REVIEW

悪い夏【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『悪い夏』北村匠海

REVIEW

染井為人著の原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題を呼び、第37回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞しています。映画化の際には、原作との相違点が生まれたものの、原作者の染井氏は脚本を読み快く了承されたとのことです(映画公式資料)。

映画『悪い夏』北村匠海/伊藤万理華

主人公は、市役所に勤め、生活保護受給者を担当するケースワーカーの佐々木守(北村匠海)です。佐々木はある日、同僚に不正の疑いがあると知らされ、真相究明を手伝うことになります。登場人物がそれぞれに抱える状況がどんな風に絡んでいくのかは観てのお楽しみとして、佐々木がどんどん良からぬ方向に巻き込まれていくスリルを味わってください。

映画『悪い夏』北村匠海/箭内夢菜/竹原ピストル/窪田正孝

確かに本作には悪人が多数出てきます。一方で、まともな生活ができていれば真面目に生きているはずの人物も、極限まで追い込まれた末に悪事を働いてしまいます。もちろん、悪事を働いてはいけないという前提はありつつ、本人の力でどうにもならなくなった時、人は壊れてしまうという現実があり、経済的困窮はさまざまな意味で生き死にの問題と密接に繋がっていることが想像できます。

映画『悪い夏』北村匠海

本作は、ほぼダークな内容となっていながら、希望も描かれています。ラストには少し救いがあり、反面教師として考えさせられる面もあるので、ぜひ観てみてください。

デート向き映画判定

映画『悪い夏』北村匠海/河合優実

悪人が複数出てきて弱者につけ込む展開は、観ていて気持ちが良いものではないので、デートで観てムードが盛り上がることはありません。ただ、この状況をどう捉えるかに人間性や価値観が出てくると思うと、これから本気で交際しようか悩んでいる相手と敢えて一緒に観て感想を述べ合うと、自分との相性が占えるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『悪い夏』北村匠海/木南晴夏

本作を観ると、見るからに悪い人もいつつ、一見普通で害がなさそうな人も出てきます。だから、善人か悪人かを見抜く際に、見た目やどこに務めているかということ、肩書きもアテにならないとわかるでしょう。生活保護に関する問題も垣間見ることができるので、社会勉強としても観られます。PG-12で小学生は大人と一緒なら観られるものの、内容や描写からして、せめて中学生以上になってから観るほうが良さそうです。

映画『悪い夏』北村匠海/河合優実/伊藤万理華/毎熊克哉/箭内夢菜/竹原ピストル/木南晴夏/窪田正孝

『悪い夏』
2025年3月20日より全国公開
PG-12
クロックワークス
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2025 映画「悪い夏」製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「悪い夏」染井為人 著/角川文庫/KADOKAWA刊
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ ブラックフォン2【レビュー】

2022年に作られたシリーズ1作目『ブラック・フォン』から4年後を描いた本作でも…

映画『金髪』白鳥玉季さんインタビュー 『金髪』白鳥玉季さんインタビュー

今回は『金髪』で生徒の板緑役を演じた白鳥玉季さんにインタビューさせていただきました。“金髪デモ”を起こすキーパーソンである板緑を演じた感想や、撮影裏でのエピソードを直撃しました。

映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉 TOKYOタクシー【レビュー】

クリスチャン・カリオン監督『パリタクシー』を原作とした本作は、東京にある柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設までの道のりを舞台に、山田洋次監督が映画化…

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブラックフォン2』イーサン・ホーク/メイソン・テムズ
  2. 映画『TOKYOタクシー』倍賞千恵子/木村拓哉
  3. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  4. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  5. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP