学び・メンタルヘルス

親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。ちなみにタイ発の本作の英題は、“NOT FRIENDS”です。

本作は、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』『ハッピー・オールド・イヤー』『女神の継承』など数々のヒット作を生み出しているタイの映画制作会社“GDH 559”が手掛けた作品です。そして、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のバズ・プーンピリヤ監督が、本作で初めてプロデューサーを務めています。また、“GDH 559”は、本作と同日に日本で劇場公開される『おばあちゃんと僕の約束』も制作しています。最初にお伝えしておくと、『親友かよ』『おばあちゃんと僕の約束』ともにとても優れた作品です!

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート/ティティヤー・ジラポーンシン

【映画でSEL(社会性と情動の学習)】の簡単な解説はこちら

『親友かよ』の主人公は、高校3年生の最後の学期に転校したペー(アンソニー・ブイサレート)です。ペーは、転入先の高校で、ジョー(ピシットポン・エークポンピシット)の隣の席になります。ペーに明るく話しかけるジョーに対して、ペーはずっと素っ気ない態度をとっていました。でも、ある日ジョーは事故に遭い、帰らぬ人となってしまいます。そんななか、進路に迷うペーは、短編映画のコンテストに入賞すれば試験を受けずに大学に入れると知り、良からぬアイデアを思いつきます。

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート

ペーは亡きジョーの親友だと名乗り始めたものの、中学からジョーを知るボーケー(ティティヤー・ジラポーンシン)に真相を見抜かれます。でも、この物語はここからが始まりで、キャラクター間の複数の関係性において、親友か友達ですらないかを問うストーリーが展開していきます。

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート/ティティヤー・ジラポーンシン

前半では、親友ならではのポジティブな側面に焦点が当てられつつ、後半では、ジョーにまつわる知られざる出来事が発覚し、ペーとボーケーの“親友”としての態度が問われる内容となっています。言い換えると、「親友ならこうする」「親友なら絶対そんなことはしない」というように、親友かどうかを試す観点がストーリーの中に散りばめられています。

映画『親友かよ』ピシットポン・エークポンピシット/ティティヤー・ジラポーンシン

「SEL-8学習プログラム」の基礎的社会的能力の観点から本作を観ると、亡きジョーについて知っていく過程は「他者への気づき」、ジョーにまつわる知られざる出来事を知った後は「責任ある意思決定」に紐付けられます。

ペーもボーケーも、ジョーが亡くなってから彼をさらに知っていき、改めてジョーとの思い出を振り返るうちに、自分とジョーの関係が親友だったのかどうかに気づいていきます。

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート/ティティヤー・ジラポーンシン

親友かどうかをテーマに描かれているものの、本作は親友至上主義というわけではありません。私なりの解釈で言い換えると、親友だと思っていても裏切ってしまうこと、逆に裏切られてしまうことはあるかもしれないし、親友だからこそ許せること、許せないことがある。だから、親友かどうかを明確に判別できないかもしれないけれど、親友と呼べるかどうかよりも大切なことがあると本作は謳っているように感じます。

映画『親友かよ』ティティヤー・ジラポーンシン

子どもでも大人でも、仲が良い(と自分は思っている)友達相手だからこそ、良からぬことが起きた時のショックは大きくなりがちです。でも、もしかしたら自分が知らない事柄にそのショックの意味や大きさを変える要素が入っているかもしれません。本作を観ると、独りよがりに腹を立てたり、落ち込み続けるのではなく、新たな視点を得て、視野を広げて、自分が穏やかでいられる関係性を探るヒントを得られるでしょう。

映画『親友かよ』

本作は、高校生による映画作りがストーリーの軸となっているので、作品のあちこちに映画愛が散りばめられています。そういう意味で、映画好きの方は一層楽しみながらSELをできるので、【映画でSEL】の題材にピッタリの作品です。

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレート

『親友かよ』
2025年6月13日より全国順次公開
インターフィルム
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2023 GDH 559 AND HOUSETON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

TEXT by Myson(武内三穂・認定心理士

【映画でSEL】の簡単な解説動画を公開しています。下記vimeoにてどなたでも無料でご覧いただけます。
【映画でSEL】とは→こちら
【映画でSEL】プログラムのご案内はこちら

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年7月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年7月】のアクセスランキングを発表!

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『四十九-SEEK』映画祭受賞、浅野寛介、シェイン・コスギ監督 日本映画界に希望をもたらす制作の仕組みを実現!『四十九-SEEK』浅野寛介さん(主演・プロデューサー)&シェイン・コスギ監督インタビュー

CGに頼らず生身の肉体で魅せる“本物のアクション”で、世界17ヵ国42の映画祭でセレクション入り、12ヵ国で82の賞を受賞した『四十九-SEEK』は、独自の“劇場公開前リクープ(投資回収)”エコシステムで作られました。今回は、このシステムについてのお話を中心に、主演でプロデューサーを兼務した浅野寛介さんと、監督・編集と海外交渉を担当したシェイン・コスギさんにお話をお伺いしました。

映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』福原遥/細田佳央太 あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。【レビュー】

大ヒットした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続きを描いた本作では、元の時代に戻った加納百合(福原遥)がどう過ごしているかを描いています…

映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』トム・ホランド スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ【レビュー】

トム・ホランドが主演を務める本シリーズは2017年からスタート、スパイダーマンとしての初登場は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)なので、既に10年間続いていることになります…

映画『ブルーロック』高橋文哉/櫻井海音/高橋恭平/綱啓永/野村康太/K(&TEAM)/青木柚/西垣匠/富本惣昭/倉悠貴/東啓介/畑芽育/窪田正孝 ブルーロック【レビュー】

本作を観て、コミックの人気、アニメ版や2.5次元版の人気の高さにも納得…

海外ドラマ『ザ・ボーイズ シーズン2』ジャンカルロ・エスポジート ジャンカルロ・エスポジート【ギャラリー/出演作一覧】

1958年4月26日生まれ。デンマーク生まれ。

映画『ミニオンズ&モンスターズ』 ミニオンズ&モンスターズ【レビュー】

本作は、映画愛が詰まったストーリーとなっています。冒頭あたりから、不意に…

映画『猫たちと7000マイルの旅』ケイティ・マクヒュー 『猫たちと7000マイルの旅』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『猫たちと7000マイルの旅』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック 戦争で歪む人の心理―当事者だけが知る残酷な真実―

戦争は人を狂わせ、人生を狂わせます。人は戦争の時だけ苦しめられるわけではなく、その前も後も苦しめられます。今回は、そうした残酷な真実を描く作品をご紹介します。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人
  2. 映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』福原遥/細田佳央太
  3. 映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』トム・ホランド
  4. 映画『ブルーロック』高橋文哉/櫻井海音/高橋恭平/綱啓永/野村康太/K(&TEAM)/青木柚/西垣匠/富本惣昭/倉悠貴/東啓介/畑芽育/窪田正孝
  5. 映画『ミニオンズ&モンスターズ』

PRESENT

  1. 映画『猫たちと7000マイルの旅』ケイティ・マクヒュー
  2. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン
  3. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
PAGE TOP