REVIEW

逆火【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『逆火』北村有起哉

REVIEW

主人公の野島浩介(北村有起哉)は、感動を呼び話題となっている自伝小説の映画化作品の助監督を務めています。野島は作品に活かすため、著者のARISAこと小原有紗(円井わん)の生い立ちや家族を知る人物に順に取材していきます。でも、野島が取材すればするほど、かつて貧しい家庭環境でヤングケアラーとして父を献身的に介護していたはずのARISAに関する美談に、次々と疑惑が湧いてきます。

映画『逆火』円井わん

映画業界やテレビ業界で今起きている問題をいろいろと思い浮かべてしまう要素のあるストーリーです。本作でいえば、娯楽とは何なのか、映画とは、小説とは何なのかをどう捉えているかを問いかける内容です。シンプルにいえば、おもしろければ何をやってもいいのかと問うています。

映画『逆火』北村有起哉/円井わん

もう一つの問題は、大きなプロジェクトになるまでに多くの人が関わっていて、あらゆる立場の人の軽率な判断が積み重なり、根本の責任が誰にあるのかが追求不能な点です。同時に、関わる人達の生活がかかっているため、臭いものに蓋をしたい人達が主導権を握る状況に陥ってしまっています。この状況で“正しいこと”をできるのか否かが本作の見どころの一つです。

映画『逆火』片岡礼子

一方で、なぜ『逆火』というタイトルがついているのか気になるところです。あくまで私の解釈に過ぎませんが、炎が逆流する現象を指す“逆火”は、野島の仕事と私生活の状況の喩えになっているように思えます。仕事、作品に対する誠実さと、家族に対する誠実さは両立できるのか。表現を変えると、彼の誠実さは誰に伝わって、誰に伝わっていないのかを考えさせられます。

映画『逆火』北村有起哉/円井わん

身近にいる相手に思いを届けられないのに、見知らぬ相手には思いが届くのか。本作を観ると、伝えるって何だろうと思えてなりません。改めて、映画の存在意義も考えさせられます。衝撃的な展開もあるので、精神的に元気な時に観てください。

デート向き映画判定

映画『逆火』北村有起哉

夫婦のやり取りが生々しく描かれているので、もし子育てに悩んでいたら、自分達の日常に直結させて観ることになるでしょう。根本的には誰も悪くないと思えるものの、全員が目の前の現実から逃げているために家族が危機に立たされているように見えます。現実に向き合いたいご夫婦は一緒に観ると、普段腹を割って話せないことを話すきっかけにできるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『逆火』中心愛

まだしがらみが少ない皆さんの年代なら、大人と違った角度で本作を観られる部分もありそうです。明らかに「それってアウトでしょ」と思える事柄にもかかわらず、どうにか隠し通そうとしてしまう大人達の姿を観て、反面教師にしてください。

映画『逆火』北村有起哉/円井わん

『逆火』
2025年7月11日より全国順次公開
PG-12
KADOKAWA
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025「逆火」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/志尊淳/神尾楓珠/山田裕貴/坂口憲二/豊川悦司/斎藤工/玉木宏/佐藤浩市/小栗旬 キングダム 魂の決戦【レビュー】

本作でシリーズ5作目となりますが、勢いは止まりません…

映画『急に具合が悪くなる。』ヴィルジニー・エフィラ/岡本多緒 岡本多緒【ギャラリー/出演作一覧】

1985年5月22日生まれ。千葉県出身。

映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン 映画に隠された恋愛哲学とヒント集81:恋愛は長く続けば幸せなのか

今回は、『オブセッション 災愛』と『サヨナラの引力』を例に、恋愛関係は長く続いたほうが幸せなのかを考えます。

映画『チルド』染谷将太 チルド【レビュー】

私達の生活に溶け込んでいるコンビニエンスストアは、角度を変えると、“特別な場所”なのかもしれません。その意味が本作を観ると…

映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ ヌーヴェルヴァーグ【レビュー】

“ヌーヴェルヴァーグ”(日本語に訳すと「新しい波」)とは、「1950年代後半のフランスで台頭した新世代の監督たちが、既存のルールに縛られず…

映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ オブセッション 災愛【レビュー】

これはやばい(笑)。いろいろな意味で怖過ぎて、笑っちゃうおもしろさです。監督を務めたのは、1999年生まれの若き新鋭カリー・バーカー…

映画『リライト』篠原篤 篠原篤【ギャラリー/出演作一覧】

1983年2月1日生まれ。福岡県出身。

映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ 大統領のケーキ【レビュー】

本作は、フセイン政権下のイラクが国連安保理により経済制裁を受けていた1990年代を舞台に描かれています。当時フセインは、国民が困窮しているにもかかわらず…

映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン サヨナラの引力【レビュー】

本作は、超大ヒットした『私の頭の中の消しゴム』(2004)が持つ韓国での観客動員数記録を塗り替え、260万人を突破する記録的大ヒットを飛ばしました…

映画『スーパーガール』ミリー・オールコック ミリー・オールコック【ギャラリー/出演作一覧】

2000年4月11日生まれ。オーストラリア出身。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集! 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

今回は、私の研究で扱っている情動知能を取り上げます。非認知能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/志尊淳/神尾楓珠/山田裕貴/坂口憲二/豊川悦司/斎藤工/玉木宏/佐藤浩市/小栗旬
  2. 映画『チルド』染谷将太
  3. 映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ
  4. 映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ
  5. 映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ

PRESENT

  1. 映画『急に具合が悪くなる。』ヴィルジニー・エフィラ/岡本多緒
  2. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
  3. 映画『だぁれかさんとアソぼ?』鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)
PAGE TOP