REVIEW
闇ビジネスに関するニュースが増えてきた日本において、本作で描かれているような出来事は、ますます他人事として観られなくなったと感じます。本作の主な登場人物は、若くして家や財産のない生活を余儀なくされたタクヤ(北村匠海)とマモル(林裕太)、そしてタクヤの先輩、梶谷(綾野剛)です。彼等はやむなく、闇ビジネスで生計を立てているなか、ある問題に巻き込まれていきます。

本作は、「第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、Netflixシリーズ『今際の国のアリス』などを手掛けるプロデューサー集団THE SEVENが初の劇場作品として映画化」し、岩井俊二監督の助監督を長らく務めてきた永田琴が監督を、『ある男』で第46回日本アカデミー賞最優秀脚本賞に輝いた向井康介が脚本を務めています(映画公式資料)。こうした制作陣の顔ぶれから期待される見応えは充分です。

想像以上に衝撃的な展開もあり、メインキャラクター達が追い詰められる様子を観ると、無力感が半端ありません。ただ沼のような苦境から這い出る上で彼等の絆や根本にある人間性が要になる点にとても共感を覚え、応援したくなります。また、戸籍が人生に与える影響は、社会的立場だけではなく、自己の心を支えるアイデンティティーにも及ぶのだなと改めて感じます。

北村匠海、林裕太、綾野剛の演技も見ものです。絶望の果てに何が待ち受けているのか、ご覧ください。
デート向き映画判定

直接的に映っていないものの、想像するだけでゾッとする展開が出てくるので、映画を観慣れていない方を誘うと、どっちの反応に転ぶか予測不能です。深くて重い内容なので、自分の内側も動かされる分、1人でじっくり観るほうが堪能できるのではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

タクヤとマモルは皆さんの世代と近いので、同じ状況ではないとしても等身大で観られる部分があるのではないでしょうか。闇バイトに巻き込まれる若者が増えてきた今、その先にどれだけ深い闇が待っているのか、本作を観て知っておくのも良いと思います。

『愚か者の身分』
2025年10月24日より全国公開
PG-12
THE SEVEN、ショウゲート
公式サイト
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©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会
TEXT by Myson
「愚か者の身分」西尾潤 著/徳間文庫
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情報は2025年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

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