REVIEW:シーズン3
『セックス・アンド・ザ・シティ』の続編として作られた本シリーズは今シーズンで完結します。キャリーは小説を書き始め、ライターとして新たな一面を見せます。キャリーが小説で使う言葉はとてもキャリーらしくて、本シリーズの世界観をよく表しています。そうした描写も含め、それぞれのキャラクターは年齢を重ねて変化しつつも芯はぶれておらず、脚本家をはじめとする制作陣、俳優陣の力量と作品への愛情、こだわりが伝わってきます。

また、新たな人間関係が生まれるなかで、キャリーがこれまでの自分の恋愛を振り返るシーンでは、時代の変化に伴う恋愛観の変化を感じます。過去の男性がキャリーをどう扱ってきたかというキャリー自身の洞察には、なるほどと思わせる説得力があり、とても共感できます。キャリーは可愛いらしさも魅力ながら、今シーズンでは彼女の知性がフォーカスされています。

ミランダ、シャーロット、シーマ、リサもすったもんだありながら、それぞれに自分らしい幸せを追求していきます。キャリア、恋愛、家族、さまざまな面で、女性の生き方を問う本シリーズは、女性なら何かしら響くところがあるのではないでしょうか。キャリーが書く小説の最後にも、本シリーズの真髄が表れています。どんな結末を迎えるのか、お見逃しなく。

『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章 シーズン3』
2025年5月30日よりU-NEXTにて配信中
公式サイト U-NEXTで観る
©2025 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.
TEXT by Myson
REVIEW:シーズン2

シーズン1は大きな別れがあったので、キャリーにまた恋はできるのか心配でしたね。でも本シリーズは恋愛抜きでは語られないということで、またキャリーに恋の予感が訪れます。年を重ねたキャリーの恋愛の仕方は多少変わったのかと思いきや、少し落ち着いたように見えて、意外に変わってないところも魅力です。そして、まさかの“彼”が登場します。これは”セックス・アンド・ザ・シティ(以下、SATC)”を観ていた方にとってはかなりテンションが上がるはず。同時に結構ご都合主義的な展開もあり、ツッコミどころも満載です。まあでも、これはこれで、もしかしたらファンの期待に応える展開といえるのかもしれないですね。

そして、”SATC”と大きく変わった点は、やっぱりミランダですよね。弁護士でもなくなっているし、もう一度学生もやっていて、ジェンダーレスで、まさに第二の人生を謳歌しているキャラクターとなっています。一方、スティーブ(デヴィッド・エイゲンバーグ)はイメチェンに入っている感があります。デヴィッド・エイゲンバーグは『シカゴ・ファイア』で消防士のクリストファー・ハーマンを演じていますが、本作のスティーブが若干ハーマンに寄ってきている感があるのは私だけでしょうか(笑)。筋トレ以外にも「そこも!?」というポイントが後半出てくるのでお楽しみに。

この新章で一番おもしろいなと思うのがシャーロットです。すごく真面目で優しいお母さんで、たまに娘2人に舐められつつも、ここぞという時にはおかん感を振るう姿が笑えます。あとは、シャーロットの友達のアンソニーも欠かせないスパイスになっています。強気な発言と毒舌、どストレートに下品なトークが笑えます。それでいて急にしおらしくなったり、憎めないキャラクターです。
あと、私のお気に入りはニコール・アリ・パーカーが演じるリサです。彼女は品があって、とてもカッコ良い!義母のいびりに耐えながら、子育てと夫のサポート、自分のキャリアとすべて一生懸命で、強く逞しくスマートにこなす様子はリスペクトに値します。同時に夫にチクチクと自己主張する姿も可愛いです。

シーズン1は”SATC”の勘を取り戻しながら作られたような印象が強かったものの、シーズン2に入って”SATC”のノリが返ってきた印象です。だから、正直エグさも戻ってきました(笑)。そして、ニュースでご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、あの御方がちらっと登場しますよ。やっぱり、あの御方が出るだけで華やぎます。見た目もほぼ変わっていなくてビックリです。完全復活はなさそうですが、これで少し場外騒動に一区切りついたという感じでしょうか。本シリーズはシーズン3の制作も決まったとのことで、まだまだ楽しませてもらえそうです。

『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章 シーズン2』
2023年6月22日よりU-NEXTにて配信中
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©2023 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO MaxTM is used under license.
TEXT by Myson
REVIEW:シーズン1

30代の個性豊かな独身女性4人の日常を赤裸々に描いた“セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)”(1998~2006年作品/日本では2000年から放送)のその後を描いた本シリーズは、キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)、ミランダ(シンシア・ニクソン)、シャーロット(クリスティン・デイビス)の3人をメインキャラクターとして物語が構成されています。さまざまな噂は耳にしていたので、それらが本当だとすると仕方がないと思いつつ、やっぱりサマンサ(キム・キャトラル)がいないのはかなり寂しいです。姿は見せないものの、サマンサの存在は残るよう構成に工夫は見られますが、こうして彼女がいないストーリーを観ると、改めてオリジナルの4人のバランスの良さを感じずにはいられません。

ただ、キャリー達のリアルな日常を描くというスタイルは貫かれています。本シリーズでキャリー達は50代半ばという設定なので、老いもテーマに加わっています。“SATC”はセックスライフが赤裸々に語られている点で、放送当時とても先進的でした。それから十数年経ち、性について語ることにハードルが下がってきているなか、次のテーマにチャレンジしているのだなという姿勢が伝わってきます。何より、個人的に“SATC”から好きなポイントは、カッコ悪いところ、みっともない姿も見せちゃうところ。そういうスタンスは健在で、ありのままの自分や現状を受け入れて前進しようともがくキャリー達の姿に何だか癒されます。

そして、スティーブ、ハリー、スタンフォード、アンソニーなど、脇を固めるキャラクターも健在です。ただ、スタンフォードを演じていたウィリー・ガーソンは2021年9月に57歳の若さでガンで亡くなられたとのことです。とても寂しいですが、今シーズンの前半は懐かしい姿を観られるのでぜひ注目してください。また、ミランダやシャーロットの子ども達が大きくなっていて、親子のやり取りも印象的に描かれています。中でも個人的にツボだったのはシャーロットが娘にタ○ポ○の使い方を指南するエピソード。娘目線では“女子あるある”で笑えるし、母の立場であれやこれやと工夫して指南するシャーロットの言動もかなり可笑しくて、シャーロットのキャラクターが一層活かされているエピソードとなっています。
本シリーズの続編はあるのか、現時点(2022年5月30日現在)ではまだ正式な発表はありませんが、続きがあるならもう少し観てみたいと思います。

『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』
2021年12月29日よりU-NEXTにて配信中
公式サイト U-NEXTで観る
©2021 WarnerMedia Direct, LLC. All Rights Reserved. HBO Max™ is used under license.
TEXT by Myson





























