REVIEW

マルセル 靴をはいた小さな貝【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』

擬人化された貝を主人公としたモキュメンタリーであり、ストップモーションアニメというところでまず独創的です。「なぜ貝?」と普通なら気になりそうですが、観ているとそんなことも忘れてしまうくらい、貝のマルセルと人間ディーンのやり取りが自然に見えてきます。マルセルは目が一つしかなく、人によっては見た目の好き嫌いはあるかもしれませんが、動きや声がとても可愛くて、なんといっても性格がキュートなので、とても癒されます。また、時折り発せられるセンスのある深い言葉が印象的であると同時に、そんな言葉を発しているのが貝というところになんともいえないユーモアを感じます。
そして、人間のディーンとのやり取りはもちろん、マルセルと祖母のやり取りもかなりシュールです。そのなかで、おばあちゃんが孫の背中を押して、冒険をさせる展開は心にじーんときます。貝のマルセルにとっては、人間が住む一軒家ですら大きな世界でありながら、そこからさらに飛び出して広い世界へと踏み出します。マルセルのリアクションを見ていると、人間の世界が客観視でき、私達にとって当たり前のことは実はとても特別で、私達はとても恵まれているという現実に気付かされます。また、コミュニティが一つのテーマとなっていて、マルセルの目線でコミュニティとは何だろうと改めて考えさせられます。マルセルや仲間達がか弱い貝であるからこそ、コミュニティの大切さが強調されると同時に、不和が起きても歩み寄ろうとせずに孤立する人間の不可解さと愚かさが際立ちます。
ホッコリ幸せな気分にさせてくれる作品でありながら、意外に社会風刺も効いています。そして、ストップモーションアニメとして、貝の家具や小道具なども凝られていて、細かいところにすごくこだわりが見えます。ぜひ、いろいろな視点でお楽しみください。

デート向き映画判定
映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』

貝のマルセルがただカワイイだけで終わらず、ストーリーも見応えがあり、ストップモーションアニメとはいってもベースは実写なので、誰でも観やすいと思います。マルセルの言動にとても癒されるので、デートの雰囲気も和むでしょう。また、険悪なカップルが登場し、マルセルの目線で観ることで客観視できるので、パートナーと喧嘩中の方は自分達の関係を見直すきっかけとして1人でじっくり観るのも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』

マルセル自身やマルセルが暮らす世界全体がとても可愛く描かれているので、キッズやティーンの皆さんも気に入ると思います。90分と上映時間も短めなので、小学生中学年以上なら集中力がもつのではないでしょうか。擬人化された貝のマルセルの暮らしぶりを観るだけでも、作品の世界に引き込まれると思います。おばあちゃんと孫のやり取りも印象的に描かれていて、家族の温もりも実感できるでしょう。

映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』

『マルセル 靴をはいた小さな貝』
2023年6月30日より全国公開
アスミック・エース
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2021 Marcel the Movie LLC. All rights reserved.

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『デッドマンズ・ワイヤー』ビル・スカルスガルド デッドマンズ・ワイヤー【レビュー】

ガス・ヴァン・サント監督が映画化した本作は、1977年2月に、アメリカのインディアナポリスで実際に起きた、前代未聞の人質事件に基づいています…

映画『未来』山﨑七海 山﨑七海【ギャラリー/出演作一覧】

2008年6月27日生まれ。東京都出身。

映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/志尊淳/神尾楓珠/山田裕貴/坂口憲二/豊川悦司/斎藤工/玉木宏/佐藤浩市/小栗旬 キングダム 魂の決戦【レビュー】

本作でシリーズ5作目となりますが、勢いは止まりません…

映画『急に具合が悪くなる。』ヴィルジニー・エフィラ/岡本多緒 岡本多緒【ギャラリー/出演作一覧】

1985年5月22日生まれ。千葉県出身。

映画『サヨナラの引力』ク・ギョファン/ムン・ガヨン 映画に隠された恋愛哲学とヒント集81:恋愛は長く続けば幸せなのか

今回は、『オブセッション 災愛』と『サヨナラの引力』を例に、恋愛関係は長く続いたほうが幸せなのかを考えます。

映画『チルド』染谷将太 チルド【レビュー】

私達の生活に溶け込んでいるコンビニエンスストアは、角度を変えると、“特別な場所”なのかもしれません。その意味が本作を観ると…

映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ ヌーヴェルヴァーグ【レビュー】

“ヌーヴェルヴァーグ”(日本語に訳すと「新しい波」)とは、「1950年代後半のフランスで台頭した新世代の監督たちが、既存のルールに縛られず…

映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ オブセッション 災愛【レビュー】

これはやばい(笑)。いろいろな意味で怖過ぎて、笑っちゃうおもしろさです。監督を務めたのは、1999年生まれの若き新鋭カリー・バーカー…

映画『リライト』篠原篤 篠原篤【ギャラリー/出演作一覧】

1983年2月1日生まれ。福岡県出身。

映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ 大統領のケーキ【レビュー】

本作は、フセイン政権下のイラクが国連安保理により経済制裁を受けていた1990年代を舞台に描かれています。当時フセインは、国民が困窮しているにもかかわらず…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集! 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

今回は、私の研究で扱っている情動知能を取り上げます。非認知能力という言葉を聞いたことがあるでしょうか…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  2. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  3. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以

REVIEW

  1. 映画『デッドマンズ・ワイヤー』ビル・スカルスガルド
  2. 映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/志尊淳/神尾楓珠/山田裕貴/坂口憲二/豊川悦司/斎藤工/玉木宏/佐藤浩市/小栗旬
  3. 映画『チルド』染谷将太
  4. 映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ
  5. 映画『オブセッション 災愛』マイケル・ジョンストン/インディ・ナヴァレッテ

PRESENT

  1. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
  2. 映画『だぁれかさんとアソぼ?』鎮西寿々歌(FRUITS ZIPPER)
  3. 映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック
PAGE TOP