REVIEW

罪と女王【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『罪と女王』トリーヌ・ディルホム/グスタフ・リン

いや〜いろんな意味でゾッとしました。それくらいドラマチックで、映画だからこそ描ける“罪”であって欲しい衝撃的な内容です。主人公は児童保護を専門としている弁護士のアンネ。彼女は夫と幼い双子の娘と自然に囲まれた邸宅で暮らしています。ある日、アンネ一家は、夫と前妻との息子グスタフを迎え入れます。17歳のグスタフは前妻と一緒に暮らしていましたが、問題を起こし、スウェーデンからデンマークのアンネ達のところにやってきたのでした。そんなグスタフは来て早々トラブルを起こし、それを機にアンネはグスタフの秘密を知って、反抗的な彼が自分達の家族に馴染むように促します。この辺りまでは、アンネが普段児童保護で培った経験を活かし、うまく対処しているように見えるのですが、グスタフが女の子を家につれてきてから、物語は不穏な方向へと進んでいきます。この続きは映画で観て頂くとして、アンネは継母としても、児童保護をしている弁護士としても、あり得ないことをしてしまうのですが、彼女の罪はそれくらいでは済まないというのが、本作で描かれている1番の罪であり、恐ろしいところです。本当に大人ってずるいというか、あまりにも身勝手で残酷。性的に成熟していても子どもは子どもで、大人の都合は通じません。もうああなったら弱い立場の子どもはどうしようもないなと、絶望感でいっぱいになるラストです。

デート向き映画判定
映画『罪と女王』トリーヌ・ディルホム/グスタフ・リン

エロチックなシーンも多く、禁断の関係を描いているので、デートで観るには不向きです。1人でじっくり観るか、仲の良い友達と観るのが良いと思いますが、カップル、夫婦の物語として注目して欲しいところは、クライマックスの夫婦のやり取りです。アンネは嘘をつかなければいけない状況になるのですが、それに対する夫の反応にも罪が隠されています。こうやって夫婦は繕って生きていくのか…という切ない現実を突きつけられるラストになっていますが、改めて恋愛観、結婚観を見つめ直すきっかけにしてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『罪と女王』トリーヌ・ディルホム

15歳未満の人は観られません。とはいえ、15歳以上でもかなりショッキングな内容で、大人の怖さを思い知らされると思います。そういう意味では悪い大人にはいろいろな顔をした人がいると学ぶ機会になるかも知れません。ただティーンの皆さんが、友達を誘って観るには微妙な内容ですよね(苦笑)。でも観終わった後にいろいろ感想をぶつけたくなるところもあるので、観るなら何でも話せる友達と観てください。

映画『罪と女王』トリーヌ・ディルホム/グスタフ・リン

『罪と女王』
2020年6月5日より全国順次公開
R-15+
アット エンタテインメント
公式サイト

©2019 Nordisk Film Production A/S. All rights reserved

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン
  4. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  5. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP