REVIEW

ビューティフルドリーマー

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ビューティフルドリーマー』小川紗良/藤谷理子/神尾楓珠/内田倭史/ヒロシエリ/森田甘路

本作は、映画研究会に所属する大学生達が、部室で古い脚本を見つけ、未完のその作品の完成にチャレンジするという物語。主人公の大学生や脇役達は、私達が現実の世界で知っている俳優の芸名のまま(ただしカタカナ表記)で登場しており、役者達の演技もポイントだけ決められていて即興芝居という不思議な作りの映画です。また、劇中で学生等が撮ろうとしている作品も私達の現実世界に実存する作品(本作のタイトルがヒントになっています)で、夢と現実の世界が酷似しています。恐らく広い意味での”夢”がキーポイントで、夢と現実がとても近いところにあることと同時にその境界線を示すための設定なのかなと勝手に解釈しましたが、皆さんは皆さんなりに解釈を楽しみながら観てください。学生達が何を撮ろうとしているのかも含めて想像して楽しんで頂きたいので、タイトルは伏せておきますが、オリジナル作品の知識があまりなければ、彼等が何を撮影しているのか途中まで全然想像がつかず、そこを考えながら観るのがおもしろいとも言えます。わかった時には「なるほど〜」となるか、「え〜!」となるか、楽しみにしてください。
正直なところ、キャラクター達の背景などは深掘りされず、大きなドラマも起こらず、日常を淡々と映している感じなので、知らない間に映画が終わっていたという感覚になる可能性もありますが、もしかしたら「いつも夢を見ているだけのような感覚で毎日をやり過ごしていたら、今という大事な時がどんどん過ぎていってしまいますよ」ということを表現しているのかも知れません。一方で、何でもないような日常で交わされる大学生達の会話の中には、等身大の気持ち、もっと大きな声で周囲に伝えたほうが良い気持ちなどが表れていて、押しつけがましくなることなく、一日いちにちの大切さに気付かされます。そういった意味で、頭で考えながら観るというよりも、感覚的に理解していくタイプの映画として楽しんではいかがでしょうか。

デート向き映画判定
映画『ビューティフルドリーマー』小川紗良/神尾楓珠/藤谷理子

大学生達の会話の中で恋の話が出てくるくらいなので、ロマンチックなムードになることは期待できません。でも逆にそれで気まずくなることがない点では観やすいとも言えます。派手な展開がないので、ちょっと初デートには向いていないように思いますが、映画作りに興味のある学生カップルや、実際に映画作りに携わっているカップルなら、映画作りという視点で観て、会話が弾むところがあると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ビューティフルドリーマー』秋元才加

キッズが観て問題になるという内容ではありませんが、まだピンとこないと思うので、中学生以上になってから観るほうが身近な物語として楽しめるでしょう。ティーンの皆さんは、主人公達と同じ目線で自分達の日常とも重ねながら観られるのではないでしょうか。すごく大きな悩みとなっていなくても、学校生活の中で逃しているチャンスや、やりたいと思っているのに挑戦できていないことがあることに気付かされるかも知れません。自分の中の夢として抱えていることがあるなら、仲の良い友達と一緒に観て、それを機に自分の思いを打ち明けてみると、それが最初の一歩に繋がることもきっとあると思います。

映画『ビューティフルドリーマー』小川紗良/藤谷理子/神尾楓珠/内田倭史/ヒロシエリ/森田甘路/斎藤工/秋元才加/瀧川英次/ 升毅

『ビューティフルドリーマー』
2020年11月6日より全国順次公開
エイベックス・ピクチャーズ
公式サイト

© 2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ズートピア2』
  2. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル
  3. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン
  4. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP