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『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督インタビュー

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映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督インタビュー

今回、“ヒックとドラゴン”全作を手掛けた、ディーン・デュボア監督にインタビューをさせて頂きました!これまでディズニーでも、ドリームワークスでも、人気作を手掛けてきたデュボア監督に、それぞれのスタジオのスタンスをお聞きできたと同時に、本シリーズが大人が観てもハマる作品である所以がわかりました。個人的にとても大好きなシリーズなので、お会いできて感激でした。

<PROFILE>
ディーン・デュボア:監督・脚本・製作総指揮
1970年生まれ、カナダ出身。ヒントン・アニメーション・スタジオでキャリアをスタートし、アイスランドのスタジオに入社後、アニメ映画『おやゆび姫 サンベリーナ』(1994)、『セントラルパークの妖精』(1994・未)などの製作に携わった。1998年には、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで、『ムーラン』のストーリー統括を担当。2003年、クリス・サンダースと共に『リロ&スティッチ』の監督・脚本を務め、世界中で記録的な大ヒットを飛ばした。2010年、ドリームワークスでの初作品となる『ヒックとドラゴン』で再びサンダースとタッグを組み、それ以降、本シリーズ全作で監督・脚本を務めている。また、活躍の場はアニメに留まらず、2007年に実写映画『シガー・ロス/HEIMA~故郷』で監督を務め、インディーズ映画ながら高い評価を得た。次回作には、製作・監督・脚本を務めた実写コメディ“The Banshee and Fin Magee(原題)”が控えており、また、ユニバーサル・ピクチャーズとウォルト・ディズニー・スタジオの実写映画の新プロジェクトにも複数携わっている。

※下記は、シリーズ前作についてのネタバレを含みます。

ドリームワークスの一つの哲学は「自分達の作品は、どの大人の中にもある子どものために作っている」

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

マイソン:
まず映画のシリーズの絵と原作の絵のタッチがだいぶ違うのですが、ここまで変化をつけた理由とデザインでこだわった点を教えてください。

ディーン・デュボア監督:
僕達の作品のルックやスタイルは、自分達が写実的なリアリズムではない、地に足の付いたリアルな世界観を作りたいと思ったところから、こういう造形になっています。その世界観とは、観客が観た時に、危険であったり、何かが起きたら因果がきちんとあるような世界観です。例えば、もし本当にドラゴンの背中から落っこちてしまったら、死が待っていたり四肢を失うことだってあるような、ドラゴンの炎に身を焼かれてしまったら、命だって落としてしまうかも知れないような世界です。原作はどちらかというとマンガ的なイラストレーションですが、僕達が綴りたかった世界観に寄せたら、カートゥーンの世界ではなく、こういうルックになりました。その意図としては、観ている人がもしかしたらドラゴンって、この地球上である時期に本当に生息していたのかも知れない、リアルな野生の王国に属していたのかも知れないと感じられるような世界観にしたかったんです。

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

マイソン:
ではこの作品も含めアニメのキャラクターは、顎が異様に大きいとか、面長とか、実際の人間の特徴をすごくデフォルメした容姿が多いですが、その意図は何でしょうか?

ディーン・デュボア監督:
僕達は写実的なものを求めているわけではもちろんなくて、その物語に必要なキャラクター、そしてキャラクター達が象徴するものをデザインに落としていきます。紙とペンでいろいろ描きながら作っていくわけですが、その可能性を模索するのは最高に楽しい作業です。例えばヒックの場合、間違った時代に生まれてきたかのようなすごく未来的な思考を持っていますが、体格だけで考えるとバイキングにしてはちょっと小柄で痩せています。でもそういう体つきだからこそ、自分に欠けていると思うところを一生懸命知性で補完しようとしていて、それがヒックの性格なんです。彼のメンターであるゲップの場合は、体が大きくていかにもバイキングっていう感じで、あちこち四肢も欠損しています。それは彼がたくさんの戦に参加しているからで、でも失うことを別に何とも思っていない、そういう性格なんですよね。それぞれの性格からデザインに落としていくという作業は、ドラゴンも一緒です。それを表現する時に、個性、あるいは物語に必要な要素が誇張されたデザイン、プロポーションになっていくわけなんです。

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

マイソン:
ドラゴンと乗り手のペアはどのように組み合わせを設定されたのでしょうか?

ディーン・デュボア監督:
ドラゴン達はそれぞれ性質を持っていて、それに1番合った乗り手を見つけるわけですが、原作者が素晴らしいのは、ドラゴンを本当にバラエティ豊かに描いていることです。通常ドラゴンが出ている映画って1種類しか出てこないことが多いですよね。でも原作には個性や能力が違うバラエティ溢れるドラゴンが登場しています。ただ僕達はデザインする上で1つだけ誓約がありました。それは、”ドラゴンは決してマジカルな存在じゃないんだ”っていうこと。ドラゴンが動物の王国に見受けられるような、何か似たような性質を持っていたり、特徴を持っていたりするように心掛けたんです。なので、オウム、パンサー、フクロウ、サイやセイウチなど、デザインの上でも性格の上でもそういった動物の要素を取り込んで、ものによっては気難しかったり、アグレッシブだったり好奇心旺盛だったり、そういった個性に1番合った乗り手を合わせていく、そういう作業だったんです。

マイソン:
なるほど〜。前作でヒックは片足を失いますが、子どもにとっては衝撃的な表現だと思われる方もいらっしゃると思います。今の日本ではおとぎ話に出てくるそういった出来事を、少しマイルドに変えたりすることもあるようで、私はそれにはあまり賛成できません。子どもが観る作品でも、そういった表現はありのままに伝えるべきだと思うのですが、監督はどう思われますか?

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

ディーン・デュボア監督:
僕達もこの選択をした時に心配したんです。ヒックがそのヒロイズム、行動によって足を失ってしまう。もしかしたらそれは大人にも子どもにも観た時にショックを与えてしまうかも知れないし、せっかく映画を楽しんでいたのにネガティブな影響を与えはしないかと考えました。ご存知の通り、テスト試写を何回かするわけですが、その時にすぐに気が付いたのが、大人も子どももあの瞬間をシーンとしてすごく気に入ってくださったことです。大人の観点からすると、人間のその行動、ヒロイズムの結果として”足を失った“という描き方を、表現のひとつとして素晴らしいと思ってくださった。覚えているのが、8歳の男の子が手を挙げて「自分の何かを失ってしまったからヒックは悲しいけど、それよりも彼はたくさんのものを得たよね」って、彼の意見を言ってくれたんです。その時に僕達の魂を理解してくれていて、そこまで激しいショックではないんだと感じられました。(この作品だけでなく、大きな意味では)僕は、僕達が思っているより子ども達はより洗練されていると思っていて、あなたと同じ意見です。特に僕がドリームワークスの哲学で好きな点は、「自分達の作品は、どの大人の中にもある子どものために作っている」っていう考え方なんです。ディズニーの場合は「子ども達に」っていう考え方だけど、それとはちょっと違う。例えば作品のユーモアやトーンは、ディズニーがそうだっていうわけじゃないけれど、決して子ども達を見くびるような視点で作られていないところが、ドリームワークス作品の好きなところなんです。

マイソン:
それをお聞きしていろいろ納得しました。最後に、この作品はシリーズを通してすごく自分のルーツを考えさせられると同時に、自分のアイデンティティを守るというストーリーだと思います。監督のルーツ、今映画作りをされているルーツは何でしょうか?

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』ディーン・デュボア監督インタビュー

ディーン・デュボア監督:
僕は、カナダのケベック州の出身でハリウッドからは遠く離れているのですが、まさか自分が映画界の仕事をできるなんて全く思ってなかったんですね。それはおろか、自分の作品が他人に何か影響を与えたり、若い世代の方が自分も映画作りをしたいとか、アニメーションの世界に入りたいっていうインスピレーションを与えられるとは全く思っていませんでした。でも今そのサイクルの一部になれていることは、大変嬉しいことです。子ども時代はスポーツがとても苦手で、マンガとか映画が大好きだったんです。絵を描くことが大好きで、わりと1人で寝室でマンガを読んだり、絵を描いたり、夢見がちな少年でした。漫画家になることが最初の夢だったのですが、その先にアニメーションを学ぶ機会を得て、アニメの道に進んで、自分が愛するもの、つまりストーリーテリング、絵を描くという作業、コミックス的な要素はすべて、アニメーションにあると思いました。それを国際的な観客に向けて命を吹き込んでいける、しかも多くの才能あるアーティスト達と一緒に仕事ができるということは、本当に素晴らしい経験をしていると思います。あと女性の読者に向けて1つ加えたいんだけど、僕はアニメーション教育の現場に大きな変化が起きているように感じています。いろいろな学校、僕がアニメーションを学んだ大学でもトークをさせてもらっていますが、今はクラスの80%が若い女性なんです。皆アニメーションの世界に進もうと思っているんですね。ほとんどの方がアジア出身で、だからこの先素晴らしい女性的観点がアニメーションからもっと観られるんじゃないかと思います。アニメーションも今まではわりと男性的目線で綴られることが多かったから、その変化に僕もワクワクしています!

マイソン:
素晴らしいですね!!今日はありがとうございました!

2019年10月31日取材 PHOTO & TEXT by Myson

映画『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』

『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』
2019年12月20日より全国公開
監督・脚本・製作総指揮:ディーン・デュボア
声の出演:ジェイ・バルチェル/アメリカ・フェレーラ/ケイト・ブランシェット/ジェラルド・バトラー/F・マーレイ・エイブラハム
日本語吹き替え版声優:田谷隼/寿美菜子/深見梨加/田中正彦/松重豊
配給:東宝東和、ギャガ

かつてドラゴンは人間の敵だった。弱虫のバイキングの少年“ヒック”と傷ついたドラゴン“トゥース”の活躍で彼らは共存する道を選び、バーク島で平和に暮らしていた。だが、ドラゴンが増え続けたバーク島は定員オーバー!亡き父の跡を継ぎ、バイキングのリーダーに成長したヒックは、島を旅立ち、みんなと新天地を探し求める決断をする。しかし、大移動の旅の途中、最凶のドラゴン・ハンターに命を狙われ、“トゥース”の前には、白い謎のドラゴン“ライト・フューリー”が姿を現す。2匹の恋の行く末は!? ヒックたちは、行く手を阻むドラゴン・ハンターから逃れ、ヒックたちは無事に新たな楽園へとたどり着くことが出来るのか?今人間とドラゴンの友情が試される冒険がはじまる!

公式サイト 映画批評&デート向き映画判定

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