REVIEW
奇跡としかいいようのない出来事を描いた本作は、実話に基づいているというから本当に驚きです。本編を観るとなお、信じられない気持ちが増すと同時に、人間の良心と奇跡を信じる力をもらえます。そして、本作で“飽和潜水士”という職業を知る方も多いと思います。彼等は水深91メートルの深海に潜り、私達の生活を支えるガス・パイプラインが正常に作動するようメンテナンスを行っています。この仕事がどれだけ危険なのかは、本作を観るとひしひしと伝わってきます。

本作は、アレックス・パーキンソンとリチャード・ダ・コスタが共同監督を務めたイギリスのドキュメンタリー『Last Breath』(2019)を映画化した作品です。アレックス・パーキンソンは本作の監督も務めており、本作についてこう語っています。
この物語と向きあってもう10年。表も裏も知り尽くしている。そこへ提示されたのが、ドキュメンタリーの枠を超え、白紙のキャンバスのように何でも描ける劇映画の企画だった。
ドキュメンタリーのリメイク以上のものにしようと考えた。この驚くべきストーリーを可能な限り最大のスケールで描き、登場人物の感情の旅路の新たな側面を追求したかったんだ。(映画公式資料)

本作を観るとわかるとおり、飽和潜水の任務が始まってからは特にドキュメンタリーを観ているような臨場感があり、想像以上に過酷な状況が映し出されています。映画公式資料によると、俳優陣は2012年当時を忠実に再現した潜水ヘルメットを被って水中撮影に臨んだそうです。「これらのヘルメット・システムは、ただの衣装ではない。俳優の安全を保ち、酸素を供給して、照明や通信も提供する“生きて呼吸する”小道具だ。実物とまったく同じ機能を備えている」とのことで、とことんリアリティにこだわり撮影されたことがわかります。

また、撮影には実際に事故が起こった船を使い、「主人公たちのモデルになったダンカン・オールコック、デイヴ・ユアサ、クリス・レモンズも撮影現場を訪れ、アドバイスや見識を提供した」そうです。この3人を演じたのは、ウディ・ハレルソン、シム・リウ、フィン・コールです。シム・リウは特に身体的な負担が大きい役柄を演じていて、彼の身体能力の高さを活かしています。実話ベースということで結末は予測できるものの、信じられない事態を目の当たりにする本作。映画館で観ると一層リアルな体験ができるでしょう、
デート向き映画判定

カップルで観ると、クリスと婚約者に感情移入せずにはいられないでしょう。同じように危険を伴うお仕事をされている方と交際中の方は、他人事として観られない部分もあると思います。ただ、大切な人の存在が生きる希望になることを実感できるはずなので、カップルで観るとお互いの存在の尊さを再確認できそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

仲間同士の絆の大切さ、仕事へのプロ意識とはどのようなものかを知るきっかけとなるストーリーです。また、深い海に潜るとどんな現象が起こるのか、人体にどんな危険が及ぶのかを知ることもできます。深海に潜る技術、そして深海で作業をする人達の高いスキルに驚かされると思います。興味をもったら、自分自身で気になるところを調べてみると勉強にもなります。

『ラスト・ブレス』
2025年9月26日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
