本作は、『グラディエーター』でアカデミー賞脚本賞を受賞したウィリアム・ニコルソンが、自身の両親との実体験をもとに脚本を書き上げ、自ら監督を務めた作品です。結婚29周年を迎えようとしていた熟年夫婦のグレース(アネット・ベニング)とエドワード(ビル・ナイ)。物語は、ある日エドワードがグレースに突然別れを切り出すところから始まります。そして、実家に帰ってきた1人息子のジェイミー(ジョシュ・オコナー)が、両親の板挟みになりながらも、何とか現状と向き合おうとする様子が映し出されていきます。
本作の夫婦を観ていると、たとえ夫婦であってもお互いのすべてを理解しているとは限らないこと、夫婦関係の正解を見つけることの難しさを痛感させられます。そんな絶妙な関係性の夫婦を演じたアネット・ベニング、ビル・ナイの演技は物語により説得力を与えていますし、それに負けないジョシュ・オコナーの演技も見事です。長年連れ添ったパートナーがいる方はもちろん、これから結婚を考えている方にとっても夫婦関係を良好に保つためのヒントを得られる作品だと思います。ぜひいろいろな角度から本作の夫婦を見つめてみてください。
熟年夫婦の離婚危機のお話なので、初デートにはあまり向かないと思います。もし実際に夫婦関係に違和感を感じている人の場合は、できれば1人で観ることをオススメします。本作の夫婦関係を観て、グサッと刺さる部分もあるかもしれませんが、これを機にご自身のパートナーに対する普段の態度や言動を振り返るきっかけにもなりそうです。
皆さんの場合、夫婦関係への共感は難しいと思いますが、息子のジェイミーの視点で観られると思います。ジェイミーは、両親の板挟みとなり、とても苦労しますが、それでもくじけずに両親に優しく寄り添っていきます。その一生懸命な姿勢は、きっと皆さんの心にも響くものがあるのではないでしょうか。
『幸せの答え合わせ』
2021年6月4日より全国順次公開
キノシネマ
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TEXT by Shamy