REVIEW

LAMB/ラム【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『LAMB/ラム』ノオミ・ラパス/ヒルミル・スナイル・グズナソン

こ〜れ〜は〜や〜ば〜い映画です(笑)。個人的に大好物の部類で大変楽しめました。ストーリーが展開していくなかで嫌な予感しかしません。嫌な予感が的中したり、嫌な予感が外れてホッとしても次の嫌な予感が的中したり、ある意味ジェットコースター・ムービーともいえます。
人間の登場人物はごく限られていて、セリフが少なく、動物の表情もとても丁寧に捉えて演出に活かしています。だからこそ、何とも言えない不気味さが全編に立ちこめ、観る者をゾクゾクさせます。「何、何、何が起こったの?」というシーンもふんだんで、後に真相が明かされていくわけですが、カメラアングルやシーンの構図の妙を感じます。
気味の悪さと怖さが大半を占めるなか、途中ツッコミどころ満載のシーンもぶっ込まれています(笑)。ここは観る人によって反応が分かれそうですが、私は1箇所爆笑したシーンがありました。そんなメリハリも本作の魅力です。
本作はタブーを描いており、奇抜なストーリーとして楽しむことも可能です。ただ、それで終わるともったいない。本作には人間のエゴに警鐘を鳴らす面があり、社会問題を極端な形に置きかえた比喩でもあります。観る人によって解釈はいろいろ出てきそうですが、生殖にまつわる問題と倫理、そこから派生するアイデンティティの問題、引いては人種問題といったところが盛り込まれているように私は感じました。最後まで観終わった後に、いろいろと確かめたくなることが沸々と沸いてきて、再度観たくなります。「あれって、もしかしてこういう意味だったのかな?」と所々思い返すと、後からさらにジワジワと人間の狂気に気付かされるような内容です。深掘りして映画を観るのが好きな方に特にオススメの1作です。

デート向き映画判定
映画『LAMB/ラム』ノオミ・ラパス/ヒルミル・スナイル・グズナソン

かなりクレイジーな内容で、ロマンチックなムードにしてくれる作品ではありません。ただただあんぐりしながら見入ってしまうと思うので、映画鑑賞中はデートをしていることを忘れてしまいそうです。初デートにはオススメしませんが、観終わった後に話したくなることは出てくると思うので、ある程度交際期間を経て何でも気楽に意見を出し合えるカップルは一緒に観ても良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『LAMB/ラム』ノオミ・ラパス

15歳になれば観ることができますが、いろいろな意味でかなり刺激的です。不気味さが脳裏に残るようなシーンもあり、皆さんの映画鑑賞史上、記憶に残る作品となるでしょう。それが功を奏するかどうかは、観る側のスタンスや映画鑑賞の価値観に寄るところではないでしょうか。

映画『LAMB/ラム』ノオミ・ラパス

『LAMB/ラム』
2022年9月23日より全国公開
R-15+
クロックワークス
公式サイト

© 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン
  2. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  3. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  4. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  5. 映画『消滅世界』蒔田彩珠

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP