取材&インタビュー

「自分が本当に好きなもの、愛するものを表現しろ」ウィル・スミス、アン・リー監督、ブラッカイマーが熱弁『ジェミニマン』来日

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映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス、アン・リー監督、ジェリー・ブラッカイマー(製作)/バイリンガールちか(YouTubeクリエイター代表ゲスト)

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス、アン・リー監督、ジェリー・ブラッカイマー(製作)/バイリンガールちか(YouTubeクリエイター代表ゲスト)

3DHFR(ハイ・フレーム・レート)を使い、驚異の映像を実現した本作の公開を間近に控え、主演のウィル・スミスと、アン・リー監督、プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが来日しました。今回のイベントにはYouTubeクリエイターが参加し、クリエイター目線の質問を中心に濃厚なお話が聞けました。そして2人のウィル・スミスが登場する本作にちなんで、MCは、人気ユーチューバーのバイリンガールちかが務め、英語と日本語の二役を果たしました。Q&A方式で全容をお届けします。

Q:今回、若いウィルが劇中で再現されていますが、実際それを観た時、どんなリアクションでしたか?

ウィル:ジュニアは100%デジタルのキャラクターで、私の顔ではないんですね。顔からしわを取ったりという細工をしたわけではなくて、完全にCGIということでちょっと怖いし、でもこの映画でアン・リー監督が示した可能性っていうのは、どんどんこの芸術を伸ばしていく、クリエイティブやアーティスティックな面がこれからどんどん伸びていくだろうとワクワクさせられます。

Q:これだけすごく新しい技術を使って、新しい作品を世に出すって、ワクワクする半面、不安はないのかなという疑問もあります。今はSNSもあって、映画を観る人達との距離感も縮まっていると思いますが、観客のリアクションをどう気にされますか?

アン・リー監督:いち映画監督として言わせてもらうなら、こんなに好きなことができて、お金がもらえて、こんなにおいしい話はありません。僕は興味の赴くままに、まるで競馬の馬のように「追っかけろ!」と言われれば、熱心に追いかけてしまうような人なので、僕としてはすごく嬉しいです。映画に出資している皆さんのほうがナーバスになっているのではと思います(笑)。僕の頭の中では理論上作れるというのは確実にわかっているんですけども、それを今の観客の皆さんが受け入れてくださるのか、あるいは拒否してしまうのか、これはもう観客の判断に委ねるしかない部分なので、どうしようもないですけど、まずは作ってみないとどう受け取られるかもわかりませんので、僕としてはやっぱり嬉しいことではあります。もちろん映画を作る者として、ある種の責任は負うんですけど、この映画はもう作っちゃったんで、あとは皆さんの判断に委ねます。出資してくださる皆さんも映像を作る我々と一緒だと思うんですけど、また観客の皆さんも一緒だと思うんですけど、私達は夢を追うんですよね。そこが一番重要で頼りになる部分ではないかと思います。

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス

ウィル:ここにいるのはクリエイター達ということで、1つだけ付け加えたいんですけど、人々がこういうものを望んでいる、好きだろうと思って作ってしまう誘惑はあると思います。しかしそれは危険な道で、人々が好きになってくれるようなものを作ろうとするのはいけないことであって、やはりクリエイティビティっていうのは、ホンモノ、自分の中で活き活きしているもの、自分を表現する手段なので、自分の中でどうしてもこれを伝えたいというようなものを伝えるのが一番大事なことです。非常に怖いことだし、危険なことだし、もしかしたら人々に気に入ってもらえないかも知れないし。でも、やはりそれは毎日毎日自分が起きて、いきたいとか、やりたいと思うようなことであって、だからこそそれが人々にどう受けとめられるかっていうよりも、自分自身がそれがどうしてもやりたいってことであって欲しいです。

ジェリー・ブラッカイマー:この作品を始めた時に、リー監督ご自身が、これは1人でできるかどうかというのは確信を得ていらっしゃらなかったと思います。ですが、監督は(『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』で)トラをデジタルで描くということをされていて、今回は人間をデジタルで作り上げるということなんですけど、これは全く異なる体験です。今回のキャラクターはデジタルではありますが、すべてはウィル・スミスの演技をもとに作られています。彼の演技がなくては成り立たないことを皆さんに理解して頂きたいと思います。先ほどウィルが“忠実であること”“ホンモノであること”とおっしゃいましたけど、これがとても重要なことなんです。これが上手くいくかというのは最初わからなかったんですが、実際私達は『バッドボーイズ』の映像を使ったんです。車の中でウィルとマーティンが座っているシーンで、2ショットだけウィルをデジタルで入れ替えてみたんですね。それで実際に違いがわからなかったということで、何か特別なものになるという感触を得ました。

Q:若い世代の方々が映像を作って、SNSに上げている方も増えていますが、この件をどう考えてらっしゃいますか?

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:アン・リー監督

アン・リー監督:自分が本当に好きなもの、愛するものを表現しろと、ウィルさんからお言葉を頂きましたけども、それに加えて、誠実性が大事で、自分が心底、腹の底で感じること、心底信じていることに忠実であれという風に思います。アーティストたる者、あらゆるメディアを使って、表現していくわけですが、自分がどういう媒介を使うにせよ、それを自分の手を使って表現すること、これは非常に非常に純粋な作業です。時として、そのメディアを通してでしか、自分の中の真実にありつけないというか、理論を超えた、また言語化できない、言語を超えた領域に到達できるのではないかと思います。それをゆくゆくは受け手に委ねてるわけですが、受け手との交流も非常に純粋なものだと感じています。そのものを作っていく上で、例えば演じたり、何かを想像したり、何かに芸術的な解釈をしたり、あるいは架空なり虚構なりを加えたりして、我々は表現するわけですけども、そうやって虚構を通してこそ、真の人間を観察、研究することができて、そしてそこからできるのではないかと思います。そこから生まれる交流というのは、非常に温かいものがあるのではと思います。

Q:テクノロジーがここまで最先端になって、フレーム・レートも衝撃だったと思うんですけど、これだけクリアに見えるなか、演技の難しさはどんなものがありましたか?

ウィル:まず普通の映画といくつか違いがあるんです。フレーム・レートが高くて3Dということで、これはもうこの作品のために作られた技術であるんですけど、メイクは付けられない。というのは何かを顔に付けていたら、すべてカメラが捉えてしまうということで、とにかく水をいっぱい飲んでお肌をプルプルにしておくんです。もう一つの違いは、カメラ自体が大きいんですね。3台カメラがあるんですけど、そのうち2つのカメラは目になり、どういう風に見えるかを表すわけですね。同時に没入感というのが非常に大事なことで、今回アクションの中に完全に入り込めるし体験ができるということですね。俳優としては、ちょっと3Dでは動きが制約されてしまいます。例えば、こういう風にしたいけどという時に、あまり前に出すぎてはいけない。3Dなのでやり過ぎてしまうことになるので、2Dとは違うところです。

Q:大ヒット作を連発して製作しているブラッカイマーさんには、たくさんの企画が舞い込んでくると思いますが、どういう理由で製作するかしないかを決めているんでしょうか?

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ジェリー・ブラッカイマー(製作)

ジェリー・ブラッカイマー:アン・リー監督が先ほどおっしゃっていたことと通じることですが、まず自分が観たいもの、自分がワクワクする作品が何かっていうところですね。皆さんの好みは私自身にはわかりません。私が何か好きかはわかっています。また、何年もかかるので、その作品を作っていても、完成する頃には人間も変わります。今作は15年かかっているんです。だから慎重に作業を進めていかなくてはいけない。気を付けなくてはいけないことは、何を観たいのか、何を作りたいのかということ。実際に製作費もとても長くかかりますので、本当に自分が好きな、愛するものでなくてはならないと思います。

Q:クローンが対峙するストーリーはSFとしては古典的だと思いますが、なぜこのタイミングでこのストーリーの映画を撮ろうと思ったんですか?

アン・リー監督:僕がこの作品を手掛けたのは、たまたまお話を頂いたからではありますが、ちょうど2年前に製作陣からお話を頂きました。ですが実は、この物語のSF的な部分にはさほど興味はなくて、そこがポイントではないんです。むしろ自分と全く同じ顔をした自分と会う時に、まるで幽霊を見るような感覚になるんじゃないかと思います。全く遺伝子が一緒なわけですから。その不気味さといいますか、そこを追究したかったんですね。もしそういうもう1人の自分と会ったら、いろいろな問いが浮上してくると思います。それは自分は唯一無二の存在なのか、自分には果たして魂があるのか、クローンのほうに魂があるのか、自我とは何なのか、人は環境によって決定づけられるのか、遺伝子によって決定づけられるのか、あるいは遺伝子操作の是非とか。人は科学的にも社会的にも、例えば教育を通して、あるいは政府の施策を通して、いろんな形で外的要因があって形成されていくわけですけども、こういうことについて考えなければいけないような境地は、非常に人を苛むものなのではないかと思います。ですので、SF的部分よりも、このストーリーを使って、よりそういったドラマチックな問いを立てることのほうに興味がありました。それに加えて、若い頃のウィル・スミスをもう一度デジタルで再構築できる楽しさは当然ながらありましたけどね。

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス、アン・リー監督、ジェリー・ブラッカイマー(製作)/バイリンガールちか(YouTubeクリエイター代表ゲスト)

Q:プロデューサーという役割はどういうお仕事で、どういうスキルが必要なんでしょうか?

ジェリー・ブラッカイマー:私の仕事は素晴らしい物語を伝えることですので、それには素晴らしいキャラクター達、素晴らしい物語の内容、設定が必要になります。そして、才能のある人々を囲んでいくということが私の仕事です。素晴らしい監督達、素晴らしい俳優達、素晴らしい作家達…。こういう経験を何度も何度も行っていきます。あととにかくたくさん映画を観ること、いろいろ読むこと、テレビを観ること、何が実際この世の中に出ているのか、どういう演技をしている人がいるのか、どういうものが書かれているのかというのを常に見ていくということです。アン・リー監督のような方が忙しい場合は、新しい才能を見つけるということもしています。

Q:息子のジェイデンさんが、Instagramでジェミニマンに扮していましたが、何か話をしましたか?

ウィル:ジェイデンがそういうことをやったり、子どもが私の仕事をそれだけ気に入ってくれるとか、楽しんでもらえるのは素晴らしいことです。息子は幸いにも私の最大のファンなんですね。そういうこともあって、ジェイデンも、長男のトレイもそうなんですけど、特に『ジェミニマン』のような映画は、彼らを連れて行くと、彼らがすごく楽しめるって意味で最高でした。この映画の中で、ヘンリーとジュニアは父と息子のような関係であるということで、子どもがいるっていうのは私にとって非常に大事なことです。また、つい最近ジェイデンは日本に来て悟空の映画を撮っていたんですけど、彼らはすごく旅をするので、彼らを通して、今一番何が流行しているか、一番ホットなものは何なのか、音楽だったり、クリエイターであったり、彼らから情報をゲットしています。

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス

そして、ウィル・スミスが最後に一言伝えたいということで…

ウィル:私は大人になってから、ほとんどずっと、この隣りにいらっしゃるアン・リー監督と仕事がしたかったんです。だから、これは本当に私の夢が叶った作品です。ジェリー・ブラッカイマー、プロデューサーとは25年前に『バッドボーイズ』で初めて組んで、ずっと一緒に仕事をきたんです。若いクリエイター達にぜひ伝えたいのは、どれだけ協同作業が大事かということで、自分の周りをどういう人で固めるのか、素晴らしいクリエイター達で囲むということが大事なんですね。ジェリーさんのプロデューサーとしての技術っていうのは、彼は才能を発掘する目を持っていて、アイデアを見極める目を持っているということなんですね。彼が持っているアイデアをアンに伝えて、監督から私に今度は話がきて、皆クリエイターとして成長ができる。一緒に作業する、コラボレーションすることが一番大事です。

一流の映画人によるクリエイティブなお話は本当に深いし、おもしろいですね。本作は本当に驚くべき映像技術が観られて、ウィル・スミスの演技力の高さも実感できる作品になっています。観客の反応を恐れずに、彼らが心からやりたいという思いで作られた本作。その熱い本気の思いがあるからこそ、観客を裏切らない出来栄えになっています。ぜひ大きなスクリーンで観て、この世界に没入してください!


このトークセッションの前に、映像ジャーナリストでクリエイターの大口孝之氏によるトークもありました。人間の目は1秒間に60枚以上の画を認識すると、現実と見分けがつかないという研究結果があるそうで、本作は3DHFR(ハイ・フレーム・レート)という技術により、毎秒120フレームの素材として撮影されていて、もはやCGとは気付けないレベルになっているとのことです。これは映画館で本作を観てもらえれば、実感できると思います。
また、ジュニアだけがデジタル化されていると思ってしまいがちですが、現在のウィル・スミスが演じているヘンリーもデジタル化されているシーンもあり、衣装から、目の中の光彩までデジタル化されています。それをわかって観ても、精巧過ぎてホンモノにしか見えないので、映像技術の進歩にも大いに驚かされる作品になっています。

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:ウィル・スミス、アン・リー監督、ジェリー・ブラッカイマー(製作)/バイリンガールちか(YouTubeクリエイター代表ゲスト)

最後に、最前列でウィルを見ていて、すっごく顔のお肌がピンとしてハリがあって羨ましいなあと思っていたら、水をいっぱい飲んでたという話がちょうど出て、私もこれから意識して水をたくさん飲もうと思いました(笑)。これから冬に近づいて乾燥してきますが、女子に耳寄りな情報も聞けたトークでした!

映画『ジェミニマン』公開記念来日トークセッション:
2019年10月18日取材 PHOTO&TEXT by Myson

映画『ジェミニマン』ウィル・スミス

『ジェミニマン』
2019年10月25日より全国公開
公式サイト 映画批評&デート向き映画判定

© 2019 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

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REVIEW

  1. 映画『バッドボーイズ フォー・ライフ』ウィル・スミス/マーティン・ローレンス
  2. 映画『風の電話』モトーラ世理奈/西島秀俊
    風の電話

  3. 映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』オルガ・キュリレンコ/アレックス・ロウザー
  4. 映画『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』アダム・ドライバー/ジョナサン・プライス
  5. 映画『ロマンスドール』高橋一生/蒼井優
  6. 映画『キャッツ』フランチェスカ・ヘイワード
    キャッツ

  7. 映画『サヨナラまでの30分』新田真剣佑/北村匠海
  8. 映画『私の知らないわたしの素顔』ジュリエット・ビノシュ/フランソワ・シビル
  9. 映画『ジョジョ・ラビット』ローマン・グリフィン・デイビス/タイカ・ワイティティ
  10. 映画『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』フェリシティ・ジョーンズ/エディ・レッドメイン

部活・イベント

  1. 海外ドラマ『SUITS︓ジェシカ・ピアソン シーズン1』ジーナ・トーレス/モーガン・スペクター/シャンテル・ライリー/ベサニー・ジョイ・レンツ/サイモン・カシアニデス/ウェイン・デュヴァル
  2. 映画『スキャンダル』シャーリーズ・セロン/ニコール・キッドマン/マーゴット・ロビー
  3. 映画『ダウントン・アビー』ヒュー・ボネヴィル/エリザベス・マクガヴァーン/マギー・スミス/ミシェル・ドッカリー/ローラ・カーマイケル/アレン・リーチ/ブレンダン・コイル/ジョアン・フロガット/ロブ・ジェームス=コリアー/レスリー・ニコル/ソフィー・マックシェラ/マシュー・グード/ジム・カーター/イメルダ・スタウントン
  4. 映画『おいしい家族』完成披露試写会(第105回部活)松本穂香、ふくだももこ監督
  5. ドラマ『女医フォスター 夫の情事、私の決断』サランヌ・ジョーンズ/バーティ・カーヴェル
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