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シラノ【レビュー】

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映画『シラノ』ピーター・ディンクレイジ/ヘイリー・ベネット

も〜う切なくて切なくて仕方がない!フランス軍の中でも優れた腕前の騎士でありながら、自分の容姿にコンプレックスを持つシラノ(ピーター・ディンクレイジ)は、幼馴染みのロクサーヌ(ヘイリー・ベネット)に長年思いを寄せています。でも、彼は彼女と結ばれることはないと、気持ちを告げようとは考えていません。ところがある日、ロクサーヌがシラノと同じ隊に配属されたクリスチャンに一目惚れしたことで、シラノは思わぬ形でロクサーヌの恋に巻き込まれていきます。これが三角関係というのとは少し異なるから余計に厄介で、どうなればハッピーエンドなのかが読めない状況で物語が展開していきます。
ざっくりいうと、恋愛における「外見か内面か」という究極の選択が描かれていて、この恋愛はどう転んでも、誰にとっても酷な状況です。とはいえ本筋はどちらが正解ということではなく、自分にとって何が一番重要か、愛する相手にとって何が一番幸せかということを投げかける物語だと思います。ただ観客としては妄想の世界でこのシチュエーションを体験できるので、頭の中で一番良い解決法をいろいろ巡らせながら観るおもしろさがあります。でも、キャラクターは皆奥ゆかしいからこそ、単純なストーリーにはなっておらず、切なさも倍増。時代背景や地位的な事情などいろいろなことが絡まり、一筋縄ではいかない部分も物語を一層ドラマチックにしています。
そして、ピーター・ディンクレイジ、ヘイリー・ベネット、ケルヴィン・ハリソン・Jr.、ベン・メンデルソーンといった実力派キャストが皆良い味を出してるんです。特にピーター・ディンクレイジは、自分をどんなに犠牲にしてでもロクサーヌを何としてでも守ろうとするシラノを哀愁たっぷりに演じていて、彼に感情移入せずにはいられません。
有名な戯曲の映画化なので既にストーリーをご存じの方も多いと思いますが、本作は『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督が、設定を新たに再構築した作品となっています。切ない内容ですが、とても素敵なラブストーリーなので最近キュンとしてないなと思う方は本作を観て、また恋をしてください。

デート向き映画判定
映画『シラノ』ピーター・ディンクレイジ/ヘイリー・ベネット

とてもロマンチックな作品なのでデートのムードを盛り上げてくれそうではありますが、お2人の馴れそめや、誰目線で観るかによって、やや複雑な心境になる可能性もなきにしもあらずです(苦笑)。どういう部分がそうなのかが知りたい方は、まず1人で観てから判断していただくのが良いかもしれません。どんなお話なのか知っている文学好きなカップルにはオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『シラノ』ヘイリー・ベネット

自分にとって何が一番大切か、相手にとってどうすることが一番幸せか、いろいろな視点で考えさせられるストーリーです。恋をしたロクサーヌの初々しい気持ちや行動は皆さんのような若い方のほうが身近に感じると思います。そこからどんどん深い愛を知っていくと、自分の内面と向き合うことにもなります。そんなシミュレーションもできるストーリーとなっていて、恋愛観にも多少影響をもたらしうる内容なので、若いうちに観るのも良さそうです。

映画『シラノ』ピーター・ディンクレイジ/ヘイリー・ベネット/ケルヴィン・ハリソン・Jr.

『シラノ』
2022年2月25日より全国公開
東宝東和
公式サイト

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

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2007年7月10日生まれ。アメリカ生まれ。

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