REVIEW

サポート・ザ・ガールズ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『サポート・ザ・ガールズ』レジーナ・ホール/ヘイリー・ルー・リチャードソン

胸の谷間が強調される短いTシャツにホットパンツというヘソ出しルックの女性達が接客をするスポーツバーが舞台の本作は、アメリカの至るところにある“日常”を切り取ったようなストーリーです。でも、平凡、平和でいいはずの“日常”で、女性達はこんなに闘わなければいけないのかと痛感させられます。公式サイトに掲載されている監督のコメントには「私たちのほとんどは、生活費を稼ぐために狂った“コンセプト”を買ったり売ったりしなければならず、時に、ユーモアと尊厳を勤務時間の終わりまで持ち続けられるのか、わからなくなるのです」とあります。まさにそれが象徴される場所を物語の舞台にしている点で、働く者なら誰もが感じていながらやり過ごしている本音を見事に投影しています。
そして、店でのやり取りも印象的ながら、終盤の面接のシーンにも何ともいえない苦みが利いています。解釈の仕方はさまざまあると思いますが、人は「何かがおかしい」と感じながらも、生活をするために仕事を得ないといけない不条理さが表現されたシーンとなっています。“不条理”という意味では、主人公のリサ・コンロイ(レジーナ・ホール)の善意、善行についてもいえることで、「正直ものがバカをみる」という現実を突きつけられます。ただ、本作はそんな状況でもリサや仲間達が明るく逞しく前を向く姿を描いている点で救いがあります。最後は「やっぱり女性は強い!」と元気をもらえますよ。

デート向き映画判定
映画『サポート・ザ・ガールズ』ディラン・ゲルーラ

主人公達と同じような心境を抱えながら日々を過ごしている女性達が共感できる内容なので、女性同士で観るか、1人でじっくり観るほうが気楽に観られそうです。ただ、無意識に女性蔑視をしてしまっていることに気付く良い機会にもなりそうなので、注意喚起の意味で身近な方と一緒に観て、感想を共有するのも有意義なのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『サポート・ザ・ガールズ』レジーナ・ホール/ヘイリー・ルー・リチャードソン/シャイナ・マクヘイル

女性蔑視、ジェンダー・ギャップの問題において、女性が善で、男性が悪という単純な問題ではないことは、本作を観ればわかると思います。男性の下心を利用しようとして自ら下品なセクシャル・アピールをする女性も登場したり、問題を引き起こしている要因をいろいろと想像できると思います。これからの社会を少しずつでも変えていけるよう、未来を担う若い皆さんにも関心を持って欲しいです。

映画『サポート・ザ・ガールズ』レジーナ・ホール/ヘイリー・ルー・リチャードソン

『サポート・ザ・ガールズ』
2022年10月7日より全国順次公開
グッチーズ・フリースクール
公式サイト

© 2018 Support The Girls, LLC All Rights Reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平 次元を超える【レビュー】

キービジュアルとタイトル、「人はどこから来て、どこへ行くのか」という意味深なキャッチコピーだけで観たくなったのは…

映画『見はらし世代』黒崎煌代 黒崎煌代【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月19日生まれ。兵庫県出身。

映画『ヒポクラテスの盲点』 ヒポクラテスの盲点【レビュー】

新型コロナウイルスワクチンの被害が起こっている現実に着目した、中立した立場の取材に基づくドキュメンタリー…

映画『ファンファーレ!ふたつの音』ピエール・ロタン ピエール・ロタン【ギャラリー/出演作一覧】

1989年6月20日生まれ。フランス出身。

映画『トロン:アレス』ジャレッド・レト トロン:アレス【レビュー】

本シリーズ1作目『トロン』(=『トロン:オリジナル』)は1982年、『トロン:レガシー』は2010年に作られ、本作はシリーズ3作目となります…

映画『層間騒音』イ・ソンビン 層間騒音【レビュー】

冒頭から不可解な現象が映し出され、観る側はゾワゾワさせられながら騒音の原因を想像することになるわけですが…

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ミア・スレアプレトン ミア・スレアプレトン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月12日生まれ。イギリス出身。

韓国ドラマ『TWELVE トゥエルブ』マ・ドンソク/パク・ヒョンシク/ソ・イングク/ソン・ドンイル/イ・ジュビン/コ・ギュピル TWELVE トゥエルブ【レビュー】

マ・ドンソク、パク・ヒョンシク、ソ・イングクなど人気俳優が出演する本作は、十二支をモチーフにした守護神達…

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『秒速5センチメートル』松村北斗/高畑充希 秒速5センチメートル【レビュー】

本作は、新海誠監督が33歳の時に作った同名アニメーション作品を、33歳(撮影当時)の奥山由之監督が実写化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106スイーツ画像あり スイーツを食べながらゆったり学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】女性限定ご招待!

生きていく上でお金との関わりは不可欠です。困ってから慌てるのではなく、先に知っておくと気持ちが楽!だから、私達と一緒にファイナンシャルプランナーさんのお話を聞いてみませんか? 本イベントでは、商品の販売や勧誘はありません。スイーツを食べてホッコリしながら、お話を聞いて、明るい未来を思い描く機会にしましょう!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. AXA生命保険お金のセミナー20251106スイーツ画像あり
  2. 映画学ゼミ:アイキャッチ1/本の上の犬と少女
  3. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃

REVIEW

  1. 映画『次元を超える』窪塚洋介/松田龍平
  2. 映画『ヒポクラテスの盲点』
  3. 映画『トロン:アレス』ジャレッド・レト
  4. 映画『層間騒音』イ・ソンビン
  5. 韓国ドラマ『TWELVE トゥエルブ』マ・ドンソク/パク・ヒョンシク/ソ・イングク/ソン・ドンイル/イ・ジュビン/コ・ギュピル

PRESENT

  1. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  2. AXA生命保険お金のセミナー20251106スイーツ画像あり
  3. 映画『愚か者の身分』北村匠海/林裕太
PAGE TOP