REVIEW

NOPE/ノープ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『NOPE/ノープ』ダニエル・カルーヤ

キービジュアルは暗い空に大きな雲が浮かんでいるだけで、謎だらけ。本編の前半も一体何が起こっているのか謎が多いまま進んでいきます。そして、タイトルの“NOPE”とは、「いいえ」と否定する返事を意味するスラングで、これまた内容とどう関係しているのか謎が多く、前半は頭の中が「???」となりながらも物語に引き込まれます。
ただ、後半になり真相が明らかになってもなお謎が深まるばかり。今度は一体この映画は何をいいたいのかという考えが頭をよぎります。ここで意味不明だと諦めるととてももったいない!なぜ『NOPE』なのか、“アレ”は何を象徴しているのか、想像しながら観ると大変おもしろく思えてくるはずです。
本作はジョーダン・ピール監督作というところで、必ず何かしら社会風刺や哲学が入っていると期待しますよね。きっとそれは期待通りだと思います。結局のところ答えは観る人それぞれに出てくるのではないかと思いますが、何かにピンときたら、途端にストーリーの深さ、比喩などの巧みさを感じられると思います。

ここから、私なりの解釈を書くので、何も知りたくない方は観終わってから読んでください。

私は“アレ”を恐怖の象徴ではないかと解釈しました。目を合わせると襲われるというところで、恐怖を意識してしまうとそこから逃れられなくなることの比喩とも受け取れます。恐怖にばかり目を向け続ければ呑み込まれるけれど、ずっと「nope=いいえ」と現実を否定し続けて、目を合わせずに避けているばかりでも一生逃げ続けることになります。だから、覚悟を決めたら立ち向かうというストーリーにしたのではないでしょうか。また、動物が印象的に描かれています。これは、人間も含めた動物に備わる本能を意味しているように思います。恐怖は内側にも外側にもあり、恐怖を与える側にもなれば恐怖に襲われる側にもなるということです。さらに、“アレ”をネタにしようとする輩がたくさん登場します。人の恐怖をエサにして、結局自分も喰われてしまうか、まだ喰われていないだけで自分だけは大丈夫だと傍観しているのです。これはまさに人間社会の縮図の比喩ではないかとも感じました。皆さんもぜひ想像を膨らませて本作を楽しんでください。

デート向き映画判定
映画『NOPE/ノープ』キキ・パーマー/ブランドン・ペレア

どういうスタンスで観るかによって、好みが分かれそうな作品です。観たそのままを楽しむのもアリだとは思いますが、正直それだけではキョトンとなってしまう方もいそうです。そういった点で映画鑑賞を同じ意識レベルで共有したい方は、お互いの鑑賞スタンスの違いがあってもオーケーかどうか考えてから、デートで観るか友達と観るか、1人で観るか決めると良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『NOPE/ノープ』スティーヴン・ユァン

キッズにはまだ難しいかもしれませんが、ティーンの皆さんは想像力が豊かなので、いろいろな解釈をしながら観られると、映画という芸術の醍醐味を感じられるかもしれません。観終わった後に誰かと解釈を述べ合うと一層おもしろみを感じる内容でもあるので、議論好きな友達を誘うのも良いでしょう。

映画『NOPE/ノープ』

『NOPE/ノープ』
2022年8月26日より全国公開
東宝東和
公式サイト

©2021 UNIVERSAL STUDIOS

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』三浦翔平さんインタビュー 『親のお金は誰のもの 法定相続人』三浦翔平さんインタビュー

時価6億円の伝説の真珠を巡る家族の大騒動と相続問題について描いた映画『親のお金は誰のもの 法定相続…

映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司 『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』最速試写会 5組10名様ご招待

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』最速試写会 5組10名様ご招待

映画『イコライザー THE FINAL』デンゼル・ワシントン イコライザー THE FINAL

シリーズ最終章となる本作は、シリーズで初めてR-15とされただけあって…

映画『春に散る』山口智子 山口智子(やまぐち ともこ)

1964年10月20日生まれ。夫は俳優の唐沢寿明。1988年、NHK連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』で主演デビュー。その後…

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』安藤サクラ/山田涼介 映画と人の研究11:洋画選択時・邦画選択時の「好きな俳優出演作か」参考度の比較

今回は、洋画選択時・邦画選択時の「好きな俳優出演作か」参考度を比較しました。

映画『アナログ』二宮和也/波瑠 アナログ

ビートたけしによる原作を、二宮和也と波瑠の共演で映画化した本作では…

Netflix映画『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』新木優子 新木優子(あらき ゆうこ)

1993年12月15日東京都生まれ。スカウトをきっかけに2008年にデビュー。2015年、ゼクシィの8代目CMガールとして…

映画『オペレーション・フォーチュン』ジェイソン・ステイサム/オーブリー・プラザ/バグジー・マローン オペレーション・フォーチュン

ジェイソン・ステイサムが型破りな敏腕諜報員役を演じるスパイ・アクション大作です。監督はガイ・リッチーが務め…

映画『コカイン・ベア』 コカイン・ベア

タイトルからおわかりの通り、本作はコカインと熊のお話…

Netflix映画『ちひろさん』有村架純 ちひろさん

物語が進むほど、人間の深いところに潜っていけるストーリーです。元風俗嬢の“ちひろさん…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

おすすめ記事

映画『ヒッチコックの映画術』アルフレッド・ヒッチコック 映画好きが選んだアルフレッド・ヒッチコック監督人気作品ランキング

アルフレッド・ヒッチコックが監督をした作品(1950年以降に制作された作品)について正式部員の皆さんに投票いただきランキングを作成しました。名作揃いのなか、どの作品が1位となったのでしょうか?

映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』来日記者会見:クエンティン・タランティーノ 映画好きが選んだクエンティン・タランティーノ監督人気作品ランキング

今回は、これまでクエンティン・タランティーノが監督をした作品(脚本担当作は除く)について正式部員の皆さんに投票いただきランキングを作成しました。

映画『アイスクリームフィーバー』吉岡里帆/詩羽(水曜日のカンパネラ) 映画好き女子が選んだ【ガールズムービー邦画ランキング】

今回は邦画のガールズムービー(女性同士の友情や交流などを描いた作品)を集めました。候補作品は編集部が独断で選抜し、正式部員の皆さんの投票によるランキングを作成しました 。部員の皆さんによる熱いコメントも参考に、お気に入りのガールズムービーを探してみてください!

TSUTAYA TV

REVIEW

  1. 映画『イコライザー THE FINAL』デンゼル・ワシントン
  2. 映画『アナログ』二宮和也/波瑠
    アナログ

  3. 映画『オペレーション・フォーチュン』ジェイソン・ステイサム/オーブリー・プラザ/バグジー・マローン
  4. 映画『コカイン・ベア』
  5. Netflix映画『ちひろさん』有村架純
    ちひろさん

PRESENT

  1. 映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司
  2. 映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』
  3. 中国ドラマ『千紫万華(せんしばんか)〜重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛〜』QUOカード、ヤン・チャオユエ/シュー・ジェンシー
PAGE TOP