REVIEW

百花【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『百花』菅田将暉/原田美枝子

だんだん記憶を失いつつある母親と、その姿に困惑する息子の物語。原作は本作で監督、共同脚本を務める川村元気の同名小説です。本作に登場する母親(原田美枝子)の言動は、見てすぐに認知症なのだとわかります。ただ、それにしても息子(菅田将暉)の戸惑い方は別の何かを感じさせます。ここにドラマがあって、物語が進むにつれ、真相がわかっていきます。
本作は、現代と息子が幼少の頃のシーンで構成されています。シーンのあちらこちらに、何か引っかかるポイントがあり、伏線がはられています。過去に何があるのかを知らずに観るのと、知った上で観るのとで本作の印象も変わりそうです。そういう意味で、原作を読んでから観る、映画から先に観る、どちらでも楽しめそうです。個人的にはなるべく情報を入れずに観ていただきたいので、これ以上は書きませんが、過去のいろいろがあるからこそ息子の心情が激しく揺れ動き、複雑な心境になっているのが伝わってきます。
本作を観れば、誰もが自分の親子関係、親子の思い出を振り返らずにはいられないと思います。自分にとって大切な思い出を親が忘れているとショックを受けることもあるかもしれません。でも、子どもが知らない親の思いを知ることができると思います。もし今、親子でギクシャクしている方がいたら、本作を観ると少し心をほぐすことができるのではないでしょうか。

デート向き映画判定
映画『百花』菅田将暉/長澤まさみ

家族の話としてはかなり重い内容が描かれています。同様の過去を抱えている方にとっては、気持ちの整理がついていない状態でデートで観るのは落ち着かないかもしれません。なので、初デートというよりは、2人の関係が安定してきて、もっと私的な深い話をしても大丈夫かなと思えるようになったら、デートで観るのもアリだと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『百花』菅田将暉/原田美枝子

幼いキッズにはまだ難しい内容です。小学校高学年以上もしくは中学生以上なら、だんだん親や大人の様子にも敏感になってくるので、本作を観て何かしら感じることがありそうです。大人の事情をわかる必要はありませんが、客観的に状況を観ることができれば、自分自身の気持ちも少し落ちつかせることができるかもしれません。

映画『百花』菅田将暉/原田美枝子/長澤まさみ

『百花』
2022年9月9日より全国公開
東宝
公式サイト

© 2022「百花」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

映画『8番出口』河内大和 河内大和【ギャラリー/出演作一覧】

1978年12月3日生まれ。山口県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  2. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  3. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  4. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗
  5. 映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP