REVIEW

モロッコ、彼女たちの朝

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『モロッコ、彼女たちの朝』ルブナ・アザバル/ニスリン・エラディ

監督のマリヤム・トゥザニが過去に家族で世話をした未婚の妊婦との思い出を基に作り上げた本作。主人公は、臨月のお腹を抱えながらカサブランカの街をさまようサミアと、そんなサミアを家に招き入れるパン屋の女性店主アブラです。大きなお腹を抱える妊婦が1人で街をさまようなんて…と思いますが、その理由としてイスラーム社会で未婚の母がタブー視されていることが根底にあります。日本だったらあり得ない現実に驚かされますが、本作はそんなイスラーム社会に対して一石を投じる作品となっています。
また、未婚の母であるサミアに対し、アブラにも娘のワルダがいて、2人の母親の物語であるという点に関してはどんな人でも共感しながら観られると思います。最初は、サミアもアブラも心を閉ざしているので、観ていてもどかしさがありますが、ワルダが仲介役となり、2人の距離感が次第に縮まっていく様子にほっこりします。
本作はモロッコ映画として日本で初公開する作品です。イスラーム社会の現実を知ることで、日本での今の暮らしを見つめ直す良い機会にもなるのではないでしょうか。年齢や性別問わず多くの人に観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
映画『モロッコ、彼女たちの朝』ルブナ・アザバル

気まずくなるようなシーンはありませんが、社会的なメッセージもある作品なので、初デートで観る場合は事前にどんな内容の作品なのか相手に教えた上で観てください。また、性格も境遇も違う2人の母親の姿を観て、親になることの偉大さも感じられると思います。これを機にお互いの両親についてや、将来自分達が親になることについて話し合うきっかけにもなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『モロッコ、彼女たちの朝』ルブナ・アザバル

キッズの場合はワルダ目線で観られますが、母親達の心情を深く理解するためには中学生くらいになってから観ることをオススメします。ティーンの場合は、それぞれの人物がどんな状況に置かれていて、どんな感情なのか想像しながら観てください。本作ではイスラーム社会の現状の一部が映し出されていますが、他にはどんなことがあるのか自分で調べてみるのも良い勉強になると思います。

映画『モロッコ、彼女たちの朝』ルブナ・アザバル/ニスリン・エラディ

『モロッコ、彼女たちの朝』
2021年8月13日より全国公開
ロングライド
公式サイト

© Ali n’ Productions – Les Films du Nouveau Monde – Artémis Productions

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド Mr.ノボカイン【レビュー】

痛みを感じない疾患を持つ主人公、ネイサン・カイン(ジャック・クエイド)は…

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド
  2. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  3. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  4. 映画『リライト』池田エライザ
  5. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP