REVIEW

兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大

REVIEW

本作は、子どもの頃からわだかまりを感じていた兄が急死し、身辺整理をすることになった妹が、兄の人生に携わった人々と会うことで、兄との関係を改めて振り返る4日間を描いています。原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」です。そして、この実話を映画化したのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』『長いお別れ』『浅田家!』と、家族の物語を得意とする中野量太。中野量太監督は、本作で脚本も担当しています。

映画『兄を持ち運べるサイズに』オダギリジョー

『兄を持ち運べるサイズに』という映画のタイトルが、“骨壺に入った”兄を表していることは容易に想像がつきます。でも、最後まで観ると別の意味も含まれているとわかります。どういう意味なのかは観た上で皆さんそれぞれに想像いただければと思いながら、最後にわかる別の意味は、“亡き兄と過ごした4日間”で何が残ったかを絶妙に表していると感じます。

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/青山姫乃

さらにこのストーリーの魅力は、綺麗事で終わっていない点にあります。たとえば、妹の村井理子(柴咲コウ)、元妻の加奈子(満島ひかり)にはそれぞれの立場で“兄”(オダギリジョー)に対する思い出があり、良い思い出とはいえない思い出もあります。亡くなったからといって、すべてが良い思い出として語られるわけではなく、各々が正直に気持ちをぶつける姿には、共感できます。そして何より、実話ベースという点で親近感が湧きます。

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/青山姫乃

理子の家族の反応と理子の感覚のズレも、理子の気持ちの変化を知る手がかりになっています。たった4日間とはいえ、いかに濃厚な4日間だったかがわかり、改めて家族の関係って捉えどころがない上に、人生に大きなインパクトを与えるパワーがあるなと感じます。

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ

キャラクターが一人ひとり立っている点にも、キャストと、中野量太監督の手腕を感じます。特に良一を演じた、子役の味元耀大は実力派俳優のなか、堂々たる演技を披露しています。『ふつうの子ども』『俺ではない炎上』でも存在感を発揮していて、今後が楽しみです。

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/味元耀大

家族の美談で涙を誘うという安直なストーリーではない分、逆に家族の良い思い出がない方でも、少し頭を柔らかくし、心をほぐす機会になるかもしれません。また、忙しい日々の中で知らぬ間に心が渇いていると気づかせてくれる部分もありますよ。

デート向き映画判定

映画『兄を持ち運べるサイズに』オダギリジョー

オダギリジョーが演じる兄は、恋愛相手、結婚相手としてはオススメできない人物に映りつつも、憎めない人柄が見えるので、似たタイプの方とお付き合いをしている方は、自分の恋愛を客観視できるのではないでしょうか。ただし、私はそれでもこの人が好きとなるか、現実的に考えて未来がないと感じるかは、分かれそうなので、1人でじっくり観るほうが良いかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/満島ひかり/青山姫乃

妹から見た人物像、元妻から見た人物像だけではなく、娘、息子から見た人物像も描かれていて、同じ人物に対して、家族の立場でもそれぞれに感じていることが異なるとわかります。家族関係は簡単には切れないものの、距離を置かざるを得ない状況が出てくるのも事実です。仲の良さや悪さだけではなく、何が家族の問題を引き起こすのか、1つの例を知ることができるでしょう。

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大

『兄を持ち運べるサイズに』
2025年11月28日より全国公開
カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「兄の終い」村井理子 著/CE メディアハウス刊
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『チルド』染谷将太 チルド【レビュー】

私達の生活に溶け込んでいるコンビニエンスストアは、角度を変えると、“特別な場所”なのかもしれません。その意味が本作を観ると…

映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ ヌーヴェルヴァーグ【レビュー】

“ヌーヴェルヴァーグ”(日本語に訳すと「新しい波」)とは、「1950年代後半のフランスで台頭した新世代の監督たちが、既存のルールに縛られず…

映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ オブセッション 災愛【レビュー】

これはやばい(笑)。いろいろな意味で怖過ぎて、笑っちゃうおもしろさです。監督を務めたのは、1999年生まれの若き新鋭カリー・バーカー…

映画『リライト』篠原篤 篠原篤【ギャラリー/出演作一覧】

1983年2月1日生まれ。福岡県出身。

映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ 大統領のケーキ【レビュー】

本作は、フセイン政権下のイラクが国連安保理により経済制裁を受けていた1990年代を舞台に描かれています。当時フセインは、国民が困窮しているにもかかわらず…

映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン サヨナラの引力【レビュー】

本作は、超大ヒットした『私の頭の中の消しゴム』(2004)が持つ韓国での観客動員数記録を塗り替え、260万人を突破する記録的大ヒットを飛ばしました…

映画『スーパーガール』ミリー・オールコック ミリー・オールコック【ギャラリー/出演作一覧】

2000年4月11日生まれ。オーストラリア出身。

映画『ラブ≠コメディ』中島健人/長濱ねる ラブ≠コメディ【レビュー】

キャッチコピーを見ずにタイトルだけを見ると、コテコテのラブコメなのかなと思いますよね。実は…

映画『死ねばいいのに』奈緒 死ねばいいのに【レビュー】

観ているそばから圧倒されつつ、結末で一層圧倒されます。まずは原作者、京極夏彦が生み出したストーリーによる、思考の具現化のレベルの高さに衝撃を受けます…

映画『ロングウォーク』クーパー・ホフマン/デヴィッド・ジョンソン 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年6月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年6月】のアクセスランキングを発表!

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集! 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

今回は、私の研究で扱っている情動知能を取り上げます。非認知能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『チルド』染谷将太
  2. 映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ
  3. 映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ
  4. 映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ
  5. 映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン

PRESENT

  1. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
  2. 映画『だぁれかさんとアソぼ?』鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)
  3. 映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック
PAGE TOP