星探査機〈マーズ・エクスプレス〉の名」がつけられています…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ポール・ジアマッティ ポール・ジアマッティ【ギャラリー/出演作一覧】

1967年6月6日生まれ。アメリカ出身。

映画『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』ソン・ヘギョ 悪魔退治のノウハウ—韓国映画にみる悪魔祓い

今回は韓国映画の悪魔祓いにスポットを当ててご紹介します。

映画『HELP/復讐島』レイチェル・マクアダムス HELP/復讐島【レビュー】

本作のストーリーと演出はぶっ飛んでいて…

Netflixドラマ『ザ・ポリティシャン シーズン1』ジェシカ・ラング ジェシカ・ラング【ギャラリー/出演作一覧】

1949年4月20日生まれ。アメリカ、ミネソタ州クロケット出身。

【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集! 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

2025年10月から始めた映画学ゼミは、皆様のおかげで第4回(全8コマ)を実施できました。本当にありがとうございます! 2026年に入り、プチリニューアルし、第5回を実施します。

映画『ランニング・マン』グレン・パウエル ランニング・マン【レビュー】

1982年、原作者のスティーヴン・キングはリチャード・バックマンというペンネームで、本作の原作小説「ランニング・マン」を出版し、1985年にキング本人の名前で…

映画『終点のあの子』當真あみ/中島セナ 終点のあの子【レビュー】

『伊藤くんA to E』『私にふさわしいホテル』『早乙女カナコの場合は』などの原作者としても知られる柚木麻子のデビュー作「終点のあの子」が映画化…

映画『ダウントン・アビー/グランドフィナーレ』ローラ・カーマイケル ローラ・カーマイケル【ギャラリー/出演作一覧】

1986年7月16日生まれ。イギリス出身。

映画『MERCY/マーシー AI裁判』クリス・プラット/レベッカ・ファーガソン MERCY/マーシー AI裁判【レビュー】

人間 vs. AIという構図になっているかと思いきや…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集! 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

2025年10月から始めた映画学ゼミは、皆様のおかげで第4回(全8コマ)を実施できました。本当にありがとうございます! 2026年に入り、プチリニューアルし、第5回を実施します。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集

REVIEW

  1. 映画『マーズ・エクスプレス』
  2. 映画『鬼胎(クィテ) 黒い修道女』ソン・ヘギョ
  3. 映画『HELP/復讐島』レイチェル・マクアダムス
  4. 映画『ランニング・マン』グレン・パウエル
  5. 映画『終点のあの子』當真あみ/中島セナ

PRESENT

  1. 映画『アウトローズ』ジェラルド・バトラー
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP