REVIEW

風をつかまえた少年【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『風をつかまえた少年』マックスウェル・シンバ

「必要は発明の母」ということわざがありますが、まさにそういった状況で、困窮した家族と村の人々を救おうと風力発電を自ら作り出した少年の実話です。原作者のウィリアム・カムクワンバが風力発電を作ったのはなんと14歳の時。映画の中では、学費が払えなくなり、学校に行けなくなってしまったウィリアムの苦悩が描かれています。日本では中学校までは義務教育なので学校に行くのは当たり前。でも、行きたくても行けない国の少年少女がいることや、学校で学ぶこと、自分で興味を持って積極的に学ぶことがいかに大事かということを本作から実感させられます。14歳の少年が村を救うために風力発電を作ると言っても、日本でも本気にしない大人が多いと思いますが、意地でも自分で何とかしようと奮闘し息子の言葉に最初は耳を傾ける余裕がない父親と、頭脳を活かして村を救いたいと本気で行動する息子とのやりとりにも、誰もが胸を打たれるはず。マックスウェル・シンバが演じるウィリアムがとても愛らしくてピュアで、応援したくなる魅力的なキャラクターになっているのはもちろん、これが実話だと思うとすごく勇気をもらえるし、絶対に負けないと決め、生きようとするウィリアム一家の姿を観ると、人間の根本的な強さに希望が持てます。この作品は、ウィリアムの父親役を務める名優キウェテル・イジョフォーの初監督作品というのも注目ポイントで、(資料のインタビューより)このストーリーに出会って監督をやろうと決めたのも納得です。素晴らしい作品なのでお見逃しなく!

デート向き映画判定
映画『風をつかまえた少年』マックスウェル・シンバ/キウェテル・イジョフォー

勇気と希望をくれる実話を映画化した作品で、とても見応えがあり、どんな人が観ても共感できると思います。ロマンチックなムードを盛り上げてくれるようなストーリーではなく、特別デート向きというわけではありませんが、逆にそれが観やすい点でもあるので、年代を問わずデートで観るのも良いと思います。初デートで観てもオーケーですよ。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『風をつかまえた少年』マックスウェル・シンバ/キウェテル・イジョフォー

大人が思っている以上に子どもには可能性や力があって、それを結果を出して証明した主人公は本当に素晴らしいです。皆さんも一生懸命やっているのに、家族や周囲の大人に認めてもらえなかったり、話を聞いてすらもらえないこともあるかも知れませんが、本作を観たら「負けないぞ!」と勇気と元気をもらえると思います。学校に行けることの有り難さや、勉強の大切さもすごく理解できる内容なので、ぜひキッズ、ティーンの皆さんに観て欲しいです。

映画『風をつかまえた少年』マックスウェル・シンバ

『風をつかまえた少年』
2019年8月2日より全国順次公開
ロングライド
公式サイト

© 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  2. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  3. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  4. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  5. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP