REVIEW

街の上で

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『街の上で』若葉竜也

本作は、下北沢を舞台に、古着屋で働く荒川青を中心に、さまざまな人々の日々を描いた群像劇で、『愛がなんだ』『アイネクライネナハトムジーク』『mellow』『his』など次々と新作を発表し毎度話題をさらう今泉力哉監督が、漫画家の大橋裕之を共同脚本に迎えて作ったオリジナル脚本による作品です。オール下北沢ロケで撮られた作品で、下北沢の空気感を肌で感じられて、映画の世界に自然に没入できます。若葉竜也が演じる主人公の青は古着屋で働いていて、古本が好き。彼女に浮気をされてそのままフラれたばかりの彼は、未練たらたらで日々を過ごしていて、彼の何気ない日常は一見地味なのですが、彼が会う人会う人、一癖も二癖もあって、彼等との可笑しなやり取りが終始笑いを誘います。シーンの至るところで可笑しなセリフがたくさん出てくるのですが、どこか人間の本質を付くところもあって、「何でここでそんなこと言うねん(笑)!」と心でツッコミつつも、現実的な会話の裏にはこういう気持ちが隠されているんじゃないかと、とても親近感を覚えます。そして、うだつが上がらない空気をバンバンに発している青に、「自主映画に出てくれませんか?」と、女性学生監督から声がかかるのですが、青に新たな出会いがやってくるのかと思いきや、意外な展開が待っています。青だけでなく、他のキャラクターもどこかおかしなところがあって、それぞれにうまくいかないところを抱えながら日々を過ごしている姿にほっこりします。若葉竜也は『愛がなんだ』でも本当に良い芝居をしていましたが、本作の初主演も立派に務めています。人という生き物が愛おしくなる物語なので、笑って穏やかな気持ちになりたい人にオススメです。

デート向き映画判定
映画『街の上で』若葉竜也/穂志もえか

恋愛関係がかなりゴチャゴチャしますが、コミカルに描かれていて、ツッコミどころが満載なので、似たような状況を経験したことがあったとしても、気まずくなるを通り越して笑って観られると思います。群像劇なので、誰かしら共感しやすいキャラクターが見つかると思うので、どんな人が観ても楽しめそうです。笑いのツボで相性を占うこともできそうなので、友達以上恋人未満の人や、付き合いたてのカップルで観るのもアリではないでしょうか。マンネリカップルもある意味刺激を得られると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『街の上で』古川琴音

いろいろなキャラクターが出てきて、さまざまな恋愛模様が描かれるので、「自分に合う人ってどんな人だろう」「どんなに好きでもうまくいくとは限らないかも」と、恋愛シミュレーションとして観てもおもしろいと思います。一歩引いて観るとおかしいだろうと思える主張でも、好きな人に言われると受け入れてしまう理不尽な関係も描かれていたり、客観視すると新たな発見、冷静な視点が身に付きそうな場面があります。登場人物も皆さんに近い世代なので、身近なストーリーとして楽しめるでしょう。

映画『街の上で』若葉竜也

『街の上で』
2021年4月9日より全国順次公開
「街の上で」フィルムパートナーズ
公式サイト

©「街の上で」フィルムパートナーズ

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン 罪人たち【レビュー】

ライアン・クーグラー監督と、マイケル・B・ジョーダンの名コンビが贈る本作は、まず設定がとても…

映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム おばあちゃんと僕の約束【レビュー】

『バッド・ジーニアス危険な天才たち』など数々の話題作を放ち、タイで勢いのあるスタジオとして注目を浴びるGDHが手がけた本作は…

映画『異端者の家』ソフィー・サッチャー ソフィー・サッチャー【ギャラリー/出演作一覧】

2000年10月18日生まれ。アメリカ、シカゴ出身。

映画『リライト』池田エライザ リライト【レビュー】

法条遥による同名小説を映画化した本作は、松居大悟監督とヨーロッパ企画の代表である上田誠が初タッグを組んだ作品です。“時間もの”作品で…

映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット 親友らしい態度とは?『親友かよ』【映画でSEL(社会性と情動の学習)】

今回は『親友かよ』を取り上げ、親友らしい態度とは何かを考えます。

映画『サブスタンス』マーガレット・クアリー マーガレット・クアリー【ギャラリー/出演作一覧】

1994年10月23日生まれ。アメリカ出身。

映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李 フロントライン【レビュー】

2020年1月20日に横浜港を出港した豪華客船ダイヤモンド・プリンセス号では、その後、香港で下船した乗客が新型コロナウイルス感染症に罹患していることがわかり…

映画『プレデター:最凶頂上決戦』 プレデター:最凶頂上決戦【レビュー】

アニメーションとはいえ、さすが“プレデター”シリーズとあって、描写が激しく…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』綱啓永 綱啓永【ギャラリー/出演作一覧】

1998年12月24日生まれ。千葉県出身。

映画『ラ・コシーナ/厨房』ラウル・ブリオネス/ルーニー・マーラ ラ・コシーナ/厨房【レビュー】

イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーが書いた1959年初演の戯曲“調理場”を映画化した本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『親友かよ』アンソニー・ブイサレートピシットポン・エークポンピシット
  2. 映画『年少日記』
  3. 映画『か「」く「」し「」ご「」と「』奥平大兼/出口夏希/佐野晶哉(Aぇ! group)/菊池日菜子/早瀬憩

REVIEW

  1. 映画『罪人たち』マイケル・B・ジョーダン/マイルズ・ケイトン
  2. 映画『おばあちゃんと僕の約束』プッティポン・アッサラッタナクン/ウサー・セームカム
  3. 映画『リライト』池田エライザ
  4. 映画『フロントライン』小栗旬/松坂桃李
  5. 映画『プレデター:最凶頂上決戦』

PRESENT

  1. 映画『ババンババンバンバンパイア』吉沢亮/板垣李光人
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 中国ドラマ『墨雨雲間〜美しき復讐〜』オリジナルQUOカード
PAGE TOP