REVIEW

ボーンズ アンド オール【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ボーンズ アンド オール』ティモシー・シャラメ/テイラー・ラッセル

君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメが再タッグを組んだ本作は、なんと人喰いのお話です。ただ、映像のテンションからは、まさかこれが人喰いの話とは思わないでしょう。人を喰らうシーンはありつつも、そうしなければ生きていけない者達の孤独感と葛藤を丁寧に描いていて、ベースは主人公マレン(テイラー・ラッセル)の成長物語、マレンとリー(ティモシー・シャラメ)のラブストーリー、そしてマレン、リーそれぞれの家族の物語といえます。ホラー映画で起きる出来事を描きながらも、完全に家族の物語、そしてラブストーリーとして描けるルカ・グァダニーノ監督の手腕に改めて驚きます。
この物語は、家族や大切な人を傷付けてでも生きていかなければいけない、そして逆に自分も自己犠牲を払ってでも愛する人を守る、そういった究極の状況を人喰いという比喩で表しているのではないでしょうか。なぜなら、現実に置き換えてみると、生きることに精一杯な人達が置かれている状況を想起させるからです。マレン達が空腹になっても、闇雲に「誰でも…」とはならないところにも、生存本能と、人間としての尊厳の間で揺れる複雑な心境が読み取れます。
描写は全然異なりますが、ラストシーンでは『君の名前で僕を呼んで』に通じる部分を感じます。『ボーンズ アンド オール』というタイトルは、愛してるからこそ、骨まで丸ごとという意味であり、“愛する人の中”で生き続けたいというある種の愛情表現に思えるのは私だけでしょうか。ぜひ、いろいろな方々の感想、解釈を聞いてみたい作品です。

デート向き映画判定
映画『ボーンズ アンド オール』ティモシー・シャラメ/テイラー・ラッセル

本作はラブストーリーともいえますが、人喰いのお話なので、人によっては苦手かもしれません。安易に『君の名前で僕を呼んで』のルカ・グァダニーノ監督とティモシー・シャラメが再タッグ作品とだけ話して誘うとビックリさせてしまうので、きちんと主人公が何者かを話した上で一緒に観るか決めましょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ボーンズ アンド オール』ティモシー・シャラメ/テイラー・ラッセル

主人公マレンが18歳というところで、ティーンの皆さんも等身大で観られるところがあると思いますが、残念ながら18歳にならないと観られません。また、刺激的なシーンもあるため、映画を観慣れていない状態で何も知らずに観ると衝撃が大きいでしょう。その衝撃が感動に繋がるか、ストーリーに入り込む前にシーンが観られないと思うかは2つに分かれそうです。18歳以上の方は人喰いの話ということを覚悟した上で観てください。

映画『ボーンズ アンド オール』ティモシー・シャラメ/テイラー・ラッセル

『ボーンズ アンド オール』
2023年2月17日より全国公開
R-18+
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

© 2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス サンダーボルツ*

REVIEWこりゃ、おもしろい!いろいろ新鮮で、親近感が湧く内容です。極力何も知らずに観た…

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M) 『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ ロザリー【レビュー】

自分で作った美しいドレスを身にまとったロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、父(ギュスタヴ・ケルヴェン)に連れられて…

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー 『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ 『サスカッチ・サンセット』先行試写会 10名様ご招待

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン ニコール・キッドマン【ギャラリー/出演作一覧】

1967年6月20日生まれ。アメリカ、ハワイ州ホノルル出身。

映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 After プロポーズ編【レビュー】

前編となる『女神降臨 Before 高校デビュー編』では、主人公の麗奈がメイクの力でなりたい自分に近づく様子が描かれていました。そして…

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット ミステリアス・スキン【レビュー】

2004年にグレッグ・アラキ監督により制作された本作は…

映画『リライト』池田エライザ 『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』 『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』特別先行試写会 10組20名様ご招待

映画『The Taste of Nature II 幻のカカオを探して』特別先行試写会 10組20名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス
  2. 映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ
  3. 映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永
  4. 映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット
  5. 映画『ただ、愛を選ぶこと』

PRESENT

  1. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  2. 映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー
  3. 映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ
PAGE TOP