REVIEW

佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

REVIEW

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です。婚姻、離婚を機にどちらかのみ姓が変わるという状況がなく、結婚の際も離婚の際も同等の立場であるというこの設定は、本作を観終えると、重要な要素だと感じます。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

大学時代に知り合い、交際を始めたサチとタモツは、やがて同棲を始めます。司法試験に挑むタモツは苦戦し、サチは一緒に勉強することでタモツを支えることに。でも、次の試験で合格したのはサチだけでした。この辺りから、2人の関係は複雑化していきます。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

本作の主要なテーマは、観る方によって異なるでしょう。その中で、テーマの1つに性役割があるとして、本作では女性が経済的に家計を支え、男性が主に家事や子育てを担う場合に、当事者や周囲の人達はその状況にどう反応するのかをシミュレーションしています。そして、対比として、外でバリバリ働いてきた老年の男性が、妻に離婚を突きつけられるというよくある光景も描かれています。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

2人の佐藤さんの態度を目にして、時に一方に同情し、時にもう一方に同情するというように中立した見方もできます。ただし、どちらかが折れるべきと考える時に、自ずと私達観る側の価値観が出てくるように思います。また、サチの態度に非があるように見えた時、これまでの時代では男性が同じような態度をとっても気に留められなかったのではないか、と感じるシーンも複数出てきます。だから、本人達の至らなさだけではなく、無意識に社会全体に根付いている性役割に関する固定概念が、夫婦関係を拗らせているようにも感じます。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの

岸井ゆきの、宮沢氷魚の生々しい演技も見ものです。あんなに幸福度溢れる2人でも、予想しない未来がくるかもしれない、そういう怖さを示すと同時に、これまでとは異なる選択があることも気づかせてくれるストーリーです。ハッピーエンドととるか、バッドエンドととるかという違いにも、観る方の恋愛観、結婚観、人生観が表れるのではないでしょうか。

デート向き映画判定

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

かなり現実的な内容なので、カップルで観ると各々がどんな心境になるのか読めません(苦笑)。良い反応としては結婚に対する覚悟が強まりそうな一方で、そもそも結婚に自信がなく消極的な方はネガティブな予想に確信を与えてしまう可能性があります。いずれにしてもお互いの覚悟を知りたい、覚悟を固めたいカップルは敢えて一緒に観るのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

恋愛に対する理想が強い方にとっては、恋愛の現実的な面を知る機会になるでしょう。でも、結婚は良いこと、離婚が悪いことという単純な話でもない点に注目して欲しいです。どんな状態になっても家族が平穏に暮らすために、これまではあまり選択されてこなかった方法にも目が向くと、将来に対して頭でっかちにならずに済むかもしれません。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

『佐藤さんと佐藤さん』
2025年11月28日より全国公開
ポニーキャニオン
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『五月の雨』安川まり 『五月の雨』【レビュー】

本作は、DV被害者の実状を、ドキュメンタリーにドラマを織りまぜた構成で訴えかけています…

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン 大丈夫、大丈夫、大丈夫!【レビュー】

不幸な状況が前提とされているにもかかわらず、ユーモアに溢れ…

映画『OCHI! -オチ-』ヘレナ・ツェンゲル ヘレナ・ツェンゲル【ギャラリー/出演作一覧】

2008年6月10日生まれ。ドイツ出身。

映画『炎上』森七菜 炎上【レビュー】

日本の都会のど真ん中にいるストリートチルドレンの日常を描いた作品…

映画『29歳からの恋とセックス』グレタ・ガーウィグ 未公開映画活性課ナ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『ハムネット』ジェシー・バックリー ハムネット【レビュー】

REVIEW『ハムネット』という響きから、もしかしてあの名作に何らかの関係があるのかもしれ…

映画『終点のあの子』南琴奈 南琴奈【ギャラリー/出演作一覧】

2006年6月20日生まれ。埼玉県出身。

海外ドラマ『華麗なるマードー家』パトリシア・アークエット/ジェイソン・クラーク 華麗なるマードー家【レビュー】

2021年6月7日、アメリカのサウスカロライナ州の法曹界で代々名を馳せてきたマードック家のアレックス・マードックが、妻と次男を射殺した実際の殺人事件を基にしています…

映画『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ メリル・ストリープ&アン・ハサウェイがK(& TEAM)や日本の若者に熱い言葉『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント

20年経っても絶大な人気を誇る『プラダを着た悪魔』の続編がまもなく公開!そして、この度、アン・ハサウェイとメリル・ストリープが揃って来日してくれました。

映画『ソング・サング・ブルー』ヒュー・ジャックマン/ケイト・ハドソン ソング・サング・ブルー【レビュー】

演技力だけでなく、歌唱力にも定評のあるヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンが主演を務める本作は…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『五月の雨』安川まり
  2. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン
  3. 映画『炎上』森七菜
  4. 映画『ハムネット』ジェシー・バックリー
  5. 海外ドラマ『華麗なるマードー家』パトリシア・アークエット/ジェイソン・クラーク

PRESENT

  1. 映画『オールド・オーク』デイヴ・ターナー/エブラ・マリ
  2. 映画『ミステリー・アリーナ』唐沢寿明
  3. ドラマ『外道の歌 SEASON2』窪塚洋介/亀梨和也/南沙良
PAGE TOP