REVIEW

リスペクト

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『リスペクト』ジェニファー・ハドソン

まず、久々にジェニファー・ハドソンのパワフルな歌声が聴けて感動。彼女が本作で演じたアレサ・フランクリンについては名前は聞いたことがありましたが、どんな歌を歌い、どんな背景がある方なのかは知らなかったので、本作で「あの曲も、この曲も彼女が歌ってたんだ!」と知って興味が湧きました。
アレサ・フランクリンは説教師として有名な牧師を父に持ち、マーティン・ルーサー・キング牧師とも親交があったことが本作で取り上げられています。彼女が歌手として活動していた時期と、キング牧師が率いたアフリカ系アメリカ人のための公民権運動の時期は重なっており、アメリカ史として観ても興味深い内容です。
そして、深く掘り下げられてはいませんが、彼女がまだ子どもの頃に起きた恐ろしい体験も描かれていて、人種問題だけでなく、女性がとても弱い立場にあったことも伝わってきます。そんな厳しい状況下で何とか歌手として成功しようともがくなかで名曲が生まれ、アレサ自身も力と自尊心をどんどん得ていく様子からは勇気がもらえます。また、本作はただのサクセスストーリーで終わらず、かといって苦労話に徹しているわけでもなく、彼女が本当に探していたものに辿り着く過程を描いている点で一層共感できます。彼女にとって歌はどんな存在だったのか。広い意味で大切にしているもの、大好きなものがある人皆に通じるストーリーとなっています。

デート向き映画判定
映画『リスペクト』ジェニファー・ハドソン/マーロン・ウェイアンズ

恋愛も重要な要素として描かれています。その場を乗り切るために自分が折れて、パートナーを立てるアレサの姿にもきっと共感できるでしょう。一方で、それでもやっぱり限界があることも描かれているので、今自分ばかりが我慢したり妥協しているなと悶々としているなら、2人で一緒に観てみると現状を客観視してもらえるところがあるかもしれません。もしくは1人でじっくり観て、今の関係を見つめ直すきっかけにするのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『リスペクト』ジェニファー・ハドソン

歌の才能に恵まれ、スターになっても、それで終わりではありません。誰もが最初は富や名声を求めて頑張ると思いますが、その先にあるものも見せてくれるストーリーです。そもそも自分が歌っているのはなぜなのか、何のために歌っているのか、彼女の目線で観てみてください。皆さんも得意で楽しいことに今取り組んでいるかもしれませんが、上を目指せば目指すほど楽しいだけではいられなくなると思います。そんな時に原点に戻る大切さを教えてくれる1作です。

映画『リスペクト』ジェニファー・ハドソン

『リスペクト』
2021年11月5日より全国公開
ギャガ
公式サイト

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン 『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『新解釈・幕末伝』山下美月 山下美月【ギャラリー/出演作一覧】

1999年7月26日生まれ。東京都出身。

映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作 もういちどみつめる【レビュー】

「18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました」(映画公式サイト、佐藤慶紀監督)とあるように…

映画『喝采』ジェシカ・ラング 『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『喝采』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ヒックとドラゴン』メイソン・テムズ メイソン・テムズ【ギャラリー/出演作一覧】

2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

「Kodansha Studios 設立発表会見」野間省伸(株式会社講談社 代表取締役社長)、 クロエ・ジャオ(Kodansha Studios 最高クリエイティブ責任者)、 ニコラス・ゴンダ(Kodansha Studios COO) 映画業界に新風を吹かせられるか?2025新レーベル発足および官民の取組みまとめ

今回は近日発足された新レーベルと、官民の取組みについてまとめて紹介します。

映画『果てしなきスカーレット』 果てしなきスカーレット【レビュー】

細田守が原作、脚本、監督を担当した本作は、16世紀のデンマークの王女、スカーレットが主人公です。細田監督は…

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智
  2. 映画『もういちどみつめる』筒井真理子/髙田万作
  3. 映画『果てしなきスカーレット』
  4. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  5. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉

PRESENT

  1. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  2. 映画『喝采』ジェシカ・ラング
  3. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
PAGE TOP