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枯れ葉【レビュー】

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映画『枯れ葉』アルマ・ポウスティ/ユッシ・ヴァタネン

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『希望のかなた』(2017)を最後に監督引退宣言をしていたアキ・カウリマスキ監督が、6年ぶりに新作を発表。引退されなくて本当に良かった!
物語の主人公は、職場に恵まれず細々と生きるアンサと、アルコールなしではいられないホラッパ。2人はある晩、カラオケバーで目と目が合い、その後運命的な再会を果たします。良い感じで交際が進むのかと思いきや、今度は奇妙な偶然によるすれ違いに翻弄されます。この“神様のイタズラ”的な展開にユーモアと哀愁が同時に漂っていて、アキ・カウリスマキ監督ならではの世界観が感じられます。
一見、2人の日常を淡々と映しているようでいて、ふとした一コマが思わぬ展開を巻き起こす点でドラマチックです。仕事もままならず、せめて恋愛だけでも…と思える状況から主人公2人に感情移入してしまうだけに、2人とも譲らないところを持っているせいで関係がこじれる様がもどかしくもあり、清々しくもあります。そして、中年の2人が“枯れていく”姿と“美しいままの姿”のコントラストが見事で、ロマンチックなシーンも詰まっています。“ただでは枯れない”中年男女の“妥協なし”のラブストーリーがとても素敵です!

デート向き映画判定

映画『枯れ葉』アルマ・ポウスティ/ユッシ・ヴァタネン

アンサとホラッパと同年代(恐らく40代の設定)のカップルは、特に親近感を持てるでしょうし、希望を持てると思います。中年同士の恋愛を等身大で描いているので、無理をして恋愛をしようとするわけでもなく、流れに身を任せながらも前向きになれるのではないでしょうか。20代、30代カップルは違った印象を持つかもしれませんが、とにかく将来像の参考にして、今どうしたいかを考えるきっかけにするのも良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『枯れ葉』アルマ・ポウスティ

キッズやティーンの皆さんにとってはかなり渋い内容だと思います。2人の男女はお互いにグイグイいってんだか、モジモジしてんだか、わからないと感じるところもあるでしょう(笑)。長年生きていると、なかなか柔軟にはいかないところがあり、若い頃の恋愛とは異なるところもあるので、皆さんの恋愛と劇中の恋愛を比較をしてみると、将来に役立つところがあるかもしれません。

映画『枯れ葉』アルマ・ポウスティ/ユッシ・ヴァタネン

『枯れ葉』
2023年12月15日より全国公開
ユーロスペース
公式サイト

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© Sputnik
Photo: Malla Hukkanen

TEXT by Myson

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