REVIEW

ボーイズ・イン・ザ・バンド

  • follow us in feedly
  • RSS
Netflix映画『ボーイズ・イン・ザ・バンド』ジム・パーソンズ/ザカリー・クイント(ザッカリー・クイント)/マット・ボマー/アンドリュー・ラネルズ/チャーリー・カーヴァー/ロビン・デ・ヘスス/ブライアン・ハッチソン/マイケル・ベンジャミン・ワシントン/タック・ワトキンス

本作は、1968年にニューヨークで上演された、マート・クローリーの舞台演劇“The Boys in the Band(真夜中のパーティー)”が原作となっており、本作(映画版)の脚本も原作者のマート・クローリー(ネッド・マーテルと共同脚本)が手掛けています。舞台初演当時の1968年はゲイが違法とされていて、カミングアウトする人もほとんどおらず、ゲイを真っ向から描いた革新的な作品として伝説となっています。
同じNetflixで配信されている『制作・出演陣が語るボーイズ・イン・ザ・バンド』によると、この戯曲は、“ストーンウォールの反乱”の前年となる1968年に、ニューヨークの小劇場で初演されました。3人のストレートと、6人のゲイの役者が所属事務所の反対を押し切って出演し、初演から50年経った2018年にブロードウェイでリバイバル上演された時には、全員ゲイをカミングアウトした役者が演じました。リバイバルされた舞台は2019年に第73回トニー賞を受賞し、このキャストがそのまま映画版となる本作でも同じ役を演じています。本作を観る前または後に『制作・出演陣が語るボーイズ・イン・ザ・バンド』を観ると、本作が辿ってきた時代背景はもちろん、ショービズ界の変遷、ゲイをカミングアウトした制作者や出演者の思いも知ることができるので、ぜひ合わせて観てください。
本作はある人物の誕生日パーティーに集まった、全く異なるタイプの9人のキャラクターが織り成す会話劇。ちょっとしたことが火種となって論争が起き、一見何気ない言葉で人間の奥深いところにまで切り込んでいく展開が何とも見事です。舞台と同じメンバーが演じているとあって息もピッタリで、全キャラクターがとてもリアルで活き活きとしています。セリフの一つひとつが本当に魅力的で、会話劇の醍醐味を味わうことができます。これがまたブロードウェイで上演されるなら、舞台でも観てみたくなる、素晴らしい作品です。

デート向き映画判定
Netflix映画『ボーイズ・イン・ザ・バンド』ジム・パーソンズ/ザッカリー・クイント

パーティーでの9人の会話を大きく展開させるテーマの中に愛があります。そのやり取りからは、彼らが愛にまつわるどんな経験をしてきたか、そしてこれからはどんな自分になろうとしているか、どう愛に向き合おうとしているかが描かれています。彼らが愛に臆病になりながらも一歩踏み出そうとする姿に、誰もが共感できるはずです。好きな人と一緒に観るのもアリだし、今の恋愛に疑問を感じている人は1人でじっくり観るのも良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
Netflix映画『ボーイズ・イン・ザ・バンド』ジム・パーソンズ/アンドリュー・ラネルズ/マイケル・ベンジャミン・ワシントン/タック・ワトキンス

原作舞台演劇が初演された1968年がどんな時代だったのかを知った上で観て欲しいので『制作・出演陣が語るボーイズ・イン・ザ・バンド』と合わせて観ることをオススメします。初演当時、この作品を作ることも上演することも、それに出演することも、観ることも大きなリスクを伴う行為だったと思います。でも、彼らのような人達のチャレンジが社会を大きく変えるきっかけとなったと思うと、作品の意義を実感できると思います。本当の自分を偽っていることに辛い人もぜひ観て観てください。

Netflix映画『ボーイズ・イン・ザ・バンド』ジム・パーソンズ/マット・ボマー

『ボーイズ・イン・ザ・バンド』
2020年9月30日よりNetflixにて配信中
※15歳未満の未成年者の視聴は推奨しません。
公式サイト

Brian Bowen Smith

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『けものがいる』レア・セドゥ けものがいる【レビュー】

毎度ながら前情報を入れずに観て、最初のシーンで「?」、次のシーンでも「?」となりながら、徐々に…

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』ケイト・ウィンスレット 『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』プレミアム先行試写会 10名様ご招待

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』プレミアム先行試写会 10名様ご招待

映画『けものがいる』レア・セドゥ 『けものがいる』鑑賞券(ムビチケ) 3組6名様ご招待

映画『けものがいる』鑑賞券(ムビチケ) 3組6名様ご招待

生き別れた兄弟のような関係、ニコラス・ウィンディング・レフン、小島秀夫がプラダ青山店にて展覧会【SATELLITES】を開催!

ニコラス・ウィンディング・レフンと小島秀夫による展覧会【SATELLITES】が、プラダ青山店にて2025年4月18日から8月25日まで開催されます。開催を記念して、ニコラス・ウィンディング・レフンと小島秀夫がトークイベントを行いました…

映画『マインクラフト/ザ・ムービー』ジェイソン・モモア/エマ・マイヤーズ/ダニエル・ブルックス/セバスチャン・ハンセン マインクラフト/ザ・ムービー【レビュー】

「2009年に誕生し、2011年に正式発売されて以来、瞬く間に世界を席巻」している大人気ゲーム“マインクラフト”(通称:マイクラ)が…

映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』萩原利久/河合優実 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は【レビュー】

いつもの通り、前情報を極力入れずに本編を観て、特に独特なセリフと掛け合いが…

映画『52ヘルツのクジラたち』小野花梨 小野花梨【ギャラリー/出演作一覧】

1998年7月6日生まれ。東京都出身。

映画『パリピ孔明 THE MOVIE』向井理 パリピ孔明 THE MOVIE【レビュー】

REVIEW発行部数240万部を超える同名コミックを原作とし、最終回放送時はSNSトレンド…

Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー アドレセンス【レビュー】

物語はまだ13歳の少年ジェイミー・ミラー(オーウェン・クーパー)が殺人容疑で…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『けものがいる』レア・セドゥ
  2. 映画『マインクラフト/ザ・ムービー』ジェイソン・モモア/エマ・マイヤーズ/ダニエル・ブルックス/セバスチャン・ハンセン
  3. 映画『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』萩原利久/河合優実
  4. 映画『パリピ孔明 THE MOVIE』向井理
  5. Netflixシリーズ『アドレセンス』オーウェン・クーパー

PRESENT

  1. 映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』ケイト・ウィンスレット
  2. 映画『けものがいる』レア・セドゥ
  3. DMM TVオリジナルドラマ『ドンケツ』伊藤英明
PAGE TOP