REVIEW

タロウのバカ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『タロウのバカ』YOSHI/菅田将暉/仲野太賀

負のエネルギーが直球で飛んでくる映画です。とはいえ、そのエネルギーは必死に生きようとする若者達のもので、彼らの問題行動に共感ができなくても、彼らがもがき苦しむ姿には共感できます。「好きって何?」「死ぬって何?」という何度も出てくるセリフこそ、本作のテーマを象徴していて、確かにその本当の意味って何だろうと考えるきっかけをくれます。学校に行くのが当たり前、家でご飯を食べるのが当たり前、親のいうことを聞くのが当たり前…という社会では、そうでない人達はどうなっていくのでしょうか。大森立嗣監督は、“意味”で何でも理解しようとしたり、生産性で人の価値を決める戦後の日本に疑問を呈する姿勢で本作を作ったようですが、実際私達のほとんどはあらゆることの本当の意味を理解しないまま生きていて、むしろ本作に登場するタロウ達は意味をわからないまま器用に生きる術を知らないからこそ、過酷な状況で生きざるを得ないのだとも感じました。現代社会で自分が生きている意味って何だろうと考えた時に、「自分は生きていていいんだ」と自信を持つには、とてもハードルが高い世の中になっているのかも知れません。

デート向き映画判定
映画『タロウのバカ』YOSHI/菅田将暉

暴れまくり、叫びまくるシーンが多く、デートの雰囲気には合いません。心理的に怖い描写もいくつか出てくるので、観終わった後はグッタリすることもあるでしょう。社会問題に関心がある者同士なら、観終わった後にいろいろと話したくなると思いますが、交際期間が浅いカップルは何を話すべきか慎重に考えすぎて、緊張してしまう可能性もあります。奇譚のない意見を言い合える友達や家族と観に行くか、1人でじっくり観るほうが良い作品だと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『タロウのバカ』菅田将暉/仲野太賀

R15なので15歳未満の人は観られません。タロウや仲間達はそれぞれに悩みや問題を抱えていて、さまざまな問題行動を起こします。この辺りはもちろん真似してはいけませんが、彼らがなぜそうなっているのかは同世代のティーンの皆さんならより身近な心情として想像できるでしょうし、共感できるところも多々あると思います。自分の居場所が見つけられない若者達の奮闘が描かれていて、これは誰にでも共通する経験です。誰もが同じように悩んでいると知れば、人に少し優しくできそうですよね。

映画『タロウのバカ』YOSHI/菅田将暉/仲野太賀

『タロウのバカ』
2019年9月6日より全国公開
R-15+
東京テアトル
公式サイト

© 2019「タロウのバカ」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行【レビュー】

「人生をやり直せるドア」が登場する点と、コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが向かい合うキービジュアルから、恋愛をやり直すストーリーかと思いきや…

映画『サリー』エスター・リウ 『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『サリー』特別試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン THE END(ジ・エンド)【レビュー】

REVIEWいつも通り観賞前にほぼ何も情報を入れず、登場人物はいつの時代にどこに住んでいる…

映画『シェルビー・オークス』 シェルビー・オークス【レビュー】

かつて繁栄しながらも今は廃墟と化しているシェルビー・オークスという町で…

映画『ナイトフラワー』渋谷龍太 渋谷龍太【ギャラリー/出演作一覧】

1987年5月27日生まれ。東京都出身。

映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド 悪魔祓い株式会社【レビュー】

本作は、『悪人伝』や“犯罪都市”シリーズ、ハリウッド映画『エターナルズ』などでお馴染みのマ・ドンソクが…

映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ 『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

映画『ツーリストファミリー』特別試写会 10組20名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー
  2. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン
  3. 映画『シェルビー・オークス』
  4. 映画『悪魔祓い株式会社』マ・ドンソク/ソヒョン/イ・デヴィッド
  5. Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一

PRESENT

  1. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  2. 映画『サリー』エスター・リウ
  3. 映画『ツーリストファミリー』シャシクマール/シムラン/ミドゥン・ジェイ・シャンカル/カマレーシュ・ジャガン/ヨーギ・バーブ
PAGE TOP