REVIEW
映画の始まりが述べられる際、トーマス・エジソンと、リュミエール兄弟(ルイとオーギュスト)の名前がよく挙がります。両者とも映写機を発明した点では同じですが、仕組みが異なります。エジソンが1889年に開発したキネトスコープは覗きメガネ式で一人で観る装置、リュミエール兄弟が1895年に開発したシネマトグラフは、スクリーンに投影して一度に大勢が見せられる装置です。エジソンのほうが先に映写機を作ったわけですが、リュミエール兄弟のシネマトグラフは大勢に見せられる装置だった点で、当時生まれた映画ビジネスとしては優位に立ったと考えられます。
リュミエール兄弟は、1895年、入場料をとって上映会を行いました。リュミエール兄弟は映写機を作っただけではなく、上映するコンテンツとしての映画を数多く残しています。本作では、リュミエール兄弟が撮った短編が数多く紹介されています。本作を観ると、有名な『工場の出口』をはじめ、さまざまなタイプのリュミエール作品があり、それぞれのタイプにどういう特徴があったのかがわかります。
映画史に関する複数の専門書を読むと、リュミエール兄弟は始めから映画が娯楽となると考えていたわけではなく、観客が娯楽性を見いだしたと捉えられています。本作でも、定点カメラで風景を映しただけの記録映像が、なぜ娯楽として受け入れられたのか解説されています。
映画の内容というよりも、映画史や映画そのもの、映画に限らず表現法などに興味がある方は、特に勉強になるドキュメンタリーです。
デート向き映画判定
映画そのものに興味を持っている者同士なら、楽しめる内容です。これだけ多くのリュミエール作品を観られるのも貴重な機会です。最後には、とある巨匠による『工場の出口』のリメイクもありますよ。
キッズ&ティーン向き映画判定
映画についてのドキュメンタリー映画なので、映画制作の勉強をしている学生や、文化、文学に興味を持っている学生の皆さんは特に興味を持てる内容だと思います。作り手の意図を越えて、観る側が作品をさらに成長させるということが実感できると思います。
『リュミエール!リュミエール!』
2024年11月22日より全国順次公開
ギャガ
公式サイト
© Institut Lumière 2024
TEXT by Myson
関連作:
『リュミエール!』
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情報は2024年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。