REVIEW

オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕』ジェフリー・ライト/アシュトン・サンダース

人種差別と貧困で、生きる道が限られている黒人社会の現状を描いた物語。父は子どもができると、将来自分のようにはならないようにと願いつつ、生活を支えるためにやむを得ず犯罪に手を染めていく…。その連鎖は何世代にも渡って続いていき、主人公のジャコールもそこから抜け出せません。セリフの中に「故郷は壁のない牢獄だった」とありますが、刑務所にいようが、外にいようが危険な状況は変わらないという現実が突きつけられるストーリーになっています。ただただ、主人公の日常を映し出しているだけなのですが、本当にストレスフルな状況で、少し希望を持ったと思ってもそれが簡単には叶わない現実を皆目の当たりにして、1日1日を生きることで精一杯なんだろうというのが伝わってくるドラマチックな内容になっています。そこに怒りがため込まれていくのは当然のことで、そのやり場のない感情が暴力、殺人に向けられていく負の連鎖に、観ている側もやるせない気持ちになります。結末はちょっと希望を感じさせますが、解決策を提示するというものではなく、同じ物語の繰り返しが終わる日が来るのかを観る側に問う作品なのだと思います。映画的には、ジャコール役のアシュトン・サンダースの演技が見事。激しい感情を持ちそれを沸々とさせながら、自身の運命を受け入れていく、抑えた演技にぜひご注目ください。

デート向き映画判定
Netflix映画『オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕』アシュトン・サンダース

主人公と恋人のロマンチックなシーンもありつつ、性消費的な描写もあるので、デートで観て盛り上がる内容ではありません。物語のトーンも静かで暗めなので、1人でじっくり観るのに向いている作品だと思います。ただし、主人公と似たような状況で、それを変えたいと思うカップルは、客観視するきっかけに観ると良いかも知れません。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕』

ドラッグ、殺人、売春など、内容的にハードで、15歳未満の人の鑑賞には不適切とされていますが、主人公が幼少の頃から、罪を犯して刑務所に入ってしまうところまでを描いていて、キッズやティーンの皆さんの世代の物語になっているので、15歳になったら観てみてください。日本でも格差問題が取り沙汰されてきていて、こういう状況は他人事ではなくなってきていると思います。それを変えるのは本人達だけでなく、周囲も含めて努力が必要だと思いますが、まずはこういう現状が世の中にあることを知るところから始めてみるのはどうでしょうか。

Netflix映画『オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕』アシュトン・サンダース

『オールデイ・アンド・ア・ナイト:終身刑となった僕』
2020年5月1日よりNetflixにて配信
R-15+
公式サイト

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

実写映画『ルックバック』出口夏希/蒔田彩珠 ルックバック【レビュー】

藤本タツキによる原作漫画「ルックバック」は、「2024年には劇場アニメ化され、第48回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞。2026年7月現在、発行部数は100万部を突破して」おり、「本作は、藤本タツキ作品として初の実写映画化」となります…

映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』織田裕二 踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!【レビュー】

『踊る大捜査線』は1997年に連続ドラマとして放送が開始され、「これまでに公開された映画シリーズ8作品の累計動員数は3863万人、累計興行収入は524.1億円.。映画第2弾『踊る大捜査線THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003年)は、興行収入173.5億円を記録」した…

映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ 私たちは、ちょうどいい。【レビュー】

普段極力前情報を入れずに観るので、本作の背景も知りませんでした。だから、とてもイイ話だなとウルウルしてたら、最後に…

映画『ナイトボーン -夜哭-』セイディ・ハーラ セイディ・ハーラ【ギャラリー/出演作一覧】

1984年1月1日生まれ。フィンランド・キルッコヌンミ出身。

映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春 さとこはいつも【レビュー】

沖田修一監督作特有の甘塩っぱい世界観がたまらない1作…

映画『ブルーロック』高橋文哉 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年8月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年8月】のアクセスランキングを発表!

映画『ワンオペレーション』ローズ・バーン ワンオペレーション【レビュー】

観ているだけで、主人公リンダ(ローズ・バーン)の半端ない疲労感が生々しく伝わってくる作品です…

映画『白鳥とコウモリ』風吹ジュン 風吹ジュン【ギャラリー/出演作一覧】

1952年5月12日生まれ。富山県出身。

映画『八つ墓村』尾上松也 八つ墓村【レビュー】

シリーズ累計発行部数5500万部を超える、横溝正史のベストセラー「八つ墓村」は…

映画『顔 -かお-』シン・ヒョンビン ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『ドラマなふたり』『顔 -かお-』『ナイトボーン -夜哭-』など

今回取り上げた映画は、『5秒で完全犯罪を生成する方法』『ドラマなふたり』『オークストリートの異変』『顔 -かお-』『ナイトボーン -夜哭-』です。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 実写映画『ルックバック』出口夏希/蒔田彩珠
  2. 映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』織田裕二
  3. 映画『私たちは、ちょうどいい。』バービー・フェレイラ/ジョン・レグイザモ
  4. 映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春
  5. 映画『ブルーロック』高橋文哉

PRESENT

  1. ドラマ『幸せカナコの殺し屋生活2』のん/藤ヶ谷太輔
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP