REVIEW

竜とそばかすの姫

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『竜とそばかすの姫』

細田守監督作の中でも本作は特に音楽と歌がとても印象的に使われていて、キャラクターの1人といっても良い役割を果たしています。冒頭から登場する色鮮やかで幻想的なインターネットの世界に響き渡るベル(すず/声:中村佳穂)の歌声は、1度聴いただけで頭に焼き付き、一気に物語の世界に観る者を引き込みます。劇中では複数の曲が出てきますが、アップテンポな曲からバラードまでじっくりと歌を聴かせるシーンがあり、メロディはもちろん歌詞の内容が一層物語を盛り上げます。そしてなんといってもベルことすずの声がとても綺麗で透明感があり、物語の中で彼女が果たす神聖な役割にとてもマッチしています。
また興味深い点は本作が『美女と野獣』をモチーフとしているところです。それは主人公すずのインターネットの世界での名前がベルであることや竜のキャラクター設定、薔薇がアクセントで登場することなどから気付く方もいるでしょう。でももちろん『美女と野獣』の設定そのままになっているわけではなく、あらゆるところにメタファーが隠されていたり、捻りが利いているので、そんなところにも注目すると一層楽しめると思います。
本作はインターネットの世界のさまざまな側面を描きながら、人と人との関わりに大事なものは何かということに気付かせてくれる内容です。私達の世界でも実際にインターネットの世界と現実の世界が2つあるような状況になっているなか、改めてこの世界でどう生きれば良いのか考えるきっかけにできると思います。

デート向き映画判定
映画『竜とそばかすの姫』

ラブストーリーの要素もありつつ、主人公が高校生で爽やかなストーリーとなっているので、初デートも含めカップルで観るのもオススメです。幻想的な映像や美しい楽曲で良いムードにもなれると思います。秘かに自分の恋心に気付いていながら一歩が踏み出さないでいる友達以上恋人未満のカップルにとっては、背中を押してくれる作品とも言えます。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『竜とそばかすの姫』

相手の信用を得て関係を深めるには何が重要かがわかるストーリーです。インターネットの世界では匿名で発言することも可能で、現実世界でも直接会うよりネットを通したコミュニケーションが増えていると思います。でも、それはそれで良い面を活かしつつ、本作を観ると現実世界で起きていることも大切にしようと思えるはずです。

映画『竜とそばかすの姫』

『竜とそばかすの姫』
2021年7月16日より全国公開
東宝
公式サイト

© 2021 スタジオ地図

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『満ち足りた家族』キム・ヒエ 「親の心子知らず、子の心親知らず」映画特集

2025年初旬に劇場公開される作品の中から、さまざまな親子関係を描いた作品をご紹介します。どれも全くタイプの異なる作品ですが、同じテーマで観比べるのもおもしろいと思います。

映画『ボーダーランズ』ケイト・ブランシェット/ケヴィン・ハート/ジャック・ブラック/エドガー・ラミレス/ジェイミー・リー・カーティス/アリアナ・グリーンブラット ボーダーランズ【レビュー】

世界累計8,700 万本以上という、史上最も売れたビデオゲーム“Borderlands(ボーダーランズ)”を原作とし、イーライ・ロス監督が映画化…

映画『勇敢な市民』シン・ヘソン シン・ヘソン【ギャラリー/出演作一覧】

1989年8月31日生まれ。韓国出身。

映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』ウー・カンレン/ジャック・タン Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり【レビュー】

『ミス・アンディ』『分貝人生Shuttle Life』などの社会派作品のプロデューサーを務めてきたジン・オンの長編監督デビュー作となる本作は…

映画『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』セバスチャン・スタン ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き26】2025年1月「気になる映画とオススメ映画」

年末年始の話題作が盛りだくさんなので、拾い上げきれない作品もありましたが、今回もなるべく多くの作品についてしゃべりました。洋画、邦画、アニメまで、オススメが多過ぎて、熱が入りました。ネタバレを避けるために、表現がもどかしい部分もありますがご容赦ください(苦笑)。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』 劇場アニメ『ベルサイユのばら』【レビュー】

1972年から1973年まで「週刊マーガレット」(集英社)で連載され、1974年に宝塚歌劇団により舞台化されたほか…

映画『籠の中の乙女 4Kレストア版』 籠の中の乙女 4Kレストア版【レビュー】

ヨルゴス・ランティモス監督がキャリアの初期に手掛けた、カンヌデビュー作である本作は、2009年に製作されたギリシャ映画…

映画『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』トニー・レオン/アンディ・ラウ ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件【レビュー】

トニー・レオンとアンディ・ラウが“インファナル・アフェア”シリーズ以来20年ぶりに共演を果たした…

映画『おんどりの鳴く前に』ユリアン・ポステルニク おんどりの鳴く前に【レビュー】

ルーマニア・アカデミー賞で6冠に輝いた本作は、静かに始まり激しく…

映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』ジェシー・アイゼンバーグ/キーラン・カルキン リアル・ペイン〜心の旅〜【レビュー】

“リアル・ペイン=本当の痛み”を感じるとは、どういうことなのでしょうか。そして、本当の痛みとは…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

映画『ソルト』アンジェリーナ・ジョリー 映画好きが推すイイ俳優ランキング【海外40代編】個性部門

本部門で上位にランクインしたのはどの俳優なのでしょうか?2024年のイイ俳優ランキングは今回がいよいよ最終回です。ぜひ最後まで結果を見届けてください!

REVIEW

  1. 映画『ボーダーランズ』ケイト・ブランシェット/ケヴィン・ハート/ジャック・ブラック/エドガー・ラミレス/ジェイミー・リー・カーティス/アリアナ・グリーンブラット
  2. 映画『Brotherブラザー 富都(プドゥ)のふたり』ウー・カンレン/ジャック・タン
  3. 劇場アニメ『ベルサイユのばら』
  4. 映画『籠の中の乙女 4Kレストア版』
  5. 映画『ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件』トニー・レオン/アンディ・ラウ

PRESENT

  1. 映画『知らないカノジョ』中島健人/milet
  2. 映画『あの歌を憶えている』ジェシカ・チャステイン/ピーター・サースガード
  3. 映画『ドライブ・イン・マンハッタン』ダコタ・ジョンソン/ショーン・ペン
PAGE TOP