REVIEW

オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—』コリン・ファース/マシュー・マクファディン/ジョニー・フリン

戦時中の工作活動にまつわる実話はいろいろ出てきますが、本作を観ると特に、戦況を変えるためにこんなに細かいことまでやっていたのかと驚かされます。そしてやっぱり時代は違えど、戦いの勝敗の鍵を握るのは情報戦なのだなと実感させられます。
本作の舞台は第二次世界大戦中の1943年、イギリス。チャーチル首相が率いるイギリスは、ナチス・ドイツを倒すため、イタリアのシチリアを攻めようとしていましたが、ドイツ軍が守りを固めていました。そこで英国諜報部(MI5)は、ヒトラーを欺くために高級将校に仕立てた死体にニセの文書を持たせ、ナチスが勢力を振るう圏内の海岸に漂着させる作戦“オペレーション・ミンスミート”を発案します。この作戦名を名付けたのは、なんと“007”シリーズ、ジェームズ・ボンドの生みの親イアン・フレミング(ジョニー・フリン)。緊張感が終始あるなか物語は進んでいきますが、ちらっと出てくる作家いじりのシーンにはユーモアがあって印象に残ります。そして、戦後にこのミンスミート作戦を指揮した元弁護士のモンタギュー(コリン・ファース)がノンフィクションを出版したことで、当時の真相が明らかになりました。さらに21世紀に入るとMI5が機密ファイルを公開し、モンタギューが当時書くことができなかった秘密も含めて、英国の作家ベン・マッキンタイアーが「ナチを欺いた死体 – 英国の奇策・ミンスミート作戦の真実」として出版しました。それが映画化されたのが本作です。
本作は戦争映画といっても戦闘シーンはなく、頭脳戦を描いています。作戦を立てていくなかで、それに関わる人間同士のドラマも丁寧に描かれていて、戦争映画の中でも良い意味で少し異質な作品と言えます。先入観を持たずに観てみてください。

デート向き映画判定
映画『オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—』コリン・ファース/マシュー・マクファディン

ロマンチックなシーンもありますが、複雑な関係が描かれていて、普通に交際しているカップルからすると、共感できるようなできないような何ともいえない感覚になるかもしれません。できれば1人でじっくり観るか、友達と一緒に観るほうが余計なことを考えずに集中して観られるように思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—』コリン・ファース/マシュー・マクファディン

ただ世界史を勉強しなければいけないとなると、苦手意識のある方は億劫に感じるかもしれませんが、こういった実話を知ると、当時世界はどういう状況だったのか自然に興味が湧いて、勉強にも役に立つのではと思います。二重スパイ、三重スパイと、かなり込み入った工作活動が描かれていますが、1度にたくさん出てくる人物名に少し混乱しても、ストーリーはシンプルなので気負わずに観てください。

映画『オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—』コリン・ファース/マシュー・マクファディン

『オペレーション・ミンスミート —ナチを欺いた死体—』
2022年2月18日より全国公開
ギャガ
公式サイト

© Haversack Films Limited 2021

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『インフィニティ・プール』アレクサンダー・スカルスガルド/ミア・ゴス インフィニティ・プール【レビュー】

やっぱり、ブランドン・クローネンバーグ監督作は強烈ですね…

映画『カラーパープル』ファンテイジア・バリーノ ファンテイジア・バリーノ【プロフィールと出演作一覧】

1984年6月30日生まれ。アメリカ、ノースカロライナ州出身。2004年『アメリカン・アイドル』の第3シーズンに出演し…

映画『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』ポール・ラッド/キャリー・クーン/フィン・ウルフハード/マッケナ・グレイス/ビル・マーレイ/ダン・エイクロイド/アーニー・ハドソン ゴーストバスターズ/フローズン・サマー【レビュー】

前作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』で、科学者の素質を持つ天才少女フィービーは、自分の祖父が初代ゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラー博士であると知り…

映画『スポットライト 世紀のスクープ』ブライアン・ダーシー・ジェームズ ブライアン・ダーシー・ジェームズ【プロフィールと出演作一覧】

1968年6月29日アメリカ、ミシガン州サギノー生まれ。1993年にブロードウェイでキャリアをスタートさせ…

映画『キングダム 運命の炎』大沢たかお ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き】5〜シリーズものの話

“キングダム”“翔んで埼玉”から、“カオルちゃん”“ミナミの帝王”まで、シリーズものについてあれこれお話しています…

映画『アイアンクロー』ザック・エフロン/ジェレミー・アレン・ホワイト/ハリス・ディキンソン/スタンリー・シモンズ アイアンクロー【レビュー】

本作は1980年初頭にプロレス界で名を刻んだ“鉄の爪(アイアンクロー)”フォン・エリック一家の物語…

映画『コヴェナント/約束の救出』ダール・サリム ダール・サリム【プロフィールと出演作一覧】

1977年8月18日イラクで生まれ、デンマークに移住する。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011)と…

Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』賀来賢人 忍びの家 House of Ninjas【レビュー】

“忍び(忍者)”は日本を象徴する文化の1つであり、日本が主導で忍びにまつわるドラマを作るとなれば…

映画『ブルックリンでオペラを』アン・ハサウェイ/ピーター・ディンクレイジ ブルックリンでオペラを【レビュー】

本作は、日常のちょっとしたことがきっかけで…

Netflix映画『REBEL MOON:パート1 炎の子』ソフィア・ブテラ ソフィア・ブテラ【プロフィールと出演作一覧】

1982年4月3日アルジェリア生まれ。5歳からクラシックバレエを習いはじめ…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

映画『ミステリと言う勿れ』菅田将暉 映画好きが選んだ2023邦画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の邦画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の邦画ベストに輝いたのか、ランキングを発表!

REVIEW

  1. 映画『インフィニティ・プール』アレクサンダー・スカルスガルド/ミア・ゴス
  2. 映画『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』ポール・ラッド/キャリー・クーン/フィン・ウルフハード/マッケナ・グレイス/ビル・マーレイ/ダン・エイクロイド/アーニー・ハドソン
  3. 映画『アイアンクロー』ザック・エフロン/ジェレミー・アレン・ホワイト/ハリス・ディキンソン/スタンリー・シモンズ
  4. Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』賀来賢人
  5. 映画『ブルックリンでオペラを』アン・ハサウェイ/ピーター・ディンクレイジ

PRESENT

  1. 映画『PS1 黄金の河』ヴィクラム
  2. 映画『ミセス・クルナス vs.ジョージ・W・ブッシュ』メルテム・カプタン
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP