REVIEW

極悪女王【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflixシリーズ『極悪女王』ゆりやんレトリィバァ

REVIEW

このドラマは、1980年代、女子プロレスがテレビ放映されていた時代に、最恐のヒールとして名を馳せたダンプ松本を主人公として、実在の人物や出来事を基に作られたフィクションです。鈴木おさむが企画、脚本、プロデュース、白石和彌が総監督及び1から3話の監督、白石和彌監督作で助監督を務めてきた茂木克仁が4、5話の監督を務めています。

Netflixシリーズ『極悪女王』ゆりやんレトリィバァ/音尾琢真
Netflixシリーズ『極悪女王』唐田えりか/剛力彩芽

物語の中心人物は、ダンプ松本こと松本香(ゆりやんレトリィバァ)、クラッシュギャルズの長与千種(唐田えりか)とライオネス飛鳥(剛力彩芽)です。本作の公式資料によると、ダンプ松本役のオーディションは2020年の秋に行われ、撮影は2022 年の7月から開始されたため、ゆりやんレトリィバァは約2年かけて身体作りをしたそうです。オーディションの前、ゆりやんレトリィバァは45kgの減量を実現したにもかかわらず、本作のためにまた増量し、撮影開始時の体重はオーディション前と比べると40kgも増えていたそうです。ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽の3人は、本シリーズでプロレススーパーバイザーを務める長与千種が設立したMarvelousprowrestlingでトレーニングを受け、撮影に臨みました。本編ではかなり激しいアクションシーンが満載で、撮影のためにかなり鍛えたことが伝わってきます。

Netflixシリーズ『極悪女王』斎藤工/村上淳

そして、本シリーズでは観ているだけでビビってしまう緊張感のある戦いが描かれているのに加えて、激しい感情がぶつかり合うため、プロレスラーを演じる上での身体的な役作りだけでは足りなかったはず。だから、ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽とも、これまでテレビや他の映画では観たことのない姿に驚かされます。心優しい少女だった松本香がダンプ松本になった後、その凶暴ぶりは本当に恐ろしく、誰か死んでもおかしくないと思えるくらいです。生きるか死ぬかという緊張感のある戦いの迫力は凄まじく、俳優陣のエネルギーもビシバシと伝わってきます。

Netflixシリーズ『極悪女王』ゆりやんレトリィバァ

リングでの死闘はそのまま、本シリーズの一番の見どころである、ダンプ松本、クラッシュギャルズ達同期メンバーの人間ドラマを引き立てます。「なぜ、そこまでするの!?」と感情移入しながら観ずにはいられません。プロレスラーを夢見ていた少女達が支え合い、ぶつかり合いながらそれぞれの道を模索していく姿に心を打たれます。彼女達がこんなにも必死だった背景には、男性社会で女性の地位が低かったり、女性がやることに制限があったり、さまざまなものが見えます。今は情報がたくさんあって、器用に立ち回れたり、やる前に諦めてしまったりということが増えたように思います。だからこそ、なりふり構わず一心不乱に何かに打ち込む彼女達の姿が訴えかけてくるものは大きいと感じます。

Netflixシリーズ『極悪女王』ゆりやんレトリィバァ

『極悪女王』
2024年9月19日よりNetflixにて配信開始
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司 九龍ジェネリックロマンス【レビュー】

“ジェネリックロマンス”という要素から何を期待するのか、そして本作で描かれる“ジェネリックロマンス”をどう受け取るのかは…

映画『ユニバーサル・ランゲージ』 ユニバーサル・ランゲージ【レビュー】

本作の舞台は、ペルシャ語とフランス語を公用語とする架空の世界のカナダ・ウィニペグで…

映画『ヒックとドラゴン』ニコ・パーカー ニコ・パーカー【ギャラリー/出演作一覧】

2004年12月9日生まれ。イギリス出身。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから…

映画『8番出口』二宮和也 8番出口【レビュー】

観始めてスゴい設定だと驚き、何から何まで巧く作られていて…

映画『ムガリッツ』 『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『太陽がいっぱい』アラン・ドロン アラン・ドロン【ギャラリー/出演作一覧】

1935年11月8日生まれ。フランス出身。

映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン 大統領暗殺裁判 16日間の真実【レビュー】

1979年10月26日、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されました。本作は、その暗殺事件に関わったメンバーのうち、軍人だったために唯一軍法裁判にかけられたパク・テジュ(イ・ソンギュン)と…

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』 『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司
  2. 映画『ユニバーサル・ランゲージ』
  3. 映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ
  4. 映画『8番出口』二宮和也
  5. 映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン

PRESENT

  1. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  2. 映画『ムガリッツ』
  3. 映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』
PAGE TOP