REVIEW

LOVE LIFE【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『LOVE LIFE』木村文乃/永山絢斗

『LOVE LIFE』というタイトルで、雨に打たれた悲しい表情の主人公が写ったキービジュアル。どことなくギャップを感じるこの組合せから、本編を観る前にいろいろな想像が掻き立てられます。本作は、矢野顕子の曲“LOVE LIFE”の歌詞から生まれたとされていて、劇中でも同曲が流れています。私はこの曲を知らずに本作を観たので、元のイメージがなかった分、ストーリーに曲がのることでいろいろな解釈を楽しめました。もともとこの曲をご存じなら、それはそれでどんな感覚になるのか試していただければと思います。
この物語は、タイトル通り、愛を描いています。木村文乃が演じる主人公の妙子をはじめとして、登場人物それぞれの愛の物語です。この物語でとてももどかしいのは、目の前に愛があるのに、届かない愛を追いかけてしまうところ。登場人物達のそんな様子を観ていると、人は自分が必要とされていることを実感したい、必要とされていると実感することで自分の存在意義や愛を確かめているのかもしれないと思いました。だから、これは幸せな状況に安住できない人間の辛い定めなのかもしれません。同時に、とても高尚な愛に見えても、相手にとってはただの親切な行為に過ぎなかったり、相手には相手の求めるものが別にあって、愛というよりエゴイズムになっていることに気付かないこともあるのかもしれないと気付かされます。とてもやるせない状況ですが、ここで矢野顕子の“LOVE LIFE”の歌詞が優しく響き、心を癒してくれます。
恋愛関係に限らず、追いかけばかりの愛に疲れている方は本作を観ると、客観視できる部分は多いと思います。切ないストーリーでありながら、新たな視点を得られる部分もあるので、リフレッシュに観るのも良さそうです。

デート向き映画判定
映画『LOVE LIFE』木村文乃/砂田アトム

男女の複雑な関係が描かれているので、ラブラブなムードになるというよりも、自分達の関係を客観視して、とても現実的な思考になるのではないでしょうか。でも、もしかしたら普段悶々と抱えていることを打ち明ける機会にできるかもしれません。また、関係が安定してお互いの存在が当たり前になっているカップルは、これを機にたまには言葉や態度でも相手を必要としていることをアピールするようにしてみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『LOVE LIFE』永山絢斗/山崎紘菜

大人向けの内容なので、子どものうちはピンとこないところもあると思います。また、大人の複雑な心境も描かれているので、せめて、中学生くらいになってから観るほうがよりリアルにイメージできるのではないでしょうか。皆さんの世代は矢野顕子の“LOVE LIFE”という曲を知らないと思いますが、親世代、祖父母世代に曲のイメージや解釈を聞いてみるとおもしろそうです。

映画『LOVE LIFE』木村文乃/永山絢斗/砂田アトム/山崎紘菜/神野三鈴/田口トモロヲ

『LOVE LIFE』
2022年9月9日より全国公開
エレファントハウス
公式サイト

©2022映画「LOVE LIFE」製作委員会&COMME DES CINEMAS

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ナイトボーン -夜哭-』セイディ・ハーラ ナイトボーン -夜哭-【レビュー】

REVIEWいやー激しかったー!『ハッチング-孵化-』のハンナ・べルイホルム監督作で、お産…

映画『オデュッセイア』マット・デイモン オデュッセイア【レビュー】

本作を観て、多くの映画ファンに映画館で観なければ意味がないと思わせるノーラン監督作が、観客にもたらす特別な映画体験の根幹には何が共通しているのかを改めて考えました…

海外ドラマ『ザ・ボーイズ シーズン4』トメル・カポン トメル・カポン【ギャラリー/出演作一覧】

1985年6月15日生まれ。イスラエル生まれ。

映画『バックルームズ』キウェテル・イジョフォー バックルームズ【レビュー】

この短編の再生数はなんと2億回を突破し、パーソンズ監督は17歳で本作の映画化に取りかかり、19歳の時に撮影、20歳で長編デビューを果たしました…

映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ 『私たちは、ちょうどいい。』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『私たちは、ちょうどいい。』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『左利きの少女』ニーナ・イエ かわいいだけじゃ務まらない!名子役特集Vol.4

今回も、主役から脇役まで存在感を大いに発揮している名子役をご紹介します!

映画『TAVERNA DE GAGA―人生はまだまだ面白い―』パンツェッタ・ジローラモ 『TAVERNA DE GAGA―人生はまだまだ面白い―』キャスト&監督登壇!先行プレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『TAVERNA DE GAGA―人生はまだまだ面白い―』先行プレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『平行と垂直 』安田章大/のん 平行と垂直【レビュー】

主演の安田章大にとって初の企画作品ともなる本作は、自閉スペクトラム症の兄、大貴(安田章大)と、妹の希(のん)の物語です…

映画『オークストリートの異変』アン・ハサウェイ/ユアン・マクレガー オークストリートの異変【レビュー】

本作が斬新なのは、日常に突如恐竜が入り込んでくる点です。文字どおり、家に恐竜が来ちゃうんです…

映画『私はあなたを知らない、』坂口健太郎/堀田真由/倉田瑛茉 私はあなたを知らない、【レビュー】

坂口健太郎が主演の中野量太監督作という情報のみで観たいと思い、ポスタービジュアル、あらすじ、キャッチコピーすら目にすることなく本編を拝見しました…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『ナイトボーン -夜哭-』セイディ・ハーラ
  2. 映画『オデュッセイア』マット・デイモン
  3. 映画『バックルームズ』キウェテル・イジョフォー
  4. 映画『平行と垂直 』安田章大/のん
  5. 映画『オークストリートの異変』アン・ハサウェイ/ユアン・マクレガー

PRESENT

  1. 映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ
  2. 映画『TAVERNA DE GAGA―人生はまだまだ面白い―』パンツェッタ・ジローラモ
  3. 映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春
PAGE TOP