REVIEW

テレビの中に入りたい【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン

REVIEW

タイトルからして楽しいテンションの作品かと思いきや、めちゃくちゃ精神世界の話で見応えあり。中学生のオーウェンは、マディという少女が手にしていた「ピンク・オペーク」というテレビドラマの本が目に留まり声をかけます。オーウェンはその番組が気になったものの、家では就寝時間が早く観られないため、こっそりマディの家に行き一緒に番組を観ることに。そうして2人は番組をきっかけにした不思議な関係を築いていきます。

映画『テレビの中に入りたい』ジャック・ヘヴン

途中までは、オーウェンとマディそれぞれの、ティーンエイジャーの日常的な苦悩を描いているようでいて、後半からガラリと世界観が変わっていきます。あるキャラクターの告白を機に、それまで見ていた世界が変化するといおうか、突如としてつかみどころがない存在に思えて、本作が作り上げた別の次元につれていかれます。

映画『テレビの中に入りたい』

なので「ちょっと待て、ちょっと待て、ちょっと待って」と頭の中が「???」となるはず(笑)。その感覚はキャラクターの1人が劇中で体験している状態と同じだと思います。つまり、「ここはどこ?私は誰?」感覚をリアルに体感できます。

映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス

この擬似体験こそが映画鑑賞でできる体験だと楽しめる方もいれば、キョトンとして終わる方もいらっしゃるかもしれません。私はどうしても何らかの解釈に落とし込みたいタイプなので、以下に書きました。よかったら鑑賞後にお読みください。

ここからはあくまで私個人の解釈でネタバレを含みますので、鑑賞後にお読みください。

映画『テレビの中に入りたい』

昔はテレビ、今はスマートフォンなど、形が変わったとしても、いつの時代も多くの子どもはメディアに夢中になります。子どもから大人に変わろうとする思春期は何かと悩みが多く、友達がいない場合は孤独感も大きくて、メディアの世界に逃げ込むことは、一つの救済手段になるかもしれません。でも、その世界に閉じこもりきりになると、“現実世界”に戻ってこられなくなる。つまり、現実逃避のはずが現実逃避でなくなり、その世界が“現実”になってしまい、生きていないも同然になる。そして、現代は思春期までの子どもに限らず、大人も同じように、“現実世界に生きていない”人達が増えつつあり、本作はそうした社会に警鐘を鳴らしているのかもしれません。

デート向き映画判定

映画『テレビの中に入りたい』

本作の世界観にどっぷり浸って、頭の中に浮かぶさまざまな思考を巡らせるのがおもしろいので、そういう鑑賞スタイルが好きな2人なら、デートで観るのもアリでしょう。鑑賞時はそれぞれ映画の世界に浸って、鑑賞後はお互いの解釈を話し合うと楽しそうです。正直なところ好き嫌いが分かれそうなので、誘う人を間違えないようにしましょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『テレビの中に入りたい』

シンプルでわかりやすいストーリーが好みの方にはあまりオススメしません。いろいろな映画を観て、自分なりの楽しみ方をわかってきてから観るほうが、良さがわかる作品であるように思います。感想を話すのが好きな友達と観ると、気づきが増すかもしれません。

映画『テレビの中に入りたい』ジャスティス・スミス/ジャック・ヘヴン

『テレビの中に入りたい』
2025年9月26日より全国公開
PG-12
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2023 PINK OPAQUE RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  2. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  3. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  4. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  5. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP