REVIEW

弟は僕のヒーロー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『弟は僕のヒーロ―』フランチェスコ・ゲギ/ロレンツォ・シスト

REVIEW

ダウン症の弟がいる、きょうだい児の葛藤と成長を描いた本作は、2016年に出版された小説「弟は僕のヒーロー(原題:Mio fratello rincorre i dinosauri)」を原作としています。映画公式サイトによると、原作者ジャコモ・マッツァリオールが高校生だった2015年の3月21日、「世界ダウン症の日」に合わせ得て撮影した弟ジョーを主人公にしたショートムービーがYouTubeでバズったことで、ジャコモが弟との物語を執筆した小説が出版されることになったそうです。ショートムービーは国内外で60万回以上再生され、小説もベストセラーとなっています。
主人公ジャック(フランチェスコ・ゲギ)には姉が2人いて、5歳の時に弟が生まれると知り、大喜びします。ジョーが生まれると、両親は”特別”な子だと話し、ジャックは徐々に”特別”の意味を理解していきます。そして、高校に上がる頃、好きな女の子ができ、ジャックは思わず弟の存在を隠してしまいます。その嘘がどんどん取り返しのつかない状況を招いていきます。ジャックは、ジョー(ロレンツォ・シスト)や家族に対して、とてもひどいことをしてしまいます。それを本人が1番わかっているからこそ、胸が痛くなります。同時に、ジャックはジョーが大好きで、ジョーもジャックが大好きな気持ちがシーンの端々から伝わってくるからこそ、クライマックスの展開に胸が熱くなります。
軽々しく、ジャックや家族皆の気持ちがわかるなんていえません。ただ、紛れもなくこの家族はとても素敵で、愛情に溢れています。そして、タイトルの通り、本当に弟ジョーはジャックのヒーローで、ジョーの存在が家族や周囲を幸せにしているのが伝わってきます。さらに、生きていく上で家族の存在の大きさを改めて考えさせられます。私にも姉がいますが、きょうだいの存在の大きさも実感します。きょうだいの有無は自分では決められませんが、これから先の長い人生、助け合って生きていく上で支え合える存在に思いを馳せる機会をくれる物語でもあります。

デート向き映画判定

映画『弟は僕のヒーロ―』アレッサンドロ・ガスマン/イザベラ・ラゴネーゼ/フランチェスコ・ゲギ

恋愛も物語のキーとなっていて、参考になる部分があると思います。気まずくなるようなシーンはないので、初デートで観ても大丈夫です。むしろ、友達以上恋人未満、付き合いたてホヤホヤの2人こそ、最初のうちに気を付けておくと良いポイントが描かれているので、一緒に観て、お手本にするのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『弟は僕のヒーロ―』フランチェスコ・ゲギ/ロレンツォ・シスト

ジャックやジョーと同世代の皆さんは、等身大で観られると思います。家でのこと、学校でのこと、好きな人とのこと、いろいろな視点で感情移入できるポイントがあると思います。ふとついてしまった嘘が、誰かを深く傷つけたり、何より自分が1番辛い思いをすることになるという疑似体験もできるでしょう。小学生以下の皆さんは、ダウン症について説明を受けた上で大人と一緒に観てください。

映画『弟は僕のヒーロ―』フランチェスコ・ゲギ/ロレンツォ・シスト

『弟は僕のヒーロー』
2024年1月12日より全国順次公開
PG-12
ミモザフィルムズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©COPYRIGHT 2019 PACO CINEMATOGRAFICA S.R.L. NEO ART PRODUCCIONES S.L.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年1月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  2. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  3. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  4. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  5. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP