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ある一生【レビュー】

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映画『ある一生』シュテファン・ゴルスキー

REVIEW

激動の時代を駆け抜ける感覚があり、『フォレスト・ガンプ/一期一会』を観ているような感覚があります。物語の舞台は1900年頃のオーストリア、アルプスです。身寄りのないアンドレアス・エッガー(イヴァン・グスタフィク)は遠い親戚の農場に預けられたものの、子どもながらに働き手としてこき使われる生活を送ります。そして、大人になったエッガー(シュテファン・ゴルスキー)はようやく農場を出て、日雇い労働で生活費を稼ぎ、コツコツ貯金をしていきます。そうして、徐々に自分が望む生活を手に入れていきますが、その先にも波乱が待ち受けていました。

映画『ある一生』シュテファン・ゴルスキー

本作では、アンドレアスの少年時代から最期を描いていて、良いことも起きれば、大きな不幸も起こります。彼の姿を観ていると、生かされているし生きているとはこういうことだと思えます。キャラクター達の印象的なセリフも複数あります。たとえば、「人は自分の一部を失ってもその人のままなのか」「人は誕生の日から失っていくばかりで最後は何も残らない」「自分にはもう誰もいないけれど必要なものはすべて持っている」というようなセリフです。その場では何気なく語られる一言ひとことにも深みがあり、そうした言葉は本来人間はただ生きているだけで豊かであることに気付かせてくれます。あと、個人的には「それ、ボソボソしたケーキだろ」のシーンが、一言でホッコリする空気を作っていて好きです(笑)。

映画『ある一生』アウグスト・ツィルナー

アンドレアスは自分の身に起きることにむやみに抵抗するというよりも、それを一旦受け入れた上で全力で生きているように映ります。幸運な出来事にも舞い上がり過ぎることはないものの、静かに幸せを噛みしめている姿に謙虚さを感じます。そんな一人の人間の美しい生き様を観られる作品です。

デート向き映画判定

映画『ある一生』シュテファン・ゴルスキー

物静かで不器用なアンドレアスの恋愛模様も魅力的に映ります。交際ホヤホヤのカップルなら、つい最近の自分達を観ているような感覚で共感できるのではないでしょうか。切ない要素があるものの、最期まで深い愛情を表すアンドレアスの“習慣”もロマンチックなので、好きな人と観ると一層気持ちが盛り上がりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ある一生』イヴァン・グスタフィク

アンドレアスの少年期から描かれているので、皆さんもアンドレアスと一緒に成長して、人が一生で経験する出来事をシミュレーションする感覚で観られると思います。ただ、老年期まで描かれている点で、キッズにはまだピンとこない部分がありそうですが、中学生以上なら本作の情緒を何となくでも受け取れると思います。

映画『ある一生』シュテファン・ゴルスキー

『ある一生』
2024年7月12日より全国順次公開
アット エンタテインメント
公式サイト

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©2023 EPO Film Wien/ TOBIS Filmproduktion München

TEXT by Myson

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