REVIEW

ある男【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ある男』妻夫木聡/安藤サクラ/窪田正孝

もし、あなたが愛する夫が亡くなってから、彼が実は第三者の名前を名乗っていて、本当はどこの誰だかわからないと知ったらどうしますか?本作は、そんな状況からさまざまなキャラクターの人間模様が浮かび上がってくる物語です。文具屋を営む谷口里枝(安藤サクラ)は、店によく買い物にくる男性(窪田正孝)と仲良くなりやがて再婚します。でも、ある日、事故で夫が急死。その後、夫は実は別人であることが発覚します。そして、里枝が身元調査を依頼した弁護士の城戸章良(妻夫木聡)は、彼女の夫が本当は何者だったかを探っていきます。
私はいつもながら前情報を入れずに観たので、入り組んだ人間関係が紐解かれていくのを純粋に楽しむことができました。映画の公式サイトを見ると、意外なほどに人物相関図が詳しく書かれているので、個人的には映画を観る前には公式サイトの人物相関図を見ないほうが楽しめると思います。
シーンの中にも後ろ姿が印象的に映されていますが、それが何を意味するのかを想像しながら観て、クライマックスでハッとさせられます。そして、謎を解くだけのストーリーで終わっていないところが本作の魅力であり、物語の最後の最後に本作の真髄が描かれています。アイデンティティって何だろうと、いろいろな角度から考えさせられるストーリーを、ぜひご堪能ください。

デート向き映画判定
映画『ある男』妻夫木聡/柄本明

本作をデートで観たら、思わず観終わってからお互いに身元確認をしたくなるかもしれませんね。でも、本作では人が何者かということを単に氏名だけでなく、深いところから問いかけるストーリーなので、お互いにどういうところが好きなのかを改めて考えるきっかけになるかもしれません。ただし、以前から相手は自分のことをあまり語らなかったり、謎が多いということが気になっている方は、一応冗談で「身分証明書見せて」と言って反応を確かめてみても良さそうです(笑)。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ある男』安藤サクラ/窪田正孝

お母さんが再婚してできた新しいお父さんは実は別人だったなんて、子どもにとっても大きな衝撃です。本作は、そんな子どもの心情も丁寧に描いているところが印象的です。アイデンティティを模索している真っ只中のティーンの皆さんは、本作の特異なシチュエーションでもアイデンティティって何だろうと考えてみてください。

映画『ある男』妻夫木聡/安藤サクラ/窪田正孝

『ある男』
2022年11月18日より全国公開
松竹
公式サイト

©2022「ある男」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太 BAUS 映画から船出した映画館【レビュー】

2014年、東京都、吉祥寺の映画館“バウスシアター”が閉館となりました。本作は、この映画館を親の代から運営してきた本田拓夫著…

映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー 白雪姫【レビュー】

1937年に製作されたディズニーの『白雪姫』は、世界初のカラー長編アニメーションであり、ウォルト・ディズニー・スタジオの原点とされています…

映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』 ニンジャバットマン対ヤクザリーグ【レビュー】

バットマン・ファミリーが戦国時代の歴史改変を食い止めた『ニンジャバットマン』の続編…

【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性 自分を知ることからすべてが始まる【映画でSEL】

SEL(社会性と情動の学習)で伸ばそうとする社会的能力の一つに「自己への気づき」があります。他者を知るにも、共感するにも、自己をコントロールするにも、そもそも自分のことを全く理解していなければ始まりません。

映画『悪い夏』北村匠海 悪い夏【レビュー】

REVIEW染井為人著の原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題を呼び、第37回横溝…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 Before 高校デビュー編【レビュー】

本作は、縦スクロール形式のデジタルコミック“webtoon”で人気を博したyaongyi(ヤオンイ)作の同名コミックを原作としています…

映画『教皇選挙』レイフ・ファインズ 教皇選挙【レビュー】

圧倒されっぱなしの120分でした。教皇に“ふさわしい”人間の境界線をテーマに、神に仕える聖職者達の言動、ひいては人格を通して…

映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』ボーウェン・ヤン ボーウェン・ヤン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年11月6日生まれ。オーストラリア出身。

ディズニープラス『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』 スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド【レビュー】

本シリーズは馴染み深い要素をベースにしながら、新しい設定が…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 少年と犬【レビュー】

直木賞を受賞した、馳星周著の小説「少年と犬」は、『ラーゲより愛を込めて』を手掛けた平野隆プロデューサーと脚本家の林民夫、瀬々敬久監督により映画化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  2. 映画『風たちの学校』
  3. 【映画でSEL】海辺の朝日に向かって手を広げる女性の後ろ姿

REVIEW

  1. 映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太
  2. 映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー
  3. 映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』
  4. 映画『悪い夏』北村匠海
  5. 映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永

PRESENT

  1. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
  2. 映画『私の親愛なるフーバオ』
  3. 映画『デュオ 1/2のピアニスト』カミーユ・ラザ/メラニー・ロベール
PAGE TOP