REVIEW

楽園

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映画『楽園』綾野剛/杉咲花

心が繊細で人に優しくしようとする者が生きづらい社会、どこに行っても弱肉強食で、自分らしく生きるよりも、うまく生きていくことに皆必死になっている社会が蔓延しているんだなと、悲しくなります。こんな世の中では、住む土地を何度変えても、”楽園”にたどり着けるわけがありません。でも、誰もが器用に生きられるわけではなく、壊れてしまう人間もいます。彼らを観ていると、死にたくないし、壊れたくないと考えた時、自尊心、自分らしさ、人間として自分が生きる意味はどこまで持ち続けられるのかと、疑問が湧いてきます。自分自身を守るってすごく難しいし、さらに人を守ることってもっと難しい。それができる人ってスゴいと思うと同時に、そうできる人だって脆い部分もあって、必ずしも強くないんだと知らしめるストーリーでもあります。そうなると、何のために人間は生きているんだろう、心から感じる幸せって何なんだろうと、改めて考えさせられます。

デート向き映画判定
映画『楽園』佐藤浩市

重い内容で、悶々とする展開が多くあるので、初デートなど、ウキウキしたムードを保ちたいデートには不向きだと思います。でも、いろいろな人間が描かれている本作を観て、自分達がどんな人間でありたいかを考えさせられるので、感想には価値観が出ると思います。相手ともっと深い話をしてみたい人は、一緒に観ると良いかも知れません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『楽園』綾野剛

キッズにはまだ難しい部分があると思いますが、中学生以上ならいろいろな立場の人間の心情をリアルにイメージしながら観られると思います。自分は良かれと思ってやったことなのに、周囲に理解されなかったり、反発されたりすることは誰にでもあるでしょう。本作にはそういった苦しみに押しつぶされていく人達の苦悩が描かれていますが、こういう物語を観ることで、人間というものを俯瞰して、自分がどんな人間になりたいか考えるきっかけにできると思います。

映画『楽園』綾野剛/杉咲花/村上虹郎/片岡礼子/黒沢あすか/石橋静河/根岸季衣/柄本明/佐藤浩市

『楽園』
2019年10月18日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト

© 2019「楽園」製作委員会

TEXT by Myson

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