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ザリガニの鳴くところ【レビュー】

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映画『ザリガニの鳴くところ』デイジー・エドガー=ジョーンズ

原作は、2019年、2020年の2年連続でアメリカで最も売れたとされる、動物学者のディーリア・オーエンズのベストセラー「ザリガニの鳴くところ」です。日本では、2021年、本屋大賞の翻訳小説部門で第1位となっています。これだけでも原作人気はおわかりいただけると思いますが、さらに原作に惚れ込んだ俳優のリース・ウィザースプーンが自身の製作会社ハロー・サンシャインを通して映像化権を取得しプロデューサーを務め、テイラー・スウィフトが自ら懇願し楽曲を書き下ろしたことでも話題となっています(映画公式サイトより)。
このミステリーの舞台は1969年。ノースカロライナ州の湿地帯で、ある青年の変死体が見つかるところから始まります。容疑者は、周りに誰もいない湿地帯で独りで暮らす少女カイア。最初は人との接点をほとんど持たないカイアがなぜ疑われるのか想像がつきません。でも徐々にカイアがどんな人生を送ってきたかが語られていき、事件の背景が明かされていきます。おもしろいのは、背景が一つ明かされると同時にまた新たな謎が浮上してくるところ。だから、最後の最後まで気を抜いてはいけません。
また、本作はミステリーであると同時にラブストーリーです。たった独りで生きてきた純粋無垢なカイアが真っ直ぐな気持ちを相手にぶつけるからこそ、観ていて美しくもあり切なくもあり、複雑な心境にさせられます。そして、人間ドラマとしても見応え抜群。苦境を生き抜く1人の少女と、彼女を助ける限られた優しい人々との交流は涙を誘います。さらに、カイアの知性と反骨精神、そこから生まれる生命力に圧倒させられます。原作者ディーリア・オーエンズが動物学者であるからこそ説得力が増すストーリーにも圧巻です。もう伝えたいことは山ほどあるのですが、書けません(笑)!とにかく観てください。

デート向き映画判定
映画『ザリガニの鳴くところ』デイジー・エドガー=ジョーンズ/テイラー・ジョン・スミス

ロマンチックな要素はかなりあるのですが、選ぶ相手を間違えると変な空気が流れそうです(苦笑)。自分の恋愛について振り返りたくなる方もいると思うので、個人的にはじっくり1人で観るか、仲の良い友達と観るほうが気楽に観られるように思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ザリガニの鳴くところ』デイジー・エドガー=ジョーンズ/デヴィッド・ストラザーン

ヒントとフェイクが絶妙なバランスで出てくるので、ミステリー好きな方はぜひ謎解きにチャレンジしてみてください。恋愛に興味が出てきた皆さん、今恋をしている皆さんは、きっとカイアに感情移入して観てしまうと思います。恋愛目線でいろいろと学べるポイントもあるので、一石二鳥で楽しめます。

映画『ザリガニの鳴くところ』デイジー・エドガー=ジョーンズ

『ザリガニの鳴くところ』
2022年11月18日より全国公開
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト

TEXT by Myson

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