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ダム・マネー ウォール街を狙え!【レビュー】

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映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ポール・ダノ

REVIEW

アメリカでこんなドラマチックな出来事が起こっていたなんて!本作は、コロナ禍の最中にあった2020年から2021年初頭にかけてアメリカで実際に起きた、株式市場の混乱にまつわる実話を映画化した作品です。”ダム・マネー”とは、”愚かな投資”を意味し、劇中ではプロの投資家や超富裕層が、一般庶民が行う投資を揶揄して使われる言葉であることがうかがえます。本作には、”ダム・マネー”と思われていた株に個人投資家達が夢をかけ、強欲な超富裕層に立ち向かった様子が描かれています。なので、株、お金の話でありながら、根本は違います。理不尽な社会構造を打ち崩そうとして、見知らぬ一般庶民同士が団結し闘ったお話なんです。
主人公はアメリカのマサチューセッツ州に住む、ごく普通の会社員キース・ギル(ポール・ダノ)です。キースは独自に株を研究していて、ゲームストップという企業の株に全財産の5万ドルをつぎ込みます。そして、”ローリング・キティ”というハンドルネームで、株に関する動画を配信をし、自身のポートフォリオを公開しながら、ネット掲示板も使って、ゲームストップの株の可能性を熱弁します。その配信やネット掲示板を見た個人投資家達が続々とキースに続き、ゲームストップの株を買います。そして、ゲームストップの株価はどんどん上がっていき、ゲームストップの株を空売りして儲けようとしていた超富裕層達が無視できない状況となっていきます。

映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ニック・オファーマン/セス・ローゲン

本作には、学費のために借金を抱える大学生、シングルマザー、ゲームストップの店員として働く移民など、小さな資産で少額の投資をする個人投資家達がが登場します。株価が高騰した段階で売れば大儲けができるところを、彼等はウォール街の構造を打ち破るべく、キースに加勢して株を持ち続けます。その団結力で株式市場の常識を揺るがしていく様は観ていて爽快です。ただ、それだけで終わらないのが現実。超富裕層達による汚いやり口も出てくるので、クライマックスはかなりドラマチックです。
ポール・ダノ、シャイリーン・ウッドリー、セス・ローゲン、アメリカ・フェレーラ、アンソニー・ラモス、セバスチャン・スタン、ヴィンセント・ドノフリオ、デイン・デハーンと、キャストも超豪華。ワクワクとハラハラドキドキが満載のジェットコースターのようなストーリーであると同時に、見知らぬ人達同士が団結し、一緒に希望に向かって闘う姿にすごく元気をもらえる作品です。株取引の話についていけるか不安な方は、映画公式サイトで専門用語がわかりやすく解説されていますので、事前にチェックしてみてください。「株の話なんて難しい」と観ず嫌いになるともったいないですよ。

デート向き映画判定

映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ポール・ダノ/シャイリーン・ウッドリー

妻と赤ちゃんがいる家庭で全財産を株につぎ込むというのはかなりリスキーで挑戦的です。これを夫婦で相談しないでやれば、大問題になるでしょう。ただ、キースとキャロラインは2人とも同じ方向を向いています。大事にすべきと思っていることもお互いに共有しているのがうかがえます。これから何か投資をしようかと考えている方は、パートナーと一緒に本作を観て、相談を持ちかけてみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』タリア・ライダーほか

早ければ小学校高学年くらいから、株式投資の勉強をしている方もいるかもしれません。私も小学校高学年の頃、新聞を持参して株を買ったつもりでどれくらい儲けたか、損をしたかを体験する授業を経験しました。少額で始められる投資もあるので、以前よりも身近になってきた感はあるとはいえ、思慮が浅いまま、安易に株式投資に手を出すのは危険です。キースは相当研究していて、株価の変動に踊らされない信念を持っています。本作に登場する個人投資家達も儲けることよりも大切にしている美学があります。その辺りにも注目して、自分なりの価値観を磨く機会にできると良いですね。

映画『ダム・マネー ウォール街を狙え!』ポール・ダノ/ピート・デヴィッドソン/ヴィンセント・ドノフリオ/アメリカ・フェレーラ/ニック・オファーマン/アンソニー・ラモス/セバスチャン・スタン/シャイリーン・ウッドリー/セス・ローゲン

『ダム・マネー ウォール街を狙え!』
2024年2月2日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

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TEXT by Myson

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