REVIEW

うみべの女の子

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『うみべの女の子』石川瑠華/青木柚

本作は『ソラニン』の浅野いにおによる同名小説を映画化したもので、本作の映画化にあたって実施されたオーディションには、原作者の浅野いにおも審査員として参加したとのことです。そのオーディションで見事主演を勝ち取った石川瑠華と青木柚は、素晴らしい演技を見せていて、今後の活躍に期待が膨らみます。
海のある田舎町に暮らす中学2年生の女の子、小梅(石川瑠華)は、先輩にフラれた衝動で、同級生の磯部(青木柚)と初体験を済ませます。磯部は以前から小梅に好意がありつつも、小梅にはその気はなく、2人は体だけの関係を続けます。でも、徐々に小梅の気持ちに変化が起こり、一方で磯部にも変化が表れます。
ここから先は本編を観ていただくとして、思春期特有の暴走といおうか、自虐といおうか、幼いがゆえの危なっかしさがとてもリアルで、観ていて終始心がざわつきます。彼等の行動の裏にあるのは、好奇心なのかもしれないし、絶望なのかもしれないし、恋心なのかもしれないし、希望なのかもしれないという、複雑に絡み合う心情が見事に描かれています。無知だからこそ純粋で、純粋だからこそ危なくて、傷だらけになりながらも成長していく彼等の姿は痛々しくも美しいと言えます。
大人目線で観ると、思春期ってすごくエネルギーを使うんだな〜と改めて感じられると思います。この物語と同じ体験をしていなくても、思春期に感じていたどうしようもない感情や衝動は、誰もが共感できるでしょう。また、いろいろなキャラクターが登場するので、主人公達と同世代の方達が観ても、きっと何かしら自分に通じるところが見つかるはずです。年齢を問わず、本作で思春期の疾走感を体感して、息苦しさとそれを乗り越えた後の爽快感を味わってください。

デート向き映画判定
映画『うみべの女の子』石川瑠華/青木柚

性描写が多いので、デートで観るのは少々気まずいかもしれません。また、ある種歪んだ関係が描かれているので、自分達の関係も微妙だなと思っているカップルは、映画と割り切って観られない可能性があります。逆に自分達の関係をはっきりさせたいと考えているならば、敢えて一緒に観て、鑑賞後に本音をぶつけ合うのは良いかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『うみべの女の子』石川瑠華/前田旺志郎

中学生が主人公ですが、15歳未満の方はまだ観られません。中学生が主人公とはいえ、高校生以上のティーンの皆さんは日常で直面する問題は共通するところが多いと思います。反面教師的に参考になる部分も多いので、本作を観て、自分自身を大切にすること、自分に好意を持ってくれる人、周囲の人を大切にすることについて、考えてみてもらえると嬉しいです。

映画『うみべの女の子』石川瑠華/青木柚

『うみべの女の子』
2021年8月20日より全国公開
R-15+
スタイルジャム
公式サイト

© 浅野いにお/太田出版・2021『うみべの女の子』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド Mr.ノボカイン【レビュー】

痛みを感じない疾患を持つ主人公、ネイサン・カイン(ジャック・クエイド)は…

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『Mr.ノボカイン』ジャック・クエイド
  2. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  3. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  4. 映画『リライト』池田エライザ
  5. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP