REVIEW

サタデー・フィクション【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『サタデー・フィクション』コン・リー/オダギリジョー

『ふたりの人魚』『パープル・バタフライ』などを手掛けたロウ・イエ監督の第11作目にあたる作品です。本作では、太平洋戦争が勃発する直前の上海を舞台に、日中欧の諜報部員が機密情報を求めて暗躍する姿をモノクロ映像で描いています。映画の公式資料によると、監督はかねてよりモノクロ映像に挑戦したかったそうで、本作では劇中の音楽も排除しています。そういった監督のこだわりから、スパイ達の緊迫感がより強調され、上質なスパイ映画に仕上がっています。
物語は、日本が真珠湾攻撃をする7日前から始まります。表では人気俳優、裏ではスパイの顔を持つ主人公のユー・ジン(コン・リー)は、新作舞台のために上海を訪れます。そして、日本からは海軍少佐の古谷(オダギリジョー)が海軍特務機関に属する梶原(中島歩)と共に、暗号更新のため上海にやってきます。俳優をしながらスパイ活動も行うユー・ジンの姿は観ていてとてもハラハラします。時にはファンサービスを求められることもあるので、もし敵が紛れていたらどうなるのかと心配になります。でも、そんな心配をよそに、ユー・ジンが華麗に作戦を遂行する姿はとてもカッコ良いです。そして、日本から本作に参加したオダギリジョーと中島歩の演技も印象に残ります。特に古谷と梶原がユー・ジンと急接近するシーンは、見せ場の1つとなっています。
スパイ達の心理戦や、銃撃シーンなどは、モノクロ映像であることから、よりスタイリッシュに見えます。スパイ映画好きの方はもちろん、モノクロ映画にあまり馴染みのない方も本作で挑戦するのも良いと思います。

デート向き映画判定
映画『サタデー・フィクション』コン・リー

スパイ映画好きのカップルはぜひデートでご覧ください。モノクロであることにより、銃撃シーンの生々しさが良い意味で軽減されているので、アクションシーンが苦手な方でも本作なら比較的観やすいのではないでしょうか。また、本作ではある作戦の一つとして恋愛が意外な絡み方をしています。どんな時でも冷静なスパイや要人達が、愛によってどう翻弄されるのか注目です。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『サタデー・フィクション』オダギリジョー

セリフで多く語るよりも情景や各人物の動きを通して物語が進行するタイプの作品です。時代背景もある程度理解していたほうが物語の理解も深まるので、せめて中学生くらいになってから観ることをオススメします。ティーンの場合は、これを機に歴史的背景を調べたり、他のスパイ映画も観てみるのもオススメです。

映画『サタデー・フィクション』コン・リー/マーク・チャオ/オダギリジョー

『サタデー・フィクション』
2023年11月3日より全国順次公開
アップリンク
公式サイト

©YINGFILMS

TEXT by Shamy

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2023年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  2. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  3. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  4. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  5. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP