REVIEW

ドンテンタウン

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ドンテンタウン』佐藤玲/笠松将

すごく身近な日常を描いていながら、いつの間にか観る者を“ドンテンタウン(曇天街)”に誘い込んでしまう、ファンタジックでどこかSF的な物語です。スランプに陥ったシンガーソングライターのソラが、引っ越し先で見つけた前住人トキオのカセットテープを聞くことで、彼の物語にリンクしていき、2人の物語が交錯していきます。「この状況をどうにかしなきゃ」とどこかで思っていながら、何となく毎日を過ごしていて、どんどん月日だけが流れていく…。誰にでもそんな経験がありますが、今そんな気持ちの人はぜひそのまま本作を観てください。等身大で主人公に共感しながら、無理強いされることもなく、いつの間にか晴れ間にたどり着かせてくれるとても優しい映画です。カセットテープ、トンネルなどアイテムや、脇に登場するチャーミングなキャラクターの使い方も絶妙で、そういった仕掛けを活かした撮り方の巧さでも楽しませてくれます。
皆さんにもまさに“ドンテンタウン”に迷い込んで欲しいので、詳しく言わないでおきますが、途中から「あれ?彼はえ〜っと…?」となるのが、本作の魅力の1つです。その背景を知るヒントが、井上康平監督、主演の佐藤玲さん、笠松将さんのインタビューで語られていますので、一度先入観なしに本編を観てから、インタビューを読んで、また本編を観てもらえれば、1度目では気付かなかった発見なども楽しんで頂けると思います。

デート向き映画判定
映画『ドンテンタウン』佐藤玲/笠松将

ロマンチックで優しいムードに包まれた作品で、カップルで観ても気まずいことはなく楽しめるでしょう。観終わってから、「あれって、***なの?」「あのシーンがさあ…」などなど、いろいろと解釈を摺り合わせしたくなるストーリーでもあるので、会話のネタも豊富に提供してくれるでしょう。上映時間も61分と短いので、スケジュールにも組み込みやすいですよ。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ドンテンタウン』佐藤玲

本作のトリッキーなところが魅力ではありますが、そこは完全に解釈できなくても、解釈することが目的ではないので、フィーリングだけで楽しむのも良いですよ。物語のなかにはティーンも登場し、恋に目覚めた初々しい姿を披露していて、キッズやティーンの皆さんにも親近感のあるストーリーとなっています。

映画『ドンテンタウン』佐藤玲/笠松将

『ドンテンタウン』
2020年7月17日より全国順次公開
SPOTTED PRODUCTIONS
公式サイト

©2019 osampo/MOOSIC LAB

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

Netflix映画『ジェイ・ケリー』ジョージ・クルーニー/アダム・サンドラー ジェイ・ケリー【レビュー】

ジョージ・クルーニー、アダム・サンドラー、ローラ・ダーン、ビリー・クラダップ、ライリー・キーオ、ジム・ブロードベント、パトリック・ウィルソン、グレタ・ガーウィグ、エミリー・モーティマー、アルバ・ロルバケル、アイラ・フィッシャーなど、これでもかといわんばかりの豪華キャストが…

映画『ロストランズ 闇を狩る者』ミラ・ジョヴォヴィッチ ロストランズ 闇を狩る者【レビュー】

“バイオハザード”シリーズでお馴染みの2人、ミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン夫妻が再びタッグを組み、“ゲーム・オブ・スローンズ”の原作者、ジョージ・R・R・マーティンの短編小説を7年の歳月をかけて映画化…

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. Netflix映画『ジェイ・ケリー』ジョージ・クルーニー/アダム・サンドラー
  2. 映画『ロストランズ 闇を狩る者』ミラ・ジョヴォヴィッチ
  3. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  4. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  5. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP