REVIEW

ウィキッド ふたりの魔女【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ

REVIEW

観終わった後の充実感が半端なく、すぐまた観たいと思わせる傑作!不朽のミュージカル“ウィキッド”を映画化したのは、『クレイジー・リッチ!』『イン・ザ・ハイツ』を手掛けたジョン・M・チュウ監督です。本作のストーリーは、2作目“Wicked Part Two(原題)”(2025年11月21日に世界初公開、日本公開日は未定)に続いています。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ

後に“悪い魔女”となる緑色のエルファバ役を、エミー賞、グラミー賞、トニー賞を受賞し、『ハリエット』でアカデミー賞にノミネートされたシンシア・エリヴォ、“善い魔女”グリンダ役を、グラミー賞受賞歴があり、世界的に絶大な人気を誇るアーティスト、アリアナ・グランデが演じています。2人の一流アーティストの歌と踊り、演技力に圧倒されるのはもちろんのこと、本作の魅力は2人の神がかったコンビネーションによって完成されたと感じます。それはシンシア、アリアナ、ジョン・M・チュウが揃って来日した時に3人が醸し出すムードからも実感できました。
シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデともに役にピッタリで、それぞれのキャラクターに深みを与えています。本作は、悪い魔女と善い魔女の誕生秘話で、2人の真逆な生い立ちが印象的に描かれています。“オズの魔法使い”の内容を知る方は多いとして、原作“ウィキッド”の内容を知らずに本作で初めて物語に触れる方は、エルファバとグリンダの意外な過去に驚くでしょう。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ

シンシア・エリヴォは、エルファバの優しさと内に秘めた大きな力に対する戸惑いを繊細に演じています。そんなエルファバが自分を信じて前に進もうとする際に歌う、「重力に逆らう」を意味する“Defying gravity(ディファイング・グラヴィティ)”のシーンでは、歌詞とメロディとシンシアの歌声が胸に刺さり、涙腺崩壊必至です(笑)。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』アリアナ・グランデ

一方アリアナ・グランデが演じるグリンダは、すごくキュートでユーモアに溢れています。“ポピュラー”を歌うシーンでは特に、グリンダの魅力が全開していてエンターテイナーとしてのスゴさを実感させられます。さらにグリンダの持ち物(小道具)の仕掛けにもこだわりが見え、本当にワクワクするし笑えます。2人が来日した際に、このシーンでアリアナがアドリブを入れたと話していたので、アドリブを受けたシンシアの表情にも注目して観てください。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』ジョナサン・ベイリー

他にも印象に残るシーンが多くあるなか、図書館のシーンでは、映画ならではの仕掛けと豪華さがあり、高度なアクロバティックにも魅了されます。また、ミュージカル版に出演していたクリスティン・チェノウェスとイディナ・メンゼルがカメオ出演しており、圧巻の歌声を披露しています。そして、空から映す風景は本作のスケールの大きさを物語ると同時に、カラフルで美しい世界を印象づけています。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』ミシェル・ヨー/ジェフ・ゴールドブラム

オズの魔法使い(ジェフ・ゴールドブラム)とエルファバの対比も印象的です。オズは文明、つまり目に見える力の象徴、エルファバは目に見えない自分の中に眠る力の象徴とも捉えられ、文明社会に生きる私達に生き方を問うストーリーだと感じます。
本当に何度でも観たくなるくらい、心を動かされる作品です。ストーリーはもちろんのこと、壮大なスケール、美しい映像、音楽は、最善の環境で観ないともったいないので、一度は必ず劇場で観てください!

デート向き映画判定

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ

ラブストーリーの要素も含まれ、切ない展開もあるので、状況が似た恋愛をしている方は良くも悪くも現実的な視点で自分の恋愛について考えるきっかけになるかもしれません。何となく心がすれ違っていると思っている場合は、デートで観るよりも友達と観るか、1人で観るほうが良さそうです。そういった心配のないカップルにはデートで観るのもオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ

161分と長尺なのでキッズの集中力かがもつかどうかは心配なところではあるものの、テンポ良くストーリーが展開し、内容が濃く、一つひとつのミュージカルシーンが粒立っているので、見入ってしまえばあっという間に観終えるでしょう。友情の物語という点で、若い皆さんが今観ておく意義は大いにあります。集中力に自信があれば、ぜひ今一度観ておいてください。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ

『ウィキッド ふたりの魔女』
2025年3月7日より全国公開
東宝東和
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© Universal Studios. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『キャンドルスティック』阿部寛 キャンドルスティック【レビュー】

金融をテーマとした映画に、なぜ“『キャンドルスティック』というタイトルが…

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり 夏の砂の上【レビュー】

松田正隆による戯曲を映画化した本作は、演出家の玉田真也が監督、脚本を務め、オダギリジョーが…

映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー DROP/ドロップ【レビュー】

主人公のバイオレット(メーガン・フェイヒー)は、幼い一人息子を育てるシングルマザーで、壮絶な過去を乗り越え…

映画『君がトクベツ』畑芽育 畑芽育【ギャラリー/出演作一覧】

2002年4月10日生まれ。東京都出身。

映画『この夏の星を見る』桜田ひより この夏の星を見る【レビュー】

2020年、新型コロナウィルス感染症が世界中に広まった1年目、私達の日常は大きく変わりました。本作では、その2020年に、長崎県、茨城県、東京都に住む中高生達が過ごした日々…

映画『国宝』吉沢亮/横浜流星 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年6月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年6月】のアクセスランキングを発表!

映画『ナチス第三の男』ジャック・オコンネル ジャック・オコンネル【ギャラリー/出演作一覧】

1990年8月1日生まれ。イギリス出身。

映画『ハルビン』ヒョンビン ハルビン【レビュー】

『KCIA 南山の部長たち』『インサイダーズ/内部者たち』のウ・ミンホが監督と、『ソウルの春』の制作スタッフとタッグを組んだ本作は…

映画『ハルビン』ジャパンプレミア:ヒョンビン、リリー・フランキー、ウ・ミンホ監督 リリー・フランキーがヒョンビンの優しさを感じたエピソードとは?『ハルビン』来日ジャパンプレミア

ヒョンビン主演のサスペンス・アクション映画『ハルビン』が、7月4日より全国公開となります。その公開を記念し、ヒョンビンとウ・ミンホ監督が来日し、さらに本作で伊藤博文役を演じたリリー・フランキーが登壇するジャパンプレミアが行われました。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『君がトクベツ』畑芽育/大橋和也
  2. 映画でSEL:告知1回目
  3. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット

REVIEW

  1. 映画『キャンドルスティック』阿部寛
  2. 映画『夏の砂の上』オダギリジョー/髙石あかり/松たか子/満島ひかり
  3. 映画『DROP/ドロップ』メーガン・フェイヒー
  4. 映画『この夏の星を見る』桜田ひより
  5. 映画『国宝』吉沢亮/横浜流星

PRESENT

  1. 特製『平成狸合戦ぽんぽこ』ふんわりキーホルダー正吉
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP