REVIEW

1640日の家族【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『1640日の家族』メラニー・ティエリー/ガブリエル・パヴィ

アンナとドリス夫妻は、里子のシモンを迎え入れ、実子の息子2人も含め家族5人で幸せに暮らしています。シモンを迎え入れて4年半、一家にとってシモンは家族の一員で、シモン自身も家族に馴染んでいます。そんなある日、シモンの実の父親から突然「シモンを手元で育てたい」と申し出があります。
4年半の間に少しずつ育んできた家族の絆を想像すると、突然離れることになるのは本当に辛いだろうなと感じます。特に里親でありながら実子と同じようにシモンを育ててきたアンナにとっては厳しい現実を突きつけられます。物語の行方は本編でご確認いただくとして、1番難しいと感じるのは里親が里子に対してどこまで愛情を注ぐのかという点。本作のアンナの場合、シモンに深い愛情を注いでいて、離れることは想像もしておらず、「実の父親にシモンを取られてしまう」という恐怖心もあるように見えます。かといって、里子といつか離れることを考えながら生活をするのも違和感があります。本作の公式資料によると、フランスでは、公的機関だけでなく地域ぐるみで、困難な状況にいる児童と里親家族を支援する活動が行われおり、劇中でも描かれているように、週末は実の家族と過ごし、平日は里親の家庭で過ごすなど、柔軟な里親制度があるそうです。フランスと日本の里親制度は違う点もあるようなので、これを機に日本の里親制度を調べたり、考えるきっかけにもなると思います。
また、複雑な心境を抱える母親のアンナを演じたメラニー・ティエリーをはじめ、アンナを支える夫を演じたリエ・サレム、里子のシモンを演じたガブリエル・パヴィの名演も見逃せません。アンナとシモンを中心とした複雑な人間ドラマも見どころなので、さまざまな人物の言動に翻弄されながら、結末を観届けてください。

デート向き映画判定
映画『1640日の家族』メラニー・ティエリー/フェリックス・モアティ/ガブリエル・パヴィ

恋愛というよりも家族の深い愛をテーマにした作品なので、ロマンチックなムードにはなれません。もし将来結婚を考えているカップルであれば、本作の愛情溢れる家族関係は参考になると思います。鑑賞後は本作に登場した家族について話したり、お互いの家族観について話すと、結婚後の生活も想像しやすくなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『1640日の家族』ガブリエル・パヴィ

キッズは、シモンや兄弟達の気持ちなら共感できそうです。ティーンの場合はアンナ夫婦、シモンの実の父親など、大人の気持ちも想像しながら観てみてください。里親制度についてわからない点は鑑賞後に調べてみて、里子が幸せになるためにはどうしたら良いのか、自分なりに考えてみて欲しいと思います。

映画『1640日の家族』メラニー・ティエリー/リエ・サレム/ガブリエル・パヴィ

『1640日の家族』
2022年7月29日より全国公開
ロングライド
公式サイト

© 2021 Deuxième Ligne Films – Petit Film All rights reserved.

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

映画『ラ・コシーナ/厨房』ラウル・ブリオネス/ルーニー・マーラ ラ・コシーナ/厨房【レビュー】

イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲“調理場”を映画化した本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  2. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  3. 映画『リライト』池田エライザ
  4. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李
  5. 映画『プレデター:最凶頂上決戦』

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP