REVIEW

空白

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『空白』古田新太/松坂桃李

初期の宣伝では、古田新太が演じる主人公の狂気が前面に出されていたこともあり、観る前のイメージとは違う印象を受けました。映画では、主人公の態度の背景にあるものが描かれているので、彼がなぜそんな行動を取るのか納得がいくところは多いです。そして、本作には完全な悪役は出てきませんが、状況が複雑なだけに、それぞれのキャラクターの思いが交錯し、お互いにとても理不尽な状況になっているというところで胸が締め付けられます。状況は違えど、こういったことは私達の周りでも起きてそうなことで、他人事としては観られません。
キャラクターそれぞれに、相手が許せないと思うこと、許して欲しいと思うことがあって、1人ずつの立場に立てば理解できるだけにやるせなさが半端ありません。だからといって、相手の立場に立ってもその思いに納得できるので、さらにやるせないんですよね。これは人間社会の真理を突く内容とも言えて、私達人間はこういう世界に生きているんだなと改めて実感させられます。
また、古田新太、松坂桃李、寺島しのぶ、藤原季節など、俳優達の演技力と、𠮷田恵輔監督の演出力によって、とてもリアルなシーンとなっており、良い意味で観る側もどん底まで突き落とされます。でも、ラストには救いがあり、この世の中に少し希望を持たせてくれます。複雑な感情を掻き立てるストーリーですが、人間を知るきっかけをくれる作品です。

デート向き映画判定
映画『空白』松坂桃李

観ていてとても辛いのと、序盤で結構衝撃的なシーンも出てくるので、ウキウキした気持ちを保ちたいデートの日には向きません。でも、人のいろいろな面を見ることができ、辛い局面に立たされた時にどう振る舞うのかを考えさせられるので、感想を言い合うことで相手の性格や価値観を知るきっかけにできそうです。この手の作品を好きかどうかというだけでも相性が占えそうなので、さらに一歩踏み込んで相手を知りたいと思っている方は誘ってみてはどうでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『空白』趣里/伊東蒼

この物語では、中学生の少女のある行動がきっかけで、不幸の連鎖が起きてしまいます。少女が犯した行為そのものにも問題がありますが、それが思わぬ事態を招いてしまうことになり、それに関わった人達が理不尽な状況に追い込まれます。観ていてとても辛い内容ではありますが、いろいろ考えさせられる部分が多いので、ぜひ皆さんにも観て欲しいと思います。PG-12なので、小学生は保護者と観てください。親子のストーリーでもあるので、これを機に普段話せていないことなどを勇気を出して打ち明けるのも良いでしょう。

映画『空白』古田新太/松坂桃李

『空白』
2021年9月23日より全国公開
PG-12
スターサンズ、KADOKAWA
公式サイト

©2021『空白』製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

トーキョー女子映画部チャンネルpodcast ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『嵐が丘』『カミング・ホーム』『俺たちのアナコンダ』

ネタバレあり、個人的にツボにハマったポイントを 気楽に話しているので、トークには期待せず(笑)、作品には期待してください。

映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ 俺たちのアナコンダ【レビュー】

愛しいほどにアホ全開のハッピーなコメディです。ジャック・ブラックとポール・ラッドが主演のコメディといえば…

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『キング・オブ・キングス』 キング・オブ・キングス【レビュー】

チャールズ・ディケンズが、我が子のために書き下ろした“The Life of Our Lord(私たちの主の生涯)”は、没後64年を経た1934年まで出版が許されず、幻の傑作といわれていたようです…

映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』 ハウス・オブ・ザ・デビル【レビュー】

本作は、『X エックス』『Pearl パール』『MaXXXine マキシーン』と、A24初のシリーズ化作品となる“Xシリーズ”で一気に注目を集めたタイ・ウェスト監督による2009年の作品です…

映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』ダニー・デフェラーリ/ディアナ・アグロン(ダイアナ・アグロン) ディアナ・アグロン【ギャラリー/出演作一覧】

1986年4月30日生まれ。アメリカ、ジョージア州サバンナ出身。

映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂 90メートル【レビュー】

REVIEW優しさに溢れていて、素直に観て良かったと思える作品です。ヤングケアラーが主人公…

映画『空飛ぶペンギン』ジム・キャリー 未公開映画活性課サ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ そして彼女たちは【レビュー】

ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督とリュック・ダルデンヌ監督(以下、ダルデンヌ兄弟)が選んだ今回の主人公は、若き母親達です…

映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ イ・ミンホ【ギャラリー/出演作一覧】

1987年6月22日生まれ。韓国出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『俺たちのアナコンダ』ジャック・ブラック/ポール・ラッド/スティーヴ・ザーン/タンディウェ・ニュートン/セルトン・メロ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. 映画『ハウス・オブ・ザ・デビル』
  4. 映画『90メートル』山時聡真/菅野美穂
  5. 映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ

PRESENT

  1. ドラマ『外道の歌 SEASON2』窪塚洋介/亀梨和也/南沙良
  2. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  3. 映画『キング・オブ・キングス』
PAGE TOP